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かましたれ!エリシアちゃん!

 闇の魔術師と勇者は、不気味な静寂が漂う墓場で対峙していた。冷たい風が吹き抜け、夜の闇が二人を包み込む。


 闇の魔術師は、勝ち誇ったように不気味な笑みを浮かべ、勇者に向かって声を張り上げた。




「ここには、かつて世界を征服した魔王が眠っている!」




 その言葉が墓場に響き渡ると、周囲の空気が一層重く感じられた。魔術師の背後には、古びた墓石が並び、中央には異様に大きな墓が鎮座している。


 闇の魔術師は、邪悪な笑みを浮かべながら、手元で何やら不気味な呪文を唱え始めた。彼の手が光を帯び、暗黒の力が渦巻くように墓場全体に広がっていく。




 すると、突然、空が割れるように雷鳴が轟き、闇夜が閃光で一瞬だけ照らし出された。




 地面が揺れ動き、墓場全体に地響きが広がる。墓石がカタカタと揺れ、その中でも特に巨大な墓石がゆっくりと動き始めた。




 ——ゴゴゴゴ…




 その音と共に、巨大な墓石がまるで何かに引き寄せられるように、重々しく動き出す。


 勇者はその光景を目の当たりにし、目を見開いた。墓石が開かれ、その先に何が待ち受けているのか、勇者は気を引き締めた。


 闇の魔術師は、すべてを見通したかのように冷ややかな目で勇者を見つめ、さらに呪文を強める。




 地中から現れたのは、恐ろしい魔王ではなく、意外にもエリシアだった。




 彼女はゆっくりと上半身だけ地面から出し、不機嫌そうに眉をひそめながらつぶやいた。








「このスイカ……種入りかぁ……」









 その言葉が静寂を打ち破るように響き渡り、闇の魔術師と勇者は、まさかの展開に完全に言葉を失った。墓場に漂う緊張感が、一瞬にして奇妙な空気に変わる。




 エリシアは周囲を一瞥し、特に興味を示すこともなく再び地中へと沈んでいった。




 やがて、墓石はゆっくりと元の位置に戻り、まるで何事もなかったかのように静寂が訪れた。




 勇者と闇の魔術師は、あまりの事態に呆然と立ち尽くすしかなかった。

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