旅に出ようか
そう考えていた時、こちらに近寄ってきたレイラさんが何か決意をもって膝をつくと頭をたれた。
そしてそれを口にする。
「マヤ王女殿下。
私とともに前往生殿下が成し遂げれなかった願いを叶えてはもらえませんか?」
そうそれは最初のような少し人を困らせるだけだった言葉ではなくてちゃんとした意志をもった言葉だった。
だから僕は右手を差し出す。
先ほどの話しの表情でどれほど先代の自分のことを想ってくれていたのかをわかったから……
そしてその先代の願いを叶えたいというレイラさんの願いを叶えたいからだ。
そしてその時から僕のこのゲームでやりたいことが決まった。
あの後レイラさんから話しを聞いてその願いというのがどうやら冒険に出るこということだった。
なので現在着ている服などをどうにかしないといけないこともあり、現在は先ほどよりも更に動きやすい服となっている。
よしこれでいいかな……
などと考えつつも横を見てため息をついた。
そこにはせっせと大量の荷物を持とうとしているレイラさんがいたからだ。
そう、通常では無限バックやポリゴン化などといった物の大きさが感じられないような仕様になっているゲームばかりだけれど、このゲームはそこはやはりリアルに近いという仕様のために荷物もそれ相応の大きさがあった。
それなのにいろいろな物を持っていこうとしているレイラさんは、やはりバカなのだろうか?
先ほどの先代の自分の話しをしていた時には少し見直したのに、なんでだろう。
そう思いながらもこのままでは出発することもできないので僕はその荷物を減らすことにした。
そしてそれから少しして用意を整えた僕とレイラさんは冒険に行くことにした。
どうして二人で冒険に出かけるのかというのは、レイラさんが見たいといったのだ、先代の生まれ変わりである僕のこれからを……
そんなことを思いながらも隣にいた、レイラさんに今更ながらも聞いてみたかったことを聞いてみることにする。
「そういえば、レイラさん。
なんで僕たち男装しているんですか?」
「え?
だって女の子二人旅じゃいろいろ物騒でしょ」
「そういうものですか?」
「うん」
そうなのだ。
今現在、僕の服装は動きやすい服というものだったがそれは逆にいうといつも着慣れいるからこそ動きやすい。
ということで現在は二人とも男の恰好にて城下町のところまで下りてきた。
本当に誰も僕とレイラさんのことを不思議そうに見ておらず、逆に見惚れているように感じるのは気のせいだろうか?
まぁ、気にしても仕方ないことではあるのだけれど……
たぶんレイラさんが髪が長いので、そういう髪の長い男性が珍しいだけだと思う。
そんなことを適当に考えながらも僕とレイラさんは街の外にまでやってきた。
街門に立っている警備兵の人たちに軽く挨拶をして歩きながら地図を開ける。
「最初はどこに行こうか?」
「そうですね……」
ということで次の目的地である場所を早速決めることにした。
これをレイラさんに決めてもらうのは、この世界の人なのでどこに行けばいいのかというのを知っているからだ。
するとそのレイラさんはある街を指示した。
そこにはシュトレイヌという文字が記されていて、今までいた首都マーテルよりも更に地図の中央付近にある街だ。
「はい、マヤ様も気づいていると思いますが、ここは地図上にも記されている通りこの世界のほぼ中心にある街です。
なのでいろいろな流通などの中心となっているのです。
そのため、ここにまず行くだけでもいろいろな情報なども仕入れることが可能です。」
「へー……」
僕は関心した。
てっきり変なことを言うのではと思ったが、かなりちゃんとしたものだった。
そう、流通の中心に行くということはその場所にはいろいろな場所から来た人が集まっているということになり、そのいろいろな人から話しを聞くというだけでもこれからの役にたつだろうからだ。
そうと決まれば行くしかないね。
「よし、そのシュトレイヌまで行きましょうか」
そして意気揚々とそう言うと新しい街に向けて歩き始めた。