冥探偵エリシア
山奥の洋館で、殺人事件が起きた。家主が背中をナイフで一突きされ、無惨に倒れていた。
この不穏な状況に、現場に居合わせたのは探偵として名を馳せるエリシア。
彼女は他の者が混乱する中、冷静に現場を調査し、あらゆる証拠を集めた。謎めいた洋館の隅々までを丹念に調べ、複雑な推理を重ねていった。
数時間後、エリシアはすべてを把握し、自信をみなぎらせていた。そして、全員を一室に集め、事件の全貌を明かす準備が整った。
部屋には緊張感が漂い、容疑者たちはエリシアの言葉を待っている。
「さて皆さん……この事件の真相をお話ししますわ。犯人は――」
全員が息を呑んで、エリシアの次の言葉を待ち焦がれていた。
エリシアは一同を見回しながら、静かに口を開いた。
「まず、家主を殺した動機です。なぜ、彼は死ななければならなかったのか……。」
一同は息を飲み、エリシアの次の言葉を待つ。緊張感が部屋中に満ちていた。
「そう、彼を殺した動機。それは——」
その瞬間、全員の視線がエリシアに集中し、次の言葉を待ち焦がれていた。
「——もはや、闇の中です。」
「えっ！？」
一同は唖然とし、場に重い沈黙が落ちた。誰もが期待していた答えは、エリシアの不思議な一言で打ち砕かれた。唾を飲み込む音だけが響く中、エリシアはまるでそれが当たり前のことのように、ゆっくりと首を傾げていた。
エリシアは、再び場の注目を一身に集め、冷静な声で続けた。
「次に、このナイフですが……犯人はなぜ、これを凶器に選んだのか。もっとも合理的な理由があるはずです。」
一同は、固唾を飲みながら彼女の答えを待っていた。ナイフという凶器には、犯人の意図が隠されているに違いない。誰もがその答えに期待していた。
「答えはそう……」
エリシアはためらいもなく、笑みを浮かべながら答えた。
「——闇の中ですわね。」
「えぇっ！？」
再び、一同は驚きの声を漏らした。
期待していた核心には触れず、またしても闇の中に包まれた真実。誰もが困惑し、場の緊張は完全に別の意味で高まっていた。
エリシアは、そんな一同の反応にまったく動じることなく、次の推理へと進もうとしていた。
エリシアは、次の推理に入る。今度はアリバイについて語り始めた。
「さて、家主が死んだ時刻ですわ。死体の硬直具合から見て、犯行は数時間前に行われたことがわかります。そう、この中で最もアリバイがない人間は……。」
一同の心臓が高鳴る。誰だ？誰がその犯人なのか？誰がアリバイを証明できないのか――？
エリシアは、一瞬ためを作り、劇的に答えを告げた。
「――すなわち、それは。……」
一同が息を飲んで待ちわびる。
「……闇の中ッ！」
「またかよ！！」
一同は再び驚愕と失望の声を上げた。アリバイの謎も、犯人の行動も、すべてが闇に包まれたまま、誰もその先を見通すことができないままだった。
エリシアは、依然として堂々とした態度で、周囲の困惑をまるで気にしていない。
エリシアの推理は、ついに事件の核心に迫り始めた。部屋に漂う緊張感が一層高まる中、エリシアは目を光らせ、静かに言葉を紡いだ。
「彼をナイフで刺し、まんまとこの中に紛れ込んでいる……。そう、それは――！」
一同は息を呑み、誰が犯人なのかを必死に探ろうと互いに視線を走らせる。誰もが疑心暗鬼になり、何かが起きる予感が満ちていた。
エリシアはその瞬間、劇的に声を張り上げた。
「そう、この事件の真犯人は――！」
全員が息を止め、真犯人の名を待つ。期待と緊張がピークに達したその瞬間――
「すべては闇の中……ですわねぇ〜。」
「えぇぇぇ！？」
一同は再び唖然とし、空気が一気に崩壊。肩透かしをくらった全員が、ついに頭を抱える。期待を裏切られ続けた彼らは、もはやエリシアに真相を尋ねる気力すら失っていた。
「お前なんで探偵やってんだよ！？」
「ふざけんな！」
「やる気あんのか！」
一同の怒りが爆発する。誰もがエリシアに詰め寄り、問い詰めるが、彼女は涼しい顔で立っていた。
「私ですか？私が探偵をしている理由……ふふふ……。」
彼女は不敵な笑みを浮かべながら、ゆっくりと語り始めた。
全員がその答えを待つ。彼女が探偵をしている理由――それは一体何なのか？どんな深い動機があるのか？
「それは――」
一同が息を呑む中、エリシアは優雅に一言を投げかけた。
「今となっては……闇の中ですわねぇ〜。」
「あ、ダメだこいつ。」
場の全員が完全に脱力し、もうエリシアにこれ以上何も期待できないと悟った瞬間だった。
