第8章 二学期 第223話 元剣聖のメイドのおっさん、特別任務の説明を受ける。
黒狼クラスの教室に入った後。
席に着き、数分、待っていると……「ゴーンゴーン」と始業の鐘の音が学園内に鳴り響いた。
その鐘の音と共に、教室に、担任の猫耳幼女教師が入ってくる。
「おはようございます、みなさん。今日から二学期が始まるニャァ……オェェェ……昨日お休み最後だからって調子乗って酒飲み過ぎたニャ……ウォエッ!」
目を見開いて、えずく猫幼女。
この人も相変わらずだな……頼むから二学期早々教台の上とかにゲロを吐かないで欲しい。
フラフラとした足取りで、教壇に立つルグニャータ。
そして彼女は出席確認を取り始める。
「あー、えっと、アストレアさーん」
「はい!」
「アリスさーん」
「はい」
その後、順々に出席を取り終えた後。
ルグニャータは、尻尾にチョークを持つと、黒板に文字を書いていった。
黒板に大きく『9月内・特別任務』と書くと、ルグニャータは振り返り、教台に手を突いて口を開いた。
「えー、皆さんにご報告があります。それは……9月に実地される特別任務についてです」
特別任務という言葉に、ざわざわと騒ぎ始める教室。
それを眠たそうな目で見つめると、ルグニャータは続けて開口する。
「今回の特別任務は、学級対抗戦と同じく、勝利したクラスには報酬が与えられます。1位が勝ち星三つとトレード券、クラス軍資金・金貨五百枚。2位が勝ち星二つとクラス軍資金・銀貨五十枚。3位が勝ち星一つ。4位は報酬無し。5位はペナルティとして退学者1名といったところかニャ」
学級対抗戦の時は敗北してもペナルティは無かったが、今回はペナルティで退学者が出るのか。二学期から本格的にクラスでの戦いが増えていくとグレイは言っていたが……なるほど。どうやら今回の任務は、学級対抗戦が可愛く思えるほどの、クラス競争が激しくなりそうな内容だな。
ルグニャータを見つめて思案していると、ロザレナが手を上げて、質問を投げた。
「先生。報酬に見慣れない文字がありますが……トレード券とはいったい、何なのですか?」
「トレード券というのは、特別任務でごくまれに出される報酬のことです。このトレード券を使えば……相手クラスの生徒と自分のクラスの生徒を一名、トレードすることができます。注意点としては、付与された直後にしか使用することができない点です。それと、級長・副級長以外の生徒しかトレードすることはできませんので、悪しからず」
「トレード、ですって……?」
ロザレナは目を見開いて、驚きの表情を浮かべる。
他のクラスメイトたちも皆、トレード券に、動揺を隠せないでいた。
左隣に座っているヒルデガルトとミフォーリアも、驚いた様子を見せる。
「え? ってことはさ、トレード券を使ったら、相手クラスから優秀な生徒を引き抜けるってことじゃない?」
「た、確かに! すごいでありますね、ヒルデガルト様!!」
「ねー! 相手クラスの切り札的存在を奪ったら、それだけでも勝ち確定になるんじゃない!? やっばー!!」
キャッキャッと騒ぐダースウェリン主従。
そんな二人に、背後の席に座るベアトリックスが、呆れたため息を吐いた。
「馬鹿ですか、貴方たちは。トレード券は勝てば確かに有効に働くカードですが……敗けたら黒狼クラスから優秀な人材が抜き取られる可能性があるんですよ? そうなったらただでさえ優秀な人材が足りていないロザレナ級長ワンマンクラスである私たちには、大きな打撃となります」
「そっか! どうしよ、ミホッち! あーし、他クラスに引き抜かれるかも!! そしたらミホッちをこのクラスに置いていっちゃう!」
「がーん! それは嫌であります、ヒルデガルト様っ! 某を一人にしないで欲しいであります!」
わーんと泣きながら抱きしめ合うヒルデガルトとミフォーリア。
