えっとこっちが新しい出会い?
服装を例えるならすごくボロボロなもので見ていて新しいの買おうかと言ってあげたくなるのに対して、その容姿はそのボロボロの衣服とは全く違い綺麗な髪やすっと見開いた瞳に優しさを携えて、これぞお嬢様といわんばかりのものだ。
どうしてこんな人が?
そう思って僕はその人の周りをキョロキョロと見て付き添いがいないのかを確認してからまたその人がいる方を見ると、そこには誰もいなくなっていた。
「??
見間違いかな?」
そんなことをふと考えたところで後ろから肩を叩かれる。
もしかしてさっきの人?
そう思ってそちらを向くとそこには屈強な男がいた。
何?
そう思っているとその男に肩を掴まれた。
え?
疑問すぎて思考が追いつかないでいると、その男はあろうことか僕の腕を掴んでくる。
なにこれ……?
もしかして……
その予想を考えたときだった、その男の腕が思いっきり捻り上げられたのは……
街の中なのでダメージをくらうということはないが、それでもその男は嫌さそうにその手から逃れようとする。
だけど横から掴んだその人の腕手は離れないように絶妙に力をコントロールしているらしく、そう簡単に振りほどけない。
「ああ、シズエ。
そのへんにしときなよ」
「ええー、だってこの男ってクエストの奴だよね。
狙われた相手が冒険者だからってさすがにこんないたいけない女の人を連れて行こうとしたんだからこれくらいは天誅だと思うなー」
「ま、それは否定しないけどさ、それでも私はもう少し穏便に済ますべきだと思うよ。
そして絞れるだけ絞ろうよ」
「でも……」
「いいからほら行きますよ」
そんな会話を近くで繰り広げた二人はそのまま先程の男を連れてどこかに去って行った。
どういうことだったんだろうか?
いろいろ意味を理解しないまま僕は正気に戻ると急にお腹がすいてきたのでどこかにお店はないのかとフラフラと辺りを歩いて行ったところで一軒のお店を見つける。
表札にはノイの家と書かれたそのお店は中に入るとよくあるような酒場で夫婦で営んでいるのか、こちらに近寄ってくると嬉しそうな笑顔を向ける。
「お、開店第一号様だな」
「そうね、何か食べたいものある?」
そして気軽にそんな風に話しかけられて僕は戸惑いつつも
「甘いものありますか?」
そう頼んだ。
そしてすぐに出てきた杏仁豆腐みたいなお菓子をパクパク……
美味しくてバクバクと食べていたところで二人組の人がお店にやってきた。
「「「あ!」」」
そして三人の声がかさなった。