よーしゲームの世界に来たよ
数分すぎてそろそろ床になることも飽きてきてログアウトを考え始めた頃に部屋をノックする音が聞こえた。
誰だろうか?
そう思いながらも僕はすぐに立ち上がるとドアの方に歩いて行く。
「えっとどなたですか?」
扉越しにそう言うとあちらから少しの音がしてから声が返ってくる。
「はい、私はレイラ・クネッティーです。
マヤ様のゲームのチュートリアル的なものをやることになりました。
それでまずはお話をということで簡単にお茶を持ってきました、よろしければドアを開けていただければ思います。」
「あ、はい」
僕はすぐにそう返すとドアを開けた。
するとリアルでいうところの紅茶と同じような香りが漂ってきた。
すごいちゃんと香りがするんだ。
そのことをに驚きながらも僕はその女性を部屋に招き入れた。
そして近くにあった机に女性が持ってきていた紅茶セットを載せる。
「えっとそれではお話しを始めさせてもらいますね」
「はい」
「まずはこのゲームのことを知ってもらうためにいろいろ用意しました。」
ということでメイド服のお腹のあたりから何かをにゅっと取り出す。
どうやってその量を取り出したとかそういうのはたぶん聞いてはいけないのだろう。
そしてその取り出したものはブレスレットのようだけどそれを渡された。
「えっとこれは何ですか?」
受け取ったのはいいもののどうしていいか分からずそれをとりあえず腕に付けてみる。
「それはですね、えっとリアルでは投影型端末と呼ばれるものです。」
「投影型端末だって?」
僕はそれを聞いて驚いた。
投影型端末それは簡単にいうところの画面なしに画面に表示されているものを表示できるというものでリアルでは現在試作段階だとまだニュースでいっていたのは記憶に新しく、今のネットユーザーたちからは新しい時代の幕開けなどと言われていた。
ちなみに僕もその技術が本当にゲームだとしても実装されているのだとすると、それはかなり嬉しい。
そう思っているとブレスレットに赤い宝石なようなものがついているのがわかる。
それに触れると目の前に投影された文字が浮かんできた。
本当に投影型端末だ。
ちなみにネットのスレでみた投影型端末の使い方としてはまず、投影装置の起動として右手にあるブレスレットを起動させる。
それを起動すると右手から立体投影パネルが起動するんだ。
それも普通なら右手を動かす度にその立体投影パネルが移動するものだけどそれがないということは、この投影型パネルがボクの目線の先に投影されるようになっているからだろう。
これもたぶん、顔を立体的に捉えることによって投影する位置というのを決定しているものだと思う。
そして最後に投影された画面を右手のブレスレットが一定の距離まで届くとそれに反応するというのがこの投影型端末のシステムだ。
ということを思い出しながら僕はその投影型端末に触れた。
えっと最初はメニューかな。
チュートリアルを担当してくれるレイラさんを無視して僕は一人で操作を進める。
えっとさっさと自分のステータスを表示して確認しとかないと……
そう考えた僕はすぐにステータスを開いた。
体力 100/100
気力 100/100
筋力 3
技力 6
魔力 12
防力 5
耐力 8
速力 15
心力 0
称号『王女』
精霊加護『水』
うーん……
レベル制じゃないというのはたぶんそうだろうなとは思っていたが本当にそうだったとは……
そうこのゲームはレベル制のシステムではないというのは予想していた。
それはこのゲームの売り言葉であったリアルなオンラインというところがあるからだ。
なので確認のために目の前にいるレイラさんにその予想が当たっているのかを聞いてもらう必要がある。
「あの、レイラさん少しいいですか?」
「はい?
なんでしょうか?」
「このステータス制のことについてなんですけど、これってもしかしてレベル制にすると他の世界に行ったときにレベル制にしてしまうと融通がきかないからではないですか?」
「どういうことですか」
「いえ、とりあえずこの世界Fと名づけられていました。
そしてステータスを見る限りでは普通に冒険するスタイル……
簡単に言ってしまうとRPGと同じようなステータスだと思います。
ですが他のところでのステータスは種類が違ってくると思います。
例えばFPS系のゲームであれば他にも要素が追加されるのであれば照準補正などがあると思いますし逆に魔力などといったものが必要でなくなると思います。
そのためレベル制にしてしまうとそれだけで違う世界に行ったときにわざわざまたレベルを一に戻すというのはちょっとプレイヤーとしても若干萎えるというのを考えて、ステータスを何かによってあげる制にすることによって他の世界に行った時にも違和感をなくしていると考えているんですけど当たっていますか?」
そこまで語り終えてレイラさんの方を見ると、レイラさんは狐に包まれた表情をするとゆっくりと頷いた。
よし、予想当たった。
そのことに達成感を感じた僕は、とりあえずゲームのこともわかったことだし立ち上がろうとしてレイラさんに服の袖を掴まれた。
「えっと?」
「ちょっと待ってください。
このゲームの基本的な内容はそれでいいのかもしれませんが、それだけでないのがこのゲームなんです、ちゃんと聞いていってください」
「えー……
そういうのはあんまり聞いてしまうと面白くないといいますか」
「はぁ、そうですか……
それでは勝手にしてくださいよー」
「そうします」
レイラさんにそう言いきると僕はそのままこの部屋を飛び出た。
とりあえず右下な?
そしてそのまま僕はこの建物から出ようと歩きだした。