そんな二人に対して、ベアトリックスは怒りの声を上げた。
「何でわざわざ低級魔法しか使えない貴方たちを、他クラスが引き抜くと思っているんですか! 引き抜くとしたら間違いなく私でしょう! まったく。この黒狼クラスにおいて、ロザレナ級長とルナティエ副級長を除いたら、次に優秀な生徒は間違いなく私です。この天才魔術師の、ベアトリックスです!」
「えー? でもベアトリッちゃん、人一倍口悪いから相手クラスもいらないんじゃないー? おっぱいもないし」
「おっぱ……なんでそこで胸の話が出てくるんですか!! 私はこれでも立派なレディです!! 馬鹿にしないでくださいっ!!」
ベアトリックスは机に拳を叩きつけ立ち上がると、ゼェゼェと荒く息を吐く。
そんな彼女に、ルグニャータはコホンと咳払いをする。
「お話……続けても良いかニャ?」
「あ、は、はい。失礼しました」
頬を赤く染め、席に着席するベアトリックス。
そんな彼女を見つめた後。
ルグニャータは再び黒板に顔を向け、尻尾に持ったチョークで文字を書いていった。
数分して、黒板に、任務の内容が全て書き記されていった。
〇特別任務 概要
・実地予定日 9月25日。
・任務名『地下水路に住み着いた魔物の討伐任務』
・任務ルール その1
5クラス間で別クラスの生徒同士、5人ずつのパーティーを作る。
必ず別クラスの生徒同士でパーティーを作らなければならない。
使用人を連れている者は、ペアで、1名と換算する。
注意事項:退学した者もいるため、必然的に人数の少ないパーティができあがるケースがある。
基本的なクラスの生徒上限:1クラスの在籍生徒数は、規定上、基本的に上限45名(生徒30名+使用人15名)である。
任務が始まる20日までであれば、新たな生徒をクラスに加入させることは可能。20日以降は認められない。
現在の生徒数
・黒狼クラス 在籍生徒数44名 (生徒30名 使用人14名)
・天馬クラス 在籍生徒数45名 (生徒30名 使用人15名)
・牛頭魔人クラス 在籍生徒数45名 (生徒30名 使用人15名)
・毒蛇王クラス 在籍生徒数44名 (生徒29名 使用人15名)
・鷲獅子クラス 在籍生徒数43名 (生徒29名 使用人14名)
全体五人パーティ数 五人パーティ=28組 あまり4組×2
・ルール その2
王都の地下水路に出現した魔物の討伐
討伐難易度Eクラス(銅等級クラス)を倒し部位を持ち帰ったパーティーに1ポイント。
討伐難易度Dクラス(鉄等級クラス)を倒し部位を持ち帰ったパーティーに3ポイント。
討伐難易度Cランク(銀等級クラス)を倒し部位を持ち帰ったパーティーに5ポイント。
討伐難易度Bランク・支配者級の魔物(金等級相当)を倒し部位を持ち帰ったパーティーに、100ポイント。
ポイントは、1匹の魔物から取れた部位ひとつに付き換算される。
部位を切ったり傷付けるなどして数を増やそうと不正を働いたパーティーには、ポイントが-10される。
パーティには必ずリーダーを選定しなければならない。
任務終了時、リーダーに稼いだポイントの十分の五程度が付与され、他のメンバーは残りの五を均等に山分けする。(均等に振り分けができなかった場合、じゃんけんをして、ポイントを分け合う)
最もポイントを稼いでみせた上位三クラスを、勝者とする。
最下位のクラスになった場合は、クラス内から退学する者を1名選出する。
地下水道への入り口は東西南北に別れており、それぞれの入り口に生徒を配置する。任務が始まるまで、どのパーティがどの入り口から攻略するかは、明かされていない。
パーティが9月20日まで作ることができなかった場合、学校側が生徒をランダムで選出する。リーダーの決定も同様。
・報酬とペナルティ
1位 勝ち星三つ・トレード券・金貨五百枚。
2位 勝ち星二つ・銀貨五十枚。
3位 勝ち星一つ
4位 報酬無し。
