覚えてない
エリシアは、自分の魔術師としての力を誇示するために、あるライバルと「リザードをどれだけ倒したか」で勝負することになった。
彼女のライバルは、無口で冷静な戦士タイプの男だったが、戦闘の腕前は確かで、エリシアも一目置いている相手だった。
二人は指定された砂漠地帯に降り立ち、勝負が始まった。リザードたちが次々と姿を現すと、エリシアはまず強力な火球を放ち、一気に数匹のリザードを焼き尽くした。火の粉が舞い、砂漠の空気が熱で揺らめく。
「これで一撃ですわね!」
エリシアは満足げに言い、ライバルに目をやる。
男は無言で剣を抜き、一瞬のうちにリザードたちを次々と斬り倒していく。その動きはまるで踊るように流麗で、エリシアの魔法と同じくらいの速さでリザードを葬っていた。
「ちょ、ちょっと速いですわね……!」
エリシアは焦りを感じ、強力な魔法を繰り出していく。火炎、氷柱、雷撃、あらゆる元素を操り、リザードたちを次々と倒していくが、ライバルの剣捌きも劣らず、互角の勝負が続いた。
リザード倒し対決は次第にエスカレートしていった。
エリシアとライバルの間で、単なるリザードを倒すだけではなく、いかに壮絶な方法で倒すかが勝負の鍵となっていったのだ。
まず、エリシアが次に挑んだのは、巨大なリザードキング。通常のリザードとは比較にならないほどの大きさと力を持つその獲物を見つけたエリシアは、得意げに微笑んだ。
「これで決まりですわ!」
エリシアは天空に手をかざし、雷雲を呼び寄せる。雷鳴が轟き、稲妻がリザードキングに向けて放たれた。
その瞬間、凄まじい閃光と共にリザードキングは消し炭となり、エリシアは満足げにその場を後にした。
しかし、その直後にライバルが挑んだのは、砂漠の奥深くに潜む古代リザードドラゴンだった。
伝説とさえ言われるそのリザードを目の前にしても、ライバルは一歩も引かずに戦いを挑む。彼は一言も発することなく、剣に魔力を込め、瞬く間にリザードドラゴンを斬り伏せた。
「やってくれますわね……!」
エリシアは思わず舌打ちし、さらなる策を練り始める。彼女の次の挑戦は、リザードの巣穴ごと火の海にするという大胆なものだった。炎の嵐を巻き起こし、無数のリザードを一気に焼き尽くした。
「どうですの?これで終わりにしましょう?」
エリシアは勝ち誇った表情を見せたが、ライバルは冷静なままだった。
彼は無言で次なる挑戦に向かうと、砂漠の中央に立つ石柱に目をつけた。その石柱は古代のリザードたちが集う神殿の跡であり、そこに潜む全てのリザードを一度に倒すことを考えたのだ。
ライバルは剣を振り上げ、神殿を崩壊させると同時に、数十匹ものリザードを瓦礫の下敷きにした。その光景を見たエリシアは、もはや単なる勝負ではなくなっていることに気づき始めた。
「これ以上は……やりすぎかしらね」
エリシアは内心でそう思いながらも、引くに引けない状況に追い込まれていた。リザード倒し対決は、もはや二人のプライドを懸けた壮絶なバトルへと変わりつつあった。
地形を変えるほどの激しい戦いが続き、リザード倒し対決は最終局面を迎えた。
砂漠はもはや元の姿を留めておらず、広がるのは荒れ果てた大地と崩れた石柱だけだった。エリシアとライバルはお互いに息を切らしながらも、決して引き下がることなく戦い続けていた。
最後のリザードが消滅すると、戦いの場には静寂が訪れた。二人は、もう一匹のリザードも残っていないことを確認しながら、ぼろぼろになった砂漠の地を見渡した。
「どんだけ倒したか覚えてへん……」




