コミュ力ないんです!
「あ、さっきの人ー」
「ホントだ」
先程男の人をひっとらえていた女の人とそれに付き添っていた女の人にまた出会ったようだ。
どう反応すればいいのだろうか?
そう思っていると元気な方の女の子がこちらによってくる。
「あのー、隣いいですか?」
「あ、うん、いいけど」
にこやかに話しかけられて僕も何とか了承する。
ってなんですぐに了承してるんだ僕……
えっと本当にこっちに来ちゃったよ。
どうする、どうする?
そんなことを考えつつ杏仁豆腐風のデザートを食べていたスプーンをワタワタと振っているうちに横にその女の子が座る。
「あ、あたしも同じやつー」
そしてすぐに僕の前にあった杏仁豆腐風のデザートを指差してそう言うと、呆れたようにこちらにゆっくりと歩いてきたもうひとりの女の子が僕の正面に座った。
えっとどうすれば……
あ、でもあのときは助けてもらったんだし最初に感謝を言わないと。
「さ、さきにょ……ほどは、ありぃ、ありがとうございます。」
しどろもどろで何度か噛みながらもそう言葉にする。
自分でも顔が真っ赤なのがわかる。
うう……
なんだかレイラさんって話すのが初めてっていう感じがあんまりしないせいで大丈夫だったけど、こんな風に本当に初めての人と話しをするとすごく緊張する。
本当にどう話ししたらいいのかわかんない。
こういうときってどうすればいいの?
自分から話すの?
それとも相手から話題をふってくれるのを待つの?
相席を了承したわけなんだからやっぱり自分から?
それとも相席を申し込んできたのはあっちだからあちらから?
うーん……
わかんないよ。
コミュ力の低すぎた僕はそんなことで悩みつつお皿に残っていた杏仁豆腐風のデザートをちまちまと食べる。
ということをしていると肩をちょんちょんとつつかれて、何かなと隣を見ると笑顔で
「この杏仁杏仁美味しいねー」
そう言われた。
ああ、このデザートって杏仁杏仁っていう名前のものだったんだという疑問に対する答えがでたのに意味もなく頭の中で反応するのを頭の隅に追いやって、なんて返事を返そうかなと更に頭の中で悩ませてスプーンでお皿の中をくるくるとかき混ぜる。
どうしよう本当に浮かんでこないー。
そう思っていると急に目の前に横にいた女の子の顔でいっぱいになった。
「わひぃるいないほい?」
なんて話しているのか本当にわからないけれど、たぶん変な文字の組み合わせを驚いて発した僕はそのままビクリと体を仰け反らせて間後ろに倒れた。
「ゴチン」
そんな音が響いた、いやホントに……
そしてそんなエフェクトなんかは出てはいないけれど頭の上に星が回っているような気さえもする。
それを頭を打ったせいか冷静な思考で考えて、だけど体を起こそうと前に目線を向けるとそこには心配そうに僕のことを覗き込んでいる女の子がいて、またすぐに赤面した。
うう、これってどうなるの……
何とか立ち上がりながらそう思った。