質量どころじゃない
激しい雷鳴のような衝撃音が戦場に響き渡る。
エリシアとそのライバルは、ほとんど目に見えない速度でぶつかり合っていた。エリシアは微笑を浮かべ、華麗に身を翻して敵をかわす。
「ふ、それは私の残像ですわよ。」
彼女の声が風に乗り、周囲に響き渡る。
エリシアの姿は瞬時に消え、残像が敵の背後に現れた。ライバルは目を見張り、一瞬の隙を突かれて胸元に強烈な一撃を受ける。
「やはり、私のほうが――」
しかし、エリシアが勝利を確信したその瞬間、ライバルが不敵な笑みを浮かべた。
「悪いが、それも俺の残像だ。」
エリシアの背後に、ライバルが突然現れる。
彼女は気づく間もなく、強烈な衝撃を受けて地面に叩きつけられる。風が静まり、ライバルは勝ち誇った表情で立ち尽くす。
「俺の勝ちだな。」
しかし、倒れていたはずのエリシアの体が淡く光り、霧のように消え去った。そこには、彼女の涼やかな笑みが残されていた。
「ふふふ、残像ですわよ。」
驚愕するライバルの目の前に、エリシアが再び姿を現す。彼女の瞳は冷たく光り、その口元には余裕の笑みが浮かんでいた。
激闘はさらに激しさを増していた。
エリシアとライバルは、互いに残像を繰り出し合い、戦場には幾重もの彼らの姿が現れては消えていた。
「私の攻撃を避けることなど、不可能ですわ!」
エリシアの声が複数の方向から響き渡る。
ライバルは笑いながら応じる。
「そいつはどうかな?」
エリシアの残像が一斉にライバルに襲いかかる。だが、全てが通り過ぎた瞬間、そこにライバルの姿はなかった。
「残像…ですわね?」
エリシアは眉をひそめる。
「その通り。」
ライバルの声が空中から聞こえてくる。エリシアは素早く振り向くが、彼の姿はまたしても残像。
再びエリシアがライバルに攻撃を仕掛ける。
ライバルは目にも止まらぬ速さで回避しながら、声を響かせる。
エリシアとライバルは、戦いから少し離れた場所にあるベンチに腰を下ろし、昼食を取り始めた。
二人は静かにサンドイッチをかじりながら、目の前で繰り広げられる残像同士の激しい戦いを眺めている。
「いや、あいつら誰だよ……」




