あぁ!エリシアが!エリシアがああッ!
風の強い夜、暗い道を一人の騎乗者が馬で駆けていた。
彼の腕には、幼い童がしっかりと抱かれている。
「坊や、なぜ顔を隠すのか?」
騎乗者は静かに囁く。
だが、童は怯えた様子で顔を背け、何も言わない。風が一層強く吹きつけ、木々が不気味に揺れる中、馬の蹄の音だけが響いていた。
彼らが向かう先には、何が待っているのだろうか。
坊やは震える声で、父にしがみつきながら答えた。
「お父さん、見えないの?そこに……悪魔がいる!」
父は眉をひそめ、前方を見つめるが、何も見えない。ただ夜霧が濃く立ち込めているだけだった。
「坊や、それは霧だよ。安心しろ。」
だが、坊やの目には確かにそれが見えていた——霧の中から姿を現したのは。
——上下レザーのコスチュームに身を包んだエリシア。
そして彼女は、奇声を上げながらツイストを踊っている。
「シェケナベイベエエェイ!ツイッスト、シャアァドオオォウ↑!」
その場に全くそぐわないテンションで、エリシアは夜の静寂を破るかのように狂気じみた動きを続けていた。坊やの恐怖は頂点に達し、父は戸惑うばかりだった。
坊やは怯えた声で父に訴えかけた。
「お父さん、聞こえないの?悪魔が……何か言ってる!」
父は再び霧の先を見つめ、無言のまま首を横に振った。
「大丈夫だ、あれはただの枯葉のざわめきだ。気にするな。」
しかし、坊やには明らかに見え、そして聞こえていた。
エリシアは依然としてレザーに身を包み、夜風に乗せて不気味なロックンロールを口走り続けていた。
「ンッゴッゴオゥ!、オージャニ、ゴッゴウゥ、オージャニ、ゴゴッゴオオゥ」
まるでどこかのライブステージで観客を煽っているかのように、エリシアはその奇妙な歌声を響かせる。
彼女の声が風に乗って舞い、夜の静寂を破壊していく。
坊やはさらに震え、父親の腕にしがみついた。
しかし、父にはただの風の音にしか聞こえない。
坊やはついに叫び声を上げた。
「お父さん!悪魔が近づいてきた!」
父は振り返り、前方を指さしながら言った。
「あれはただの大きな木の幹だ。落ち着け、坊や。」
しかし、その瞬間、エリシアが突然さらに前に進み出てきた。
レザーのコスチュームが風に揺れ、彼女の声が一層大きく響いた。
「止まりなSay! ヘ〜イヘイ!」
エリシアはまるで何かのライブにいるかのように、リズムに乗りながら手を挙げ、夜空に向かって叫んでいた。坊やは恐怖に押しつぶされそうになり、父の腕にしがみつくが、父には依然として何も見えない。
馬はその場で立ち止まり、風が不気味に木々を揺らしていた。
父も徐々に心が乱れ始めた。
霧の中に響く奇妙な歌声と、坊やの怯えた様子に、彼の不安も増していく。だが、それでも必死に子を抱きしめ、あえぎながら馬を進めた。
「大丈夫だ、もうすぐ宿に着く……」
父は何度も自分に言い聞かせ、辛くも宿にたどり着いた。
しかし、扉を開けて中に入ったその瞬間、彼は驚愕の光景を目にした。
あえぎながら抱きしめていた坊やの口から——
「シェケナベイベエエェイ〜!」
坊やは、まるでエリシアに憑りつかれたかのように、狂気じみたロックンロールを叫び出した。




