かましたれ!エリシアちゃん!
闇の魔術師は、重々しい空気の中、勇者と向き合った。
彼の背後には、古代の壁画が広がっており、その絵には恐ろしい魔人の姿が描かれていた。壁画は色褪せているものの、凶悪な力を感じさせる。
「この壁画に刻まれし者を見よ…」
魔術師は高らかに宣言した。
「ここに封印されているのは、かつて世界を滅ぼしかけた古代の魔人だ。この封印が解かれれば、全てが終わるのだ。」
彼の言葉には、確信と共に不気味な興奮が混じっていた。勇者は剣を握りしめ、その言葉に対する覚悟を固める。
「だが、この封印を解き放つのは、我が力を持ってしても容易ではない…そう思っているのか?だが、それこそが誤りだ!」
魔術師の声が響き渡る中、壁画の一部がひび割れ、暗黒の気配が滲み出してきた。
闇の魔術師が高らかに宣言した瞬間、壁画が派手な音を立てて粉々に崩れ落ちた。
緊張の一瞬、辺りは静まり返り、すべての視線が崩壊した壁の後ろに注がれる。
粉塵が晴れると、そこに現れたのは予想外の存在――エリシアだった。
彼女は何事もなかったかのように立ち、周囲の緊張感を全く意に介さない様子で、突然言い放った。
「こいつトイレで手洗ってないやんけ、って思われるのが嫌やから洗ってるんでしょ?」
一行は言葉を失い、その場の空気が一瞬にして弛緩する。
エリシアはそれを気にすることなく、さっさと壁に開いた穴の中に入り込み、瓦礫をガチャガチャと元に戻し始めた。
数瞬後、エリシアは完全に姿を消し、残されたのは再び静寂と崩れた瓦礫だけだった。