5位 ペナルティとして退学1名
現在の勝ち星数
・黒狼クラス 勝ち星1
・天馬クラス 勝ち星0
・牛頭魔人クラス 勝ち星1
・毒蛇王クラス 勝ち星0
・鷲獅子クラス 勝ち星2
一通り任務の内容と現在の情報を黒板に書き終えると、ルグニャータは振り返り、大きな欠伸をした。
「ふわぁ……。まぁ、特別任務はこんな感じです。後で消すので、書記の方は、今のうちにメモしておいてくださいねー」
「分かりました」
書記である俺は頷き、ノートにペンを走らせる。
「さて。みんな、大体のルールを理解できたかニャ? この任務は平たく言えば、他クラスの生徒と五人組を作って、地下水道に居る魔物を討伐する任務だニャ。討伐した魔物のポイントは、リーダーが多く貰い、他のメンバーは微量ニャ。討伐難易度Bランク・支配者級を倒せればがっぽりだけど……勿論、死の危険もある。これは学級対抗戦のような模擬戦闘ではなく、れっきとした魔物の討伐、任務ニャ。当然、死と隣り合わせにあることは忘れないで欲しいニャ」
ルグニャータのその言葉に、クラスメイトたちはゴクリと唾を飲み込み、緊張した面持ちを見せる。
任務、か。これが騎士候補生たちにとって、初の戦場となるのだろうな。
「えっと……みんな、何か質問はあるかニャ?」
誰もがこれから始まる任務に恐れ戦く様子を見せる中。
ルナティエはいつもと変わらない表情で挙手し、ルグニャータに声を発した。
「先生。ひとつ、よろしいですか?」
「何かニャ、ルナティエさん」
「この任務、少しいじわるなんじゃありませんの? 他クラスで五組を作るまでは良いですわ。ですが……リーダーに大量のポイントが付与される仕組みでは、他クラス同士で五人集まってみせても、皆がリーダーになりたがってまともにパーティーなんて作れませんわよ? 喧嘩が起こること間違いなし、ですわ」
「うん、そうだろうねー」
「そうだろうねって……何でそんな他人事なんですの!? それでも貴方、この黒狼クラスの担任なんですの!? 生徒が命を賭けて本気で臨む任務なのですから、貴方ももっと誠意を見せなさい!! 教師である貴方は、このクラスの師団長的立場にいるんですのよ!?」
「うひぃっ!? ち、違うんだよ、ルナティエさん! このルールを作ったのはゴーヴェン学園長だから、私はその意図がよく分かってないんだニャっ! 私は何も悪くないんだニャ! 責めないでーっ!」
激怒するルナティエにビビる、猫耳幼女教師。
ルナティエはそんな彼女に呆れたため息を吐いた後。
顎に手を当て、思案し始めた。
「……あの学園長が、何の意図もなく、一歩間違えたら破綻しかけないルールを任務に組み込むはずがありませんわ。この任務は、魔物討伐が主目的ではなく、恐らく他クラス、敵を理解するための密偵的な試験と思われる……敵クラスを探るのが任務? いえ、違いますわね。恐らくは……」
その時。ゴーンゴーンと鐘の音が校舎内に響き渡った。
それと同時に、黒狼クラスの戸を叩き、一人の生徒が姿を現した。
「失礼する。黒狼クラスの級長と副級長はいるか?」
そこに現れたのは、先ほどロザレナと廊下ですれ違った、金髪の青年だった。
その青年を見て、最後列に座っていたルナティエは、納得した様子を見せる。
「ジークハルト……なるほど。やはり、考えることは同じですか」
ルナティエは席を立つと、最前列に座るロザレナの元へと向かって行った。
そして彼女の肩をポンと叩くと、ロザレナに声を掛ける。
「ロザレナさん。行きますわよ」
「え? 何? どこに?」
今まで難しい顔をして黒板を睨み付けていたせいか、お嬢様はルナティエにも、ジークハルトと呼ばれた青年の姿にも気付いていなかった様子だった。
そんな彼女に、ルナティエはやれやれと肩を竦め、口を開く。
