表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/66

11.修行が必要っぽい

「じゃあ、さっそく!」


 やりたかったことそのいち! のリベンジといきましょうか!

 最初から難しいのは無理だから、買ってきたトマトと豚肉の塩漬けを使って、トマトパスタに挑戦しよう。

 ということで。


「まずはお鍋とフライパンとー」


 必要な食材や調味料を引っ張り出しておいてから、台所の棚の中をあっちこっち探してみる。

 それにしても、髪を縛ってると邪魔にならなくていいなー。初日のお片付けの時も、縛ってからやればよかった。


「……って! ちょっと待ってよ!」


 この家、調理器具少なすぎじゃない!?

 かろうじてお鍋とフライパンは見つかったけど、どう考えても一人用。

 というか、取っ手のついたザル? 的なものも小さいのしかなかったんだけど。


「これ……この家でお料理って、本当にされたことあるのかな……?」


 食材があるってことは、これがはじめてじゃない、と……信じたいなー。

 そして実は、スプーンとフォークがちゃんと引き出しの中にあるのを確認したのもはじめてだったりする。

 いつもは食事と一緒に並べて置いてあって、いつの間にか消えちゃってるから。


「……当たり前に受け入れてるけど、改めて考えると魔術って凄すぎない?」


 なんで当然のようにあったかいご飯が、誰もないはずなのに用意されてるんだろうね。

 というか、毎食私に合わせて準備されてるの、ホントに凄いと思う。

 割と旦那様って、マメだよね。


「まぁ、それは今はいいや」


 本人もいつ帰ってくるのかよく分からないし、むしろ居ないなら居ないで別段困らないし。

 それよりも今は、トマトパスタが大事!


「じゃあまずは、お鍋にお水とー……大さじ?」


 そんなもの、この家にはないよ?


「え、さっそく?」


 前途多難すぎじゃない? パスタだよ? リゾットでもなければ、ローストビーフでもないんだよ?

 私の知識(・・)が間違ってなければ、茹でで炒めて煮込んで終わり、みたいなやつだよ?


「えー……どうしよう」


 とりあえず、目の前にある普通のスプーンでもいいかな?

 困ったなぁ。そういうの、当たり前にあるものだと思ってた。

 今度調理器具を揃えに行かないと。


「え、っと。お塩をスプーン一杯」


 それとお水を入れてオッケー。

 ちなみにこの家の水道って、一回触ったら水が出て、二回連続で触ったら止まるんだよね。水量を変えたいときは、一回タッチすると一段階アップ、みたいな。

 メチャクチャ便利じゃない!? 一回これ知っちゃうと、他は使えなくなっちゃうよ!

 私はじめてこれ使った時、どうすればいいのか分からなかったけどね!


「で、火にかける。…………どうやって?」


 目の前にあるのは、たぶん火が出るのであろうコンロ。

 なのに、なぜか。


「え、また?」


 二口コンロのどこにも、操作用の部品はついてなかった。

 水道の時と同じじゃん!!


「じゃあとりあえず、お鍋を上に置いて、っと」


 うん。今回もこれだけじゃあダメっぽい。

 水道もね、そうだったもんね。とりあえず手を出してみても、水は出なかったから。


「ということは、だ」


 何かしらの操作方法がある、ってこと。

 というか、使い方ぐらいどっかにマニュアルとか置いといてよ! 逆に使い方を発見するまでの生活が不便すぎるわ!!


「んー……」


 髪の先を指先でクルクルといじりながら、とりあえずコンロを色々と観察してみる。

 ボタンっぽいものや突起っぽいものはやっぱりないけど、水道の時と同じでどこかを触ると火がつくのかもしれないし。

 ってことは、だよ?


「何もないけど、手前の出っ張り部分とかを触ったら……」


 火がついたりしないかな。

 そう思ってそっと手を添えてみた、その瞬間。


「わ! ついた!」


 しかもすごい勢いで!


「えっ! ちょっ! 待って!」


 消し方は!? 水道と同じで二回連続で触ればいいの!?

 とりあえず、急いでタッチ!


「あ、消えた」


 焦ったー。

 火だからね? 危ないからね? このままだったら大惨事だよ?

 とはいえこれでようやく、使い方も分かったことだし。


「レッツ! クッキングー!」


 とりあえずお湯を沸かしつつ、パスタ百グラムの準備を……。


「は? 百グラム?」


 それってどのくらい?


「これは……」


 本当に前途多難かも。

 というか、私も知識ばっかりで実践経験がないから、手際が悪すぎるし。


「修行が必要っぽい」


 この家の調理器具を揃えるのが先か、私の料理スキルが上がるのが先か。

 むしろ今回のこの料理すら、ちゃんとできるのか。

 どうしよう。今さらながら、メチャクチャ不安になってきたんだけど。


「とりあえず、お湯はあと」


 先にパスタをどのくらい茹でるか決めてから、だね。

 それにこの手際の悪さを考えたら、茹でながらトマトソースとか絶対作れないし。


「パスタの量決めて、トマトと豚肉切って、ソース作ってから麺茹でよう」


 うん、そのほうがいい。絶対いい。

 だってほら、さっきのお塩と一緒で調味料の量とか、測れるものないんだし。


「よーっし。頑張るか!」


 ってことで、気合入れ直し!

 そんでもって今度こそ、レッツクッキング!



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