表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

一 前世を思い出した僕は、

初めての一次創作です。

一応前世を思い出した少年が、運命の相手に逢いに行き結ばれて幸せになるって感じのテーマで書いてます。

拙い文章ですが、よければ

上編 前世の記憶が返ってきた

 僕――夏代悠は小学四年生。僕とお父さんとお母さんの3人家族。両親共に共働きで毎日朝早くに出て夜まで帰ってこないからいつも1人だった。

 四年生に上がるタイミングで親の転勤が決まってこの街に引っ越してきた。学校も変わったけどあまり馴染めなくて友達も居ない。今まではマンションだったけどこの新しい広い一軒家は1人で留守番するにはあまりにも寂しかった。

 でも今年の夏休み中におばあちゃんが僕の家に引っ越してくるらしくてやっと家に1人じゃなくなるって事が嬉しくてカレンダーを毎日眺めては早くその日が来ないかなってワクワクしてた。

 終業式を終えて家に帰ってきた僕は珍しく玄関にお母さんの靴があるのにびっくりした。リビングからパタパタと足音がしてたから僕は手を洗ってからリビングへ向かう事にした。


「ただいま、お母さん仕事じゃなかったの?」

「悠、おかえりなさい。お母さん達明後日から2週間出張になっちゃったのよ。悠をそんな長期間1人で家に残していくわけにもいかないから朝に車で送っていくからおばあちゃん家で過ごしてくれない?おばあちゃんには電話したからついでにこっちに引っ越してくるおばあちゃんの荷造りとか手伝ってきて欲しいの」

「また急だね。わかったよ」

「ありがとう。いつも我慢ばかりさせてごめんね」


 そんなこんなで田舎のおばあちゃんの家にひとりで行くことになった僕。

 おばあちゃんが遊びに来てくれることはあったけど今までおばあちゃん家に行った事はなかったからとても楽しみだ大きなバッグに着替えとかいっぱい出された宿題とゲームなど必要そうな物を詰めた。晩ご飯を食べてお風呂に入ってどんなところなんだろうとワクワクした気持ちのまま寝た。

 

 ◇


 翌朝、珍しく休みになったらしいお母さんとお父さんと3人で朝ご飯を食べてから荷物を持ってお父さんが運転する車に乗り込んだ。片道三時間も掛かるんだって家族3人でそんな遠出することなんて今までなかったから途中で寄ったパーキングエリアでソフトクリーム買ってもらったりなんかしてちょっとした旅行みたいで楽しかった。

 窓の外を流れる景色を眺めているとだんだん緑色した山が増えてきた。僕が暮らしているところは山なんてあまりなくて代わりにあるのは背の高いビルばかりだからいっぱい山を見るのは新鮮だ。


「おばあちゃん家は山で囲まれた集落にあってね、昔はそこそこ人も多かったんだけどだんだん人が都会に流れたのと都市開発をする事に決まって残っていた人も都会に引っ越してしまって今残ってるのはおばあちゃんだけなのよ」

「おばあちゃん寂しいね」

「俺たちが忙しそうだからって母さん、あ、ばあちゃんの事な、なかなかその事言い出さずにいたからご近所さんから連絡貰ってびっくりしたよ。慌ててばあちゃんと一緒に暮らせる家を探して引越ししてって、悠には学校も変わる事になってごめんな」

「大丈夫だよ。僕いつも家で1人の時間が多いの寂しかったからおばあちゃんが来てくれるの嬉しい!」

「悠……ありがとう。この出張が終わったら仕事も落ち着いて家にいれる時間も増えるはずなんだ。本当にいつも我慢ばかりさせてごめんな」

「大丈夫だよ。今こうしてドライブしていっぱいお話出来てるだけで嬉しいから」

「本当にいい子に育ってくれて、お母さん嬉しいわ」


 車に揺られているといつの間にか眠りについていた。


 ◇

 

 ――不思議な夢を見た。

 小さな村がありその村では、十数年に一度何か大きな不作などの不幸が起こるたびに泉の畔に建つお社を司る神様に生贄として15の若く美しい少年少女を捧げる風習があったらしい。

 そんな風習も薄れてきたころ、村の外れにボロボロで衰弱した少年が倒れていたのを心優しい村人のおじいさんが発見し、家に連れ帰り甲斐甲斐しく介抱しているとやがて少年が目覚めた。少年は自分の名前もなぜ村の外れに倒れていたのかも何も覚えていない様子でそれを気の毒に思った心優しい老人は動けるようになったら畑仕事を手伝うことを条件で住まわすことにした。身元不明で怪しさしかない自分を住まわしてくれる上に仕事も与えてくれた老人に感謝した少年はそれはもう真面目に働いた。

