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光陰矢の如し

 国内某所。

 エリシア商事のオフィス。




 ——Prrrrrr!


 ——カタカタ。




 いつもと変わらぬ空気が流れる。

 社員たちは黙々と業務をこなし、フロアは書類の擦れる音やキーボードの打鍵音で満たされていた。




 社長室の奥。


 エリシアもまた、自身のタスクに没頭していた。




 ——ガチャ。




「失礼します」


「は〜い」




 社員の一人が入室する。

 エリシアはPCモニターから目を離さず、気の抜けた返事を返した。




 ——パサ。




「今月の実績です……」


「は〜い」




 渡された書類に視線を落とし、ぱらりとめくる。




【2025年8月度実績】




「……」




 エリシアの動きが止まった。

 眉間に皺を寄せ、目を見開く。




「……?」




 社員は不安げに首を傾げる。




(計算に不備でもあったのか……?)




 そう思った矢先、彼女は唐突に叫んだ。




「もう……」


「……?」






「もう9月ですって!?」






「……!?」




 突然の発言に、社員は硬直する。




「えぇ!? だって、この間……門松……飾ってましたわよねぇ!?」




「……」




(いつの……話だよ……)




 社員は心の中で深いため息をついた。




(てか、何月だと思ってたんだよ……?)




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