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かましたれ!エリシアちゃん!

 闇の魔術師が勇者たちと対峙していた。薄暗い洞窟の奥深く、彼らの目の前には巨大な卵が鎮座していた。その表面は黒く輝き、不気味な模様が浮かび上がっている。




「この卵は、かつて世界を滅ぼした恐るべき魔物が産み落としたものだ。」




 魔術師の声は低く、洞窟の中で反響した。


 勇者たちはその言葉に目を見開き、緊張感が一気に高まった。彼らは武器を握りしめ、次の瞬間に備えていた。




 次の瞬間、巨大な卵が動き出した。


 静かに震え、徐々に揺れが大きくなる。




 勇者たちは息を呑み、その場に立ち尽くした。卵からおぞましい気配が漂い始め、闇の魔術師の目が狂気に輝いた。




「……おおおぉぉ!」


 魔術師は歓声を上げ、手を天に向けて掲げた。




 卵の表面にひびが入る。そのひびは徐々に広がり、まるで中から押し破ろうとする力が働いているかのようだった。勇者たちは戦慄しながら、一歩も引かずにその光景を見守った。




 卵が上下にぱっくりと割れた瞬間、出てきたのはエリシアだった。




 頭には卵の破片が帽子のように乗っかっている。周囲の緊張感を全く無視して、彼女は何やら言い始めた。






「あー、そこにありますわ。違いますわよ!右右右みぎ!そこそこ!あー行き過ぎ!そこですわ!目の前!違う違う左左ぃ〜!あーもう!」






 勇者たちも、闇の魔術師も、誰もが呆然とその光景を見つめていた。




 エリシアはそんな視線を全く意に介さず、頭に乗っていた殻の破片を手で蓋のようにして、再び卵の中に戻っていった。




 一同は何が起こったのか理解できず、ただその場に立ち尽くすしかなかった。

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