前に進んでみようかな
そして少しの間沈黙になったが、それをエリンがため息と共に打ち破る。
「はぁ……
シズエ、ちゃんと次行く場所決めなさい」
「え?
あたしが?」
「だって、シズエが冒険に行こうって言ったんだからそれぐらい決めなさい」
「わかったよ……」
そしてシズエは道の近くに生えていた木の幹の部分に体を預けると、そのまま地図を開いてどこにしようかと悩みだす。
それを見ながらも僕も地図を開いた。
そこには幾つかの場所が既に記されている。
例えば先程までいたシュトレイヌの街や最初に旅立ったマーテルの名前が記されている。
更に行ったこともないような場所の名前も記されていて、それをなぜだろうと考えたところで横から近寄ってきていたシズエが僕の地図を横から眺めた。
「あれ?
どうしてマヤやんの地図にはこんなにいっぱいの場所が記されているの?」
そしてそれを聞かれた。
ここで僕が王女だと言えば更に後から自分のリアルの性別が男だというのがバレた場合に何かまずいような気がしてすぐに頭に浮かんだ言い訳で
「地図だけは、少しだけ街やレイラさんから聞いて場所を教えてもらったからたぶん、行った場所以外のところも地図に記載されているんだと思うよ」
そう言っておく。
でもなんとなく嘘ではないことも混じっているのでなんともいえないのだけど……
そんなことを考えながらも僕の地図とシズエの地図を見比べながらシズエが次の場所に選んだのはノスタイルという街。
「って、なんで次の行く場所が私ですら行ったことがない街なのよ。
ここに行ってもしマヤが戦闘不能になれば意味ないんだよ」
だけどすぐにエリンにそう言われる。
「だ、大丈夫です。
僕はそれぐらいではやられません。
それにそういう強いところに行かないと今のエリンたちの強さに追いつけないっていうのならそれしかないからね」
「それはそうですけど……
でもそれなら違うところで着実にレベルアップさせていったほうがいいと思うけど。」
「そんなことありません。
マヤ様は今でも十分に強いので、普通の場所などに行かれても余裕過ぎて戦いになりません。
それに先程の戦いを見ていたらそれくらいわかると思うんですけど」
そしてレイラさんがそうまた少し意地悪気味にエリンに言う。
するとエリンは少し考えてからため息をついて
「そうですね。
そこまで言われたらそこで判断しましょうか」
と言ったのを聞いて僕は少しガッツポーズした。
よし、これで新しいところで戦闘ができる。
そう思って僕たちは地図を見ながらそのノスタイルという街に向かって歩き始めた。