 独居老人で自分の子孫がいなかったことから畑仕事を一人でこなすことに限界を感じていた老人は思いのほか真面目に働く少年に感心し、自分の子供のように可愛がっていた。

 しかしながら他の村人たちは急に現れた得体のしれない少年に嫌悪感を覚えたのか老人の目に入らないところで嫌がらせや堪えていない様子を見て次第に暴力を振るうこともあった。

 少年はいかに酷いことをされようと文句を言うこともなく真面目に働くことをやめなかった。そんな少年の姿をずっと見ていた神様は健気な姿に心を打たれいつしか恋に落ちて彼と話をしたいと己の領域に招き入れることにした。

 つい先程まで村人たちに罵倒と暴力の雨に曝されていたはずがいつの間にか辺りは静寂に包まれていることに気付いた少年は恐る恐る顔を上げた。辺りを見渡すとそこには美しい泉とその畔に社が建っておりここが老人から聞いたことのあったお社かと思い至ったものの何故自分がここにいるのか疑問に思いながらその美しい泉に見惚れていた。

 背後に誰かの気配を察知した少年が振り向くとそこには見たこともないほどに美しい神様が立っていた。一目見ただけで恋に落ちた。頬を赤く染めただ見つめることしかできなかった。


 「ようやく会えたな愛しい子よ、ここは気に入ったかい?」

 「……はい、とても」

 「急に呼び寄せてしまいすまない、私はこの地を司る神だ。悪意に負けずいつも勤勉なお前のことを見守っているうちに気付けば恋に落ちていた。どうしても私のものにしたいと思ったので呼び寄せたのだ。愛している、私の番になってはくれないだろうか?」

 「はい。僕も、貴方様を一目見た瞬間恋に落ちたのです。貴方様と共にありたい。何も覚えてはいないけれど僕はきっと貴方に会うため生まれてきたのだと思うから」

「ああ、嬉しい。番う前に、お前にはまだ名がなかったな?今日からお前の名は、悠と呼ぼう。私のことは暁月と呼びなさい」

「暁月さまに名付けて頂けるなんて、ありがとうございます」

「悠久に私と共にいてもらいたいと願いを込めた。……口付けをしても?」


 どこかふわふわした心地で口付けに応えると辺りにリンッと鈴の音が鳴り響いたのが聞こえたのをよそに暁月の舌が僕の唇を割り入ってきた。歯列をなぞり僕の舌を絡め取られ必死に応えるも次第に息が上がり気持ち良さで頭がクラクラしてくる頃にようやく唇が離れた。暁月にしがみつき息を整えていると満足げな顔をした暁月が呟いた。


「これで悠は私の番、神嫁になった……最後の挨拶をしに行くか?この先私の神域から出す事は無いだろうからな」

「……お爺さんだけに最後の挨拶をしてきます。きっと戻ってくるので待っていてくださいね」

「ああ、気を付けて行くのだぞ」


 悠は後ろ髪を引かれながら自分のことを拾って愛を持って世話をしてくれたお爺さんに別れの挨拶をするため帰路に着いた。

 家に近づくと庭先に誰かが倒れている。

 嫌な予感に襲われながら恐る恐る近づくとそれは頭から血を流しているおじいさんだった。

 そばに駆け寄り膝を落とし息を確認してみるももう息はしていない。そっと頬に手を伸ばすももう冷たくなっていた。


 「おじいさん……いったい、どうして……」


 涙をこぼし悲しみにうなだれていると背後から複数の足音が聞こえ、振り向くとそこには何故か黒い靄のようなものを身にまとい鍬や鎌を担いだ村人たちがいた。


 「お前等がおじいさんを……殺したのか……?」

 「……余所者は殺せ!」


 そう叫ぶのを聞き自分を拾ったばかりにおじいさんは殺されてしまったに違いないと申し訳なさで胸が締め付けられ抵抗する気力もなくなった少年は集まった村人たちに鍬や鎌で殴られ大量の血を流し倒れ伏した。

 やがて村人たちはその場に火を放ち離れていった。

 血を流し火に包まれた死の間際、ただ一つ願ったのは「……来世では必ず暁月様と幸せになりたい」それだけだった――。

 

 きっとこれは僕の前世なのだろう。不思議な感覚だ。ずっと失くしていたものが戻ってきたような懐かしい感覚。

 母に身体を揺さぶられ夢から覚めた僕はどこか気持ちがソワソワしていた。暁月様に逢えるのだろうか、と。



 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