シズエの実力は
更新遅れて申し訳ありませんでした。
本当に毎回読んでくださっている方には感謝の次第です。
諸事情がない限りこれからは毎日更新する予定ですのでよろしくお願いいたします。
シズエと僕はその後はたぶんここを辿ればいいと思われる少しだけ石を置いて整備してある道のような場所に出ていた。
「これを辿ればいいのかな?」
「そうじゃないかなー?
もし違ってもこの石畳の先には何かあると思うよー」
「確かにそうだね。
ここだけ整備ができているっていうことは何かがあるだとボクも思う」
そうして進み始めると正面にあの木のお化けが出てきた。
一体しか出てきていないので油断しなければ大丈夫だと思う。
その木のお化け、よく観察するととあるゲームに出てきたプラントと呼ばれる木の形をしたモンスターによく似ている。
でもそんなことよりもこのモンスターを倒すことが先決かな。
そう考えて僕は剣を抜いたけれど、隣に立っていたシズエが大剣を引き抜くと手でこちらを制止させて言う。
「こいつはあたしが倒させてー。
さっきは助けてもらったんだし、それにあたしの強さもマヤやんに見せておきたいから」
そしてシズエは魔法を唱えながら歩き始めた。
「火の加護よ、我が武器に宿れ、ファイアプロビデンス」
詠唱を終えるとシズエのバスターソードが炎に包まれていた。
そしてそのまま迫る触手を剣で軽々と薙ぎ払い、止めをさした。
「強い……
相性がいいから更にそう感じる。」
そうどこのゲームでも魔法や使う武器によって相性というものが存在する。
例えばこの木のお化けであるプラントは草を表しているので、火がよくくらい、逆に僕が使える水はほとんど相手にダメージが通らないだろう。
だからこそ戦闘においてはその相性こそが一番の重要なところであり、その相性によってたいていの戦闘は普通に行えるようになる。
というのがゲームの初期段階で知ることで、次の段階に進むには……
などと自分の中で考え事をしていたせいで全く気付いていなかった、ゆっくりとこちらに近づいてきていたプラントがいたことに。
足にヌメリという感触がした途端に視界が上下逆さまになる。
「わにゃーーーーー」
自分でもビックリするような悲鳴をあげてめくれそうな服を必死に抑える。
すると既に近づいていたシズエが魔法を詠唱。
「火よ、球となりて敵を撃て、ファイアボール」
火の玉が触手だけを綺麗に焼いて通り過ぎる。
そして落ちそうになった僕はシズエのお姫様抱っこにて助けられる。
「少し待っててマヤやん」
口調は少しおちゃらけているものの視線や表情は引き締まっていて、近くにいるだけで集中しているのがわかった。
これがシズエなんだ……
そんなことを思いながらも、シズエが前に出る。
「灼熱よ、相手を閉じ込める牢獄になれ、ファイアスパイラル」
そして凛とした声でそう唱えると、プラントの周りから炎が吹き荒れる。
「魔法が三つも……」
そう、僕はそこに驚いていた。
魔法は現在は僕は一つしか持っていないのだけど、たぶん何かによって魔法を受け継いだりできるものだと思ってもいた。
というのは普通にわかる。
なら別に魔法を複数持っているのはなんら違和感がないように思えるかもしれなが、実はそうではない。
だって、この世界はよりリアルに近い世界なのだ。
そう、このゲーム世界のことなどはゲーム世界の中でのみ情報交換をするものという暗黙のルールがあるのだ。
なのでフィールドなどに出ていたら、その情報などは全て入ってこなくなる。
そうなるとまだ一週間ほどしかたっていないこのゲーム世界で既に多数の魔法を持っていること自体がすごいことなのではないか?
そう考えてしまう。
そしてシズエはというと炎の渦で囲んだプラントを先ほどの炎を付与できる魔法で剣に付与すると、その剣で渦ごと叩き斬った。
うん、戦い方はなかなか容赦がないようだ。
そんなことを思いながら立ち上がるとまた石畳近くの茂みがガサガサと揺れた。