このゲームの設定②
でも、ということは僕はその前の王女の生まれ変わりだ。
でもそれならなんで僕のことを冒険者だからといって冒険に出るということをこのレイラさんは認めてくれるのだろうか?
複雑な表情で見ていたのでレイラさんは何かを察してくれたのか、優しい表情になると、静かに語りだしてくれた。
「私がここに来たのは三年前でした……」
※
私は三年前までそれなりに名の知れた殺し屋だった。
目標を殺すことによってそのお金をもらうというのが生活で、いつもその時使っていた小太刀は血の匂いが漂っていた。
そんな殺しを続けていくうちに私にはあまり感情を表すことができにくくなっていた。
それは自分の命のやり取りを行っているのに感情はいらないと思ってしまったからだ。
そんな時だった、その少女の殺しを命令されたのは……
そう似顔絵を見せられたときただの少女だと思った。
いつもは大人ばかり殺すのにこのときはなんでだろう?
そんなことを考えたのは始めてだった。
だけど殺すとなると感情を消して行う。
そう、その時はそう思っていた。
だけどそれは出会って変わった。
暗殺当日の日……
暗殺を行うのは基本的に真夜中だ。
影に隠れながらも城の内部に入りその部屋の前までやってきた。
そこにはベッドですやすやと眠るターゲットの少女がいた。
似顔絵で見るよりも更に美しい顔立ちに一瞬見とれたがすぐにすることを思いだした私は腰から小太刀を抜刀してその少女の首筋を一閃した。
だがその剣は少女の首を斬り落とすことはなかった。
「無粋ですね、暗殺ですか?」
それはその少女がどこからか取り出した剣でふせいだからだ。
「な!」
驚いたが私は力で押しきってしまおうとしたが、意外にも力が強くて全然押し込めなかった。
そして逆に剣を弾き返された。
だがそのベッドに寝転んでいた少女は膝を立てたままの体勢で立ち上がることはなかった。
「まさか……
あなた足を……」
そうそれは聞いてもいないことだった。
この暗殺するべきはずの少女は足が既にほとんど動かないのだ。
だけど暗殺される側の少女はきょとんとすると苦笑いして
「そうですよ。
ただの次の世代に子孫を残すだけの淫王女だってことも言われたりしてますね」
そう言う。
そこにはそのことを言われたことに対する怒りなんてものはなかった。
そしてその少女の瞳はゆらゆらと力強く輝いていた。
その瞳が私の目を見た。
私はそれだけで、いやこの少女に会った瞬間に暗殺するというのをやめたいと感じるようになっていた。
それをたぶん感じていたであろうその少女は言った。
「ねぇ、これからわたくしの友達にならない?
変えたいのよ、今を」
そしてそれと同時に出された右手を私は一瞬迷ったがだけど心が望んでいたからただとっていた。
※
「という感じで私とマヤ・アイリノスは友達というか同志のような関係になった。
その後はマヤが死ぬまでひたすらにこの国のためにいろいろしてきた。
だからこの国は発展してるのよ」
そう言われて僕は驚いた。
前の王女がそんなに立派だったことに、そして考えた僕もそんな風になれるだろうかと……