ネタ・アソート
居酒屋の薄暗い一角で、魔族たちが和やかに会話を交わしていた。
「盆休み、何をしてた?」
「ずっと家で寝てたよ」
ヴァンパイアが答える。
その言葉を聞いていたエリシアは、後ろの席から思わず振り返り、ハイテンションで口を挟んだ。
「棺桶で寝てたのです!?」
その声に、周りの魔族たちが一瞬振り向く。
エリシアのキラキラした目が、真剣さを持ってヴァンパイアを見つめていた。
「いや、僕は……マットレスっす……」
ヴァンパイアがそう答えた瞬間、エリシアのテンションは一気に下がった。
「あっそう……」
興味を失ったエリシアは、すぐに後ろを向き直し、再び自分の席に戻った。
魔族たちは一瞬その変化に戸惑ったが、特に気にすることもなく、再び自分たちの会話に戻った。
ガーゴイルがグラスを片手に話し始めた。
「俺? 盆休みは鹿児島まで帰ってたんだよ。」
その言葉に、エリシアがまたしてもハイテンションで振り返った。
「飛んで帰ったのです!?」
ガーゴイルは少し困惑しながら答えた。
「いや……飛行機で……」
その瞬間、エリシアは再び興味を失い、さっきと同じように「……あっそう」と呟き、また背を向けた。
ガーゴイルはなんとも言えない表情で話を続けようとしたが、エリシアはもう完全に無関心だった。
**********
悪の組織「川越支部」の薄暗い一室。
ボスはエリシアに、洗濯用洗剤を買ってくるよう頼んでいた。
エリシアがニコニコしながら戻ってきた。
「買ってきましたわよぉ〜」
ボスが袋の中を覗き込むと、すぐに顔をしかめた。
「ちょっと!エリシアさん!うちで洗剤って言ったら、詰め替え用でしょ!?」
エリシアは肩をすくめ、特に気にする様子もなく、別のことを考え始めていた。ボスはため息をつきながら、もう一度エリシアに何か頼むべきか悩んでいた。
次の日、ボスはエリシアに醤油を買ってくるように頼んだ。
しばらくして、エリシアが明るい声で戻ってきた。
「ボォス!……買って来ましたわよぉ〜!」
ボスは袋を開けて、またしても困った表情を浮かべた。
「ちょっと!エリシアさん!うちで醤油って言ったら減塩醤油でしょ!?」
エリシアは特に気にする様子もなく、ボスの文句を軽く聞き流しながら、再び何か別のことを考え始めていた。




