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三つ星エレベーター

 あるビルのロビーで、一人のサラリーマンがエレベーターの前で立っていた。


 スーツを着込み、書類を抱え、少し焦り気味にエレベーターのボタンを押す。


 しかし――


 いつまで経ってもエレベーターが来ない。


「おかしいなぁ……」


 彼は不思議そうにボタンをもう一度押し、天井の表示パネルに目をやるが、数字はまったく動かない。


 何度も何度も押し直しても、エレベーターはその階に到達しない。少しずつ苛立ちが募る。


「壊れてるのか……?いや、そんなはずはない。」


 サラリーマンはため息をつき、少し周りを見回すが、他にエレベーターを待っている人はおらず、ただ静まり返ったロビーが広がるだけだった。


 時間は過ぎ、彼は何かを考え込むように腕を組んだ。


「……まさか、またあのエレベーターか?」


 彼の表情が曇り、ふと別の階段の方に目を向けるが、足は動かなかった。




 ついにエレベーターが「ピンッ!」という音と共にやっと到着した。




 サラリーマンはほっとして、ドアが開くのを待った。


 しかし――


 ドアがゆっくり開いた瞬間、彼の目の前に広がったのは想像もしなかった光景だった。




「パキッ、パキッ!」

「ズルゥッ!」




 中から聞こえるのは、甲殻が割れる音と、何かを食べる豪快な音。


 そして、その中心にはエリシアが座っていた。彼女は優雅な姿勢を崩さないまま、ものすごい勢いで蟹しゃぶを食べている。






「ほら!もっと早くカニを剥いてくださいまし!」






 エリシアが指示を飛ばすと、エレベーターの個室に数名のシェフがいて、彼らは一心不乱にカニの殻を剥いていた。


 湯気が立ち込めるエレベーター内には、まるでレストランの厨房が設置されたかのように、活気が溢れている。


 サラリーマンは目を見開き、完全に言葉を失った。


 普通のエレベーターに乗るつもりが、まさかの「カニパーティー」の真っ只中に出くわすとは、予想外すぎた光景だった。


エリシアは一瞬彼に目を向け、眉をひそめた。




「何ですの?あげませんわよ!」




 そして、何事もなかったかのように再び蟹しゃぶを口に運んだ。

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