「この任務は、元々、級長同士で話し合うことを前提として作られているのでしょう。級長同士でリーダーの取り分を決める……それが、ゴーウェン学園長の目的。敵クラスとの交渉術テストを兼ねた任務。魔物討伐は二の次なのですわ」
「? 意味が分からないわ。支配者級を倒せば勝ちなんじゃないの?」
「違いますわよっ! たとえ支配者級を倒せても、リーダーでなければポイントは雀の涙でしょうがっ!」
未だによくルールを理解できていないのか、ロザレナは「うーん」と首を傾げる。
そんな彼女にルナティエは大きくため息を吐くと、ロザレナの手を引っ張り、立たせようとした。
「いいから、行きますわよ」
「う、うん。よく分からないけど分かったわ。それじゃあ、アネットも来て」
「あ、はい。分かりまし――」
俺が立ち上がろうとすると、ジークハルトはロザレナに声を掛けた。
「これから私たちは級長全員を集めた会議を行う。故に、使用人は不要だ。どうせ邪魔になるだけなのだからな」
「はぁ!? 何であんたにそんなこと決められないといけないのよ! あたしが自分のメイドをどこに連れて行こうが、自由でしょうがっ!」
「? 何故、そこまでして使用人を連れていこうとする? これから始まるのは互いの進退を賭けた討論の場だ。どうみても不要だろう」
「あんた――」
「ロザレナさん、アネットさんは置いていきましょう。彼の言う通り、級長が集まる場にメイドは不要ですから。アネットさんもそれでいいですわよね?」
ルナティエはこちらに目を向けてくる。
その視線は、ロザレナのことは自分に任せろと、目で俺に訴えていた。
「そうですね。一緒に行ったところで、私ではお話についていける気がしません。では、私は教室に待機させていただきますね、お嬢様」
「え? ちょ、アネッ―――」
「さぁ、行きますわよ、ロザレナさん」
「ちょ、ちょっと! 手を引っ張らないでよ! 行くから!」
教室を出て行くジークハルト。そんな彼の後を追って、ルナティエとロザレナは教室から廊下へと出て行った。
あのジークハルトとかいう青年……口ぶりから察するに、どうやら他クラスの級長のようだな。
しかし、何か、何処かで見たような、見ないような顔だな?
まぁ、他クラスの級長のことなど、どうでもいいか。
あとは級長同士の会話で、お嬢様が今朝のように暴走しないことだけを、祈るばかりだな。
「それじゃあ、朝のミーティングは終わりにしまーす。休み時間でーす」
そう言ってルグニャータは気怠げな様子で、ロザレナとルナティエに続いて教室の外へと出て行った。
その後、隣の席に座る金髪ギャル子ちゃんことヒルデガルトがうーんと伸びをして、こちらに声を掛けてくる。
「ねーねー、アネットっち、特別任務についてどう思う? なんか、難しくない?」
椅子を斜めにして、悩まし気な表情を浮かべるヒルデガルト。
俺は微笑を浮かべて、同意するように頷いた。
「そうですね。結構、ルールが難しそうですよね」
「だよねー。まぁ、うちにはルナティエっちがいるから大丈夫かなー? ヒルダさんはこう、頭使う系は苦手なのですよー。うーむ」
「私もであります! もっと、こう、敵を倒したら全員均等にポイントを与える単純なルールにして欲しかったであります!」
「ねー。他クラスとパーティ組むのも何か謎じゃない? 何で敵と仲間にならなきゃいけないわけ? 黒狼クラス以外の生徒なんて、顔も名前も分かるわけないじゃんー。テンション下がるー。クラスでパーティ組むんだったら、仲良しなアネットっちとかベアトリッちゃんと組むのにさー」
「……そこが、学校の狙いなのだと思いますよ」
そう言って声を掛けてきたのは、席を立ち、こちらに近付いてきたベアトリックスだった。
ベアトリックスは俺に顔を向けると、目を輝かせて、興奮した様子を見せる。
「おはようございます、お姉さまっ! 二学期もこうしてお姉さまのお顔を拝謁できて、幸せですっ!」
