第7章 第189話 夏季休暇編 水上都市マリーランド ㉑
「さて、今後の策略を練る前に、まずは腹ごしらえといくか。フランシアの料理は王国一! 客人たちよ、当家の食事を存分に楽しまれるが良い! ハッハッハッハッ!」
フランシア伯に迎え入れられ、屋敷の中へと入った後。
俺たちは豪奢なシャンデリアが吊るされた、大広間へと通された。
上座にはフランシア伯が座り、その左の席にセイアッド、右にルナティエが座る。
そしてルナティエの隣にロザレナ、グレイ(フランシア伯から貰った服に着替えた)、俺という順番で席に着いた。
目の前にあるのは、豪勢な料理の数々。
二枚貝のアヒージョ、薄切りのトマトとチーズを挟んだカプレーゼ、青魚のカルパッチョ……といった、色鮮やかな魚介と野菜を使ったメニューが、取り皿の前に置かれていた。
レティキュラータスではあまり馴染みのないその料理に、俺は思わず目を輝かせてしまう。
すると、その時。フランシア伯が、不愉快そうに眉をひそめた。
「先ほどから気になっていたが……何故、貴族である私たちと同じ席にメイドが座っている? 無礼であろう! 主人の背後に待機しておれ、使用人!」
「あ、は、はい! すいません!」
俺はあわてて席を立ち、ロザレナの後ろへと行く。
こちらに来てから今まで、ルナティエと同じ席に座っても彼女に何も言われなかったから……思わず、普通に一緒の席へと着いてしまった。
確かに、メイドである俺が、貴族である彼らと席を共にするのはおかしい話だ。
気が緩んでしまっていたな。ここは、他家の伯爵様の御家。
レティキュラータス家の格を落とさないためにも、反省しなければならないだろう。
「……あの、ちょっと良いですか?」
ロザレナは手を上げ、フランシア伯へと視線を向ける。
そんなお嬢様に、フランシア伯は首を傾げた。
「何かね?」
「あたし、彼女には、一緒に食事の席に着いてもらいたんですけど。この子は、あたしにとってはただのメイドじゃなくて―――」
「お、お嬢様! 構いません! 私はこちらで待機しておりますので!」
「何を言っているのよ、アネット。主人であるあたしが良いと言っているのだから、別に、気にする必要なんて……」
ロザレナがそう、俺に向けて口を開きかけた……その時。
ルナティエが勢いよく立ち上がり、フランシア伯に向けて指を差した。
「お父様!! アネットさんを立たせるなんて酷いですわ!!」
「ル、ルナティエ……?」
その突然の行動に、呆けた様子を見せるフランシア伯とセイアッド。
コホンと咳払いをすると、フランシア伯は困ったように笑みを見せる。
「ど、どうしたんだ、ルナティエ。使用人と席を共にしては、貴族の権威が落ちる……貴族とは、権威があってこそのものだ。我らの力が失墜すれば、フランシアの統制にも混乱が起こるというもの……そのことは、幼少の頃からちゃんと理解していたではないか、お前は」
「そ、それは、そう、ですわ……。で……ですが!! 他の使用人ならいざ知らず、アネットさんはわたくしの大事なお友達ですもの!! 彼女を立たせるというのならば、わたくしも端に立って食事致しますわ!!」
「無茶苦茶なことを言うでない!! ここには、アレクサンドロスの嫡男もいるのだぞ!? フランシアの娘が立って食事するなど、そのような行為をしては、当家の格が疑われるというもの!! それと、使用人を友人として扱うな!! 使用人は使用人!! そこの分別は明確に弁えよ、ルナティエ!!」
「ですが―――!!」
「ル、ルナティエお嬢様!! だ、大丈夫ですから!! ロザレナお嬢様も、お心遣い、感謝致します……!!」
「アネットさん……」「アネット……」
ルナティエは不服そうな様子を見せながらも、席へと座り直した。ロザレナも落ち着きを取り戻す。
