レイラさんの○○とは
「終わりましたね」
「うん、でもアイテムとか取れないよ?」
「アイテムですか?
それはやり方がありますよ」
そう言ったレイラさんはそのウルフの死体に近づくと、右手をウルフの方に近づけて一言。
「リリース」
そう唱えるとウルフという死体が光に包まれたと思うとその場にウルフ毛というアイテムが落ちている。
「すごいですね」
「そうですね、これは採取アイテムなどにも有効ですね。」
「へー」
それじゃ知らないアイテムとかも取り放題ってことかな?
それなら気になったらリリースって唱えたらいいよね。
「いえ、マヤ様が考えていることはわかりますが、採取の際にリリースにてアイテムを手に入れる時にはその採取するアイテムのことをわかっていないと入手できないことになっています。
そうしないと乱獲になってしまいますからね」
「た、確かに」
僕のような考えでリリースを使っても意味はないということだ。
となると、遅めにログインしたのはやはり間違いだったというほかない。
だって遅めにログインするということはそれだけでこの世界の知識を理解する時間が少なくなるというものだ。
あ、それならお城に戻って書物を読んでから出発してもよかったのか……
くぅ……
今更だけど未練が、すごい。
それにしてもなんで最初にそのことを全部教えてくれなかったのかな?
そう思ってレイラさんの方を見ると、その視線に気づいたレイラさんは頬を朱色に染めて恥ずかしがる。
うん、そういう反応はやめてほしいな、僕も恥ずかしくなるから……
でもここは聞いてみたほうがいいのかもしれないね。
「あの、なんで最初からそのことを教えてくれなかったんですか?」
そう聞くとあきらかにレイラさんはクネクネと体をしならせると
「えっと、その方がマヤ様が私のことを見てくれるって思いましたし、もしかしたらいじめてくれるかもって思ったので……」
そんなことを赤面しながら言った。
「ああ、うん……」
ちなみに僕はあまりの急変というよりも、ここまで変態な性癖だと思わなかったのでそんな反応しか返せなかった。
まぁ、人それぞれっていうけどさ……
NPCなのにドМってなんだよ本当に……
ということはあの時にこの世界での僕の部屋の匂いを嗅いでいたのはもしやそれに対して叱ってほしかったとか?
うん、ちょっとただの匂いフェチのへんた……
ごめん、匂いフェチは変態ではないね。
うん、ただの匂いフェチの人だと思っていたのに、更にドМまでも要しているだと。
うわ……
言ってからのちょっと叱って目線がなんかひく。
そんなことを考えつつ、その視線を無視して僕は自分で倒したウルフからアイテムを入手するとレイラさんをおいて先に進む。
「ああ、置いてかないでください、マヤ様。
でもそういう放置プレイも好きー」
するとそんな言葉が後ろから聞こえてくる。
ああ、うん……
さっきまで少しは尊敬していたのにこれはかなり幻滅だよ。
そう考えた僕はさっさと更に歩くスピードを速くする。
本当にレイラさんと冒険するのが急に不安になってきた。
歩きながらそう思った。