「お、おはようございます、ベアトリックスさん……」
「はいっ!」
嬉しそうに満面の笑みを浮かべるベアトリックス。普段は不愛想で目つきの悪い少女だというのに、何なんだこの変わりようは……やはりあのマフラー変態男の血を引いている、ということか……その謎のテンションの上がり様は確かによく似ているな……。
「うわー、朝から百合爆発してるよー、この子ー。それよりも、学校の狙いってなんなのよ、ベアトリッちゃん」
「それは――」
「それは、より美しい生徒を作るためである! うむ。今日も我は美しいっ!」
「お、おはようございます、みなさん」
手鏡で自分の顔を確認するシュタイナーと、相変わらず気弱そうな様子を見せるルークが、こちらに近付き声を掛けてくる。
ベアトリックスはため息を吐くと、腕を組み、口を開いた。
「違います。適当なことを言わないでください」
「そうであります、変態画家。お前は自分の顔だけ見つめて無駄な一日を過ごせば良いのであります。話しかけてくるな、であります」
「ミホッちは相変わらずシュタイナーに厳しいんだねー」
「この男は、隙あらばアネットさんに裸婦画を要求してくる変態、でありますから」
ガルルルルとシュタイナーに唸り声を上げるミフォーリア。
そんな彼女を無視して、ベアトリックスは開口する。
「魔法兵部隊が何故か全員集まりましたが……まぁ構いませんか。良いですか、皆さん。学校側は恐らく、この任務で『敵組織との交渉術』『敵組織の情報を探る力』を生徒に身に着けさせようとしているんだと思います」
「『敵組織との交渉術』『敵組織の情報を探る力』、でありますか?」
「はい。敵を倒すだけなら誰でもできますからね。敵と手を組み、同じ目標を倒し、分け前をどう分配するか考える……これはそういった任務なのです。逆に敵生徒を知ることができる、良い機会ともいえますね」
「交渉術、か。確かに、いきなり敵クラスに行って、この子と仲間になりたいーとか言うの、難しいもんねー。そういったコミュ力を鍛えるテストでもあるのかなー」
「そういった一面も勿論あるでしょうね。騎士にとっては武力だけではなく、対話力も必要ということなのでしょう」
なるほど、対話力か。前世の俺が最も苦手とする分野だな。
アーノイックはコミュニケーション能力不足すぎて、最早、人間嫌いになっていたからなぁ。
酒が入ると会話もせずにムカツク奴に拳を振るうわ、アレスが亡くなってからジャストラムときまずくなって一切会話しなくなって疎遠になるわ、ハインラインが止めてくれたのにギャンブルで身銭溶かしてゴミ捨て場でパン一で目を覚ますわ……って、あれ? よくよく考えると俺、すんごい駄目人間じゃない? ちょっとやばくない?
だけど、待て。安心してくれ。今の俺は、完璧美少女アネットちゃんなのである。
酒もたばこもギャンブルももう辞めたし、今では掃除洗濯料理と完璧なメイドっぷりを発揮している。
そうだ。コミュニケーション能力も、今の俺には備わっている!
もうコミュ弱おじさんじゃないぞ、俺は! コミュ強メイドおじさんだぞ!
「わー、なんか、アネットっちが自信に満ちた顔してるー、なんでー?」
「お姉さまは恐らく、次の任務に対して、何か素晴らしい策を閃いたのです。流石はお姉さま……っ! 尊いっ!」
口に手を当て、感激の涙を流すベアトリックスと、そんな彼女をドン引きした様子で見つめるヒルデガルト。
俺はそんな二人を無視して、改めて自分が成長したことに、喜ぶのだった。
……筋骨隆々のオッサンからきゃるるんメイド美少女に転生してしまったことについては、喜んで良いのか、未だによく分からないがな。
第223話を読んでくださって、ありがとうございました。
よろしければ、いいね、評価、感想等、お願い致します。
1~3巻、発売中です。作品継続のためにご購入の程、よろしくお願いいたします。