その光景にふぅと大きくため息を吐き、俺はロザレナの背後に待機した。
するとその時。フランシア伯は、ロザレナへと訝し気な視線を向けた。
「…………ん? 待てよ? おい、そこの青紫色の娘。使用人を連れていることからして、お主は貴族だと思われるが……まだ名を聞いていなかったな。お主は、どこの家の者だ?」
「ん? あぁ、あたし? あたしは、レテ―――」
「ゴホッ、ゴホォォォォォォンッッ!! ゴホッ、ゲホッ!!」
突如盛大に咳払いをし始めるルナティエ。
さっきから色々と忙しないな、このお嬢様は。まぁ、今のはお嬢様が百割、悪いのだが。
「ど、どうしたのだ、ルナティエ!? まるで痰が絡んだ中年のような咳だったぞ!?」
「そ、そこのご令嬢は、わたくしが兼ねてから仲良くさせていただいている、リテュエル家のご息女様ですわ。ねぇ、アリスさん?」
「はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!? あたしをあんないじめっ子と一緒にすんじゃないわよ、ルナ―――」
「アリス様、お水です! お水をお飲みくださいませ!」
「ガボッ、ゴボッ!! ちょ、ちょっと!! あたしの口に無理やりコップを押し付けてこないでよ、アネット!!」
コップを掴み、背後からお嬢様の口を塞ぐ。
このお馬鹿さんは……今朝、ルナティエから忠告されていたことをもう忘れていやがるな?
フランシア家はレティキュラータス家を目の仇にしている。
だから俺たちは、トラブルを避けるために、フランシア家では他家の貴族を演じなければならない。
そういう話を事前にルナティエと付けていたのに……さっき、普通にレティキュラータスと名乗ろうとしていたな、我が主人は……。
俺とルナティエがいなかったら、今頃、目も当てられない惨状になっていそうだ。
「ほう、貴殿はリテュエル家の娘だったのか。かの御家は古くからフランシアの傘下にあり、私とも付き合いが長い一族。ぜひ、今後ともルナティエと良き友人でいてくれたまえ」
「ぷはっ! もう、いきなり何すんのよ、アネッ…………って、あ゛! そ、そっか……そうだったわね」
今頃になって偽名の件を思い出したのか、お嬢様はダラダラと汗を流し始める。
そんな彼女の様子など気付く素振りも見せず、フランシア伯は続けて口を開いた。
「しかし、青紫色の髪、か。一瞬、レティキュラータス家のドブ鼠どもを思い出してしまったぞ」
「びくっ!」
背筋を伸ばし、緊張した面持ちでゴクリと唾を飲み込むお嬢様。
フランシア伯はワイングラスを片手に持ち、揺らすと、眉間に皺を寄せた。
「そういえば、彼奴等の娘……ロザレナは、我が娘、ルナティエと決闘して勝利したと聞いたな。フン、どうせ卑怯な手を使って無理やり勝利したのであろう。でなければ、堕落した剣聖の一族が、私のルナティエに勝てる道理などあるわけがないのだからな。正々堂々と戦えぬとは、やはり四大騎士公の恥さらしだな、奴らは。誰かが灸を据えてやらねばなるまいて」
「……」
怒りを堪え、無理やり笑みを作り、プルプルと震えるお嬢様。
見たところ、怒りゲージ40パーセントといったところか。
「しかし、この前、学級対抗戦の時に久しぶりにエルジオの奴に会ったが……相変わらず能天気そうな、マヌケな顔をしておったな。王国に何も与えられぬ無能領主めが。アレが同じ四大騎士公の座に就いていると考えると、腹立たしくて仕方がない」
「…………うぅ……」
うーん、怒りゲージ90パーセントくらいかな。
お嬢様にしてはよく我慢していらっしゃるな……後で褒めてあげよう。
「ハッ! まぁ、どうせ、あの御家は長くは保つまい。ドブ鼠が産むのは所詮ドブ鼠だ。次代の当主もどうせろくでもないに決まっておる! ハッハッハッ!!」
「う……うぅぅぅぅ……うぐぐぐぐ!!」
両の拳を握り、俯き、歯をギリギリと噛みしめる怒り99パーセントのロザレナ。
そんな彼女の様子を見て、隣に座るグレイは不思議そうに首を傾げた。
「ん? そんなに身体を震わせてどうした? トイレでも我慢しているのか? ロザレ―――もがががぁ!?」
「はい、グレイレウス様もお水、飲みましょうね~。夏は水分補給が大事ですよ~」
「がぽっ、ごぽっ!? せ、師匠、これは、いったい何の修行―――ゴポポポポ」
事情を知らないグレイには申し訳ないが……少し、黙っていてもらおう。
俺は背後からグレイの口にコップを押し付けつつ、さり気なくルナティエへと視線を向ける。
ルナティエは俺のその視線の意味を理解したのか。こちらにコクリと頷いてみせた。
そして、話題を変えるため……父と兄へと顔を向け、彼女はニコリと微笑みを浮かべる。
「お父様。アリスさんとその従者であるアネットさんには、騎士学校でとてもお世話になっているんですわ。そこのマフラー男とも、寮が同じで、度々顔を合わせることもありますの。満月亭で暮らす他の寮生の皆さんとも、親しくさせていただいておりますわ!」
「使用人と親しく、か。やはり、問題があるような気がするが……」
「いや、待ってください、父上。稀代の天才である我が妹、ルナティエのことです。何か狙いがあるのかもしれません」
「うむ。確かに……ルナティエは、私やセイアッドよりもさらに上の天才だからな。リテュエル家の使用人と親しくしておくことで、何かあるのかもしれない」
「え」
二人の見当違いの発想に、目をパチクリとさせるルナティエ。
なるほど……出会った当初のルナティエが、どうして異常なまでに勝利に拘るようになったのか、その答えが何となく見えてきたかもしれない。
家族からの、強すぎる―――信頼、期待、か。
それが、この少女が指揮官を目指す、根本的な理由なのかもしれない。
だが……彼女が持つ本当の素養が、家族の期待値に叶ったものなのかは……定かではないだろうけどな。
「そ、その通りですわぁ!! わたくしは天才ですもの!! 勿論、狙いがあってのことですわよ!! オーホッホッホッホッ!!」
「やはり、そうか! 流石は我が娘!!」「うん、流石は俺の妹だな!!」
「オーホッホッホッホッ…………ええ、わたくしは、天才であるお父様とお兄様の血を引いていますから……当然、わたくしも同じように天才……なんですわ……」
俯き、か細くそう呟くルナティエ。
そんな彼女の様子に、フランシア伯と兄セイアッドは、まるで気付いてはいなかった。
その後、和やか(?)な夕食は恙なく進み……フランシア家のメイドが皿を片付け終えると、伯爵は口元をナプキンで拭きながら神妙な顔で呟いた。
「さて……これから、フランシア領を守るための作戦会議を開きたいと思うが……アレクサンドロス家とリテュエル家の二人は、我らフランシア家に協力してくれると見て、良いのかね?」
フランシア伯のその言葉に、グレイとロザレナは同時に頷いて応える。
「あぁ。恐らく、この地を狙うのが奴らの一番の目的だろうからな。師が協力するのならば、オレも惜しみなく力を尽くそう」
「リ、リテュエル家、か……。はぁ、何だか釈然としないけれど、分かったわ。あたしたちも一緒に戦ってあげる。それで良いわよね? アネット?」
「はい。お嬢様の意志に従います」
「ふむ。今は、猫の手も借りたい時。当家としては、現在兵力が足りていないのが現状。我がルナティエよりも劣るとは思うが、兵としての貴様らの資質に賭け、頼らせてもらうとしよう」
「……何だと?」「何ですって?」
その発言が聞き捨てならなかったのか、グレイとロザレナは同時にフランシア伯へと鋭い目を向ける。
やっぱりうちの弟子たちは血気盛んだな……。
メイドの立ち位置である以上、二人に忠言することができない場面もあるから……やはりもう一人、まとめ