第二話 俺はお人好し
「・・ふぅ、取りあえず話を整えましょうか・・宇宙さんは自称宇宙人の電波さんってことでいいんですか?」
「む、私は宇宙人だよ・・自称でも無いし、電波さんでも無いよ」
この俺の隣のベンチに座ってる女の子は宇宙ルリカ、自称宇宙人の電波さんである。
それにこの子、名字が宇宙・・読みは「いえひろ」だけど・・これはわざとなのだろうかは俺は問わないことにしよう。
「ところで光一君は何か部活に所属している?」
宇宙さんにしては普通の質問が来た。
流れからすると突拍子もない電波な会話になる予感がしたんだが・・まぁこちらとしても電波な会話に乗らなくて済むのは助かる。
「俺は、今のところ帰宅部を予定してますよ、特に好きなスポーツとかないですし」
「そうなんだ・・だったらオカルト研究部とか入って見ない?」
「オカルト研究部?・・・あぁ・・でも、俺オカルトとかよく分からないですし」
「大丈夫だよ・・私だってよく分からないし」
「・・・分からないんだ!?」
自称宇宙人言ってるだけあって、かなりオカルトチックな感じだったのに・・
でも・・何か分かる気がしてきた、オカルト研究部って宇宙さんにピッタリな感じがしてくる
「今、部員が私を含めて3人しかいないんだ・・本当は四人以上いないと部活として成り立たなくて・・このままだと廃部になっちゃうんだ」
「え・・何ですかそのパターン・・いや、俺を同情させようとしてもだめですよ!? 入りませんからね!」
「・・・・・そうだよね、普通は入らないよね・・このまま廃部になっちゃうんだ・・せっかく私みたいな人たちがいるから、独りにならないで済むと思ったのに・・」
「な・・・・・・・・」
やめてくれ! やめてくれよ!
人を同情させんじゃねぇよぉぉおお
俺確か言ったよね、心の中でだけど、俺はNOと言えない性格なんだったば!
・・考えてみると・・こう言う電波の不思議ちゃんはクラスとかでも孤立しやすい・・が、独り・・なのかな・・宇宙さんは・・
このままだと、何かかなり俺が悪い感じになってるし・・
「分かりました・・!!」
「え?」
俺はベンチから立ち上がった。
そして俺は不思議そうに俺を見上げている、
「入りますよ!オカルト研究部!!」
何これ、かっこよくない!?
何か俺、主人公みたいじゃん!
「本当? 入ってくれるの・・オカルト研究部に?」
「・・はい! 入ります!! 入ってやりますよ、オカルトとか良く知らないけど、宇宙さんのために俺は入部します!!」
「あ・・・ありがとう」
宇宙さんは目尻に涙を浮かべていた。
何か俺、すげぇ良い奴だ・・
「じゃあ、入部届け持ってるからここに書いてもらえるかな?」
「え? あぁ・・準備いいですね、分かりました」
俺は胸ポケットに入れていたボールペンを取り出し、自分の名前を入部届けに書く
「よし。これでいいですか?」
「うん、ありがとう!・・・・部長ぉー、独り入部することが決定しましたよ」
「え?」
部長?
今部長って言った?
今部長いるの? 何で?
すると屋上のドアが開いて一人の男が出てきた
「そうか、中々うまかったぞ宇宙後輩・・これで新入部員が3人になったな」
男は白い髪の天然パーマ、黒斑のメガネを掛けている長身の男が出てきた。恐らく先輩だろう。
「これから宜しく頼むよ、日野後輩」
「え・・? どういうこと? どういうことですかこれ!? え・・ちょ、・・えっ、えっえええぇぇ!?」
状況が把握できない・・! うまかったってどういうことだ!?
まさか俺、だまされた・・・のかああ!?
そんなパニクッてる俺に呆れてため息交じりに男は言った
「ま、あれだぞ・・お前はオカルト研究部に入部した、それだけのことじゃないか」
「それだけのことじゃねぇだろぅが! 何、何ですか!? 俺はこの電波さんにうまいこと乗せられて入部しちゃったってことですか!?」
「・・ごめん、騙すつもりはなかったんだよ」
「・・というか、あれですか? ここまで演技ってことは、自称宇宙人っても演技だったってことですよね? いや、宇宙人ってのは分かってたんですが」
「私は宇宙人だよ、正真正銘の宇宙人だよ」
「・・・・ん~、そこは・・演技じゃなかったんですか?」
「演技じゃない」
「そうですか」
俺は大きくため息をついた
今まで俺はうまいこと乗せられてしまったのか、何か俺、さっきまでのテンションが恥ずかしいんですが・・
「まぁ、取りあえずこれからも宜しく頼むぞ、日野後輩、俺はオカルト研究部部長の唯崎敬馬だ」
「・・宜しくお願いしたくねぇええええええええええええ!!!」