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狙われたのは僕?

「どうなってるのー、これ?」

「わからないわよ」

エリンとシズエが壁に隠れながら慌てたようにそう言うが僕とレイラさんは落ち着いていた。

レイラさんはこういう状況が、元王女の時に何度かあったのだろう。

慣れた雰囲気だ。

僕はネットの中でこういう状況が何回かあったので、別にこちらに視線がなければネットのそれと一緒なので気にすることではないのだけれど、この状況を改善させる何かがないとどうにもならない。

そんな時に外から声が聞こえてくる。

「おおい、この宿の中にこの紙に書いてある人物がいるんだよな」

「ああ、こいつを捕まえれば俺たちはもう生活に不自由がなくなる」

「でも私はここに書いてある人を見てみたいけどな」

「それはあたしも同じだよ。

ここに書いてあるのが本当にどこかの王女様なら見てみみたい」

そこまで聞いたところで僕とレイラさんは顔を見合わせていた。

そうこの王女というのがたぶん僕だということがわかったからだ。

すぐにレイラさんが小声でこちらに話しかけようとしてくれるが、僕はそれを無視して、床を踏みしめた。

キュッと軽快な音が鳴って床を蹴ると僕は窓から外に出た。

「マヤ様ーーー!」

「マヤ?」

「マヤやん?」

驚く二人と、怯えたように叫ぶレイラさんをおいて僕は外を見た。

そこには驚いてこちらを見るこの世界の住人たちがいた。

壁を蹴り更に地面を蹴る。

昔やっていたゲームの中に立体移動を可能とするゲームが存在していたのだ。

その動きをコントローラーではなく自分の体で行うのは普通の状況では無理だったが、自分のせいで誰かに迷惑がかかるのではないか?

そう考えた途端に体が動いていた。

更に人目を引くようにして僕は人ごみの中に突っ込んで行って、その中をかき乱す。

そして無我夢中で更にこのノスタイルの近くにあった街の更に外れに足を進めた。

止まるわけには行かない。

だけれど、まさかの事態だったのだろう、まだ僕のことを追いかけてくる人はそんなに多くなかった。

廃れた家の間をうまく走り抜けて、僕は見つけた小さな小屋の中に入った。

「はぁ、何とかまけたかな?」

小屋の中でため息をつきながらも頭の中ではこの事態がなんで起きているのかを考えていた。

どう考えてもこの状況は意味のわからないものになっている。

あきらかにおかしい、何故狙われているのか?

それがわからなかった。

っていや、そうじゃない。

僕にはちゃんと狙われる理由があった。

そうだ、あの時の会話を思い出したところで出てきたじゃないか……

この宿の中に王女様がいるって……

そう間違っていなければその王女様というのは僕のことだ。

だからあの時、レイラさんはこちらを見たんだ。

そして僕もその判断をしたから一人でここまで来た。

そうだだからこそ考えるんだ、ここからどうするかを……

そう思っていた時だった。

小屋の地面から音がしてきたのを聞いたのは……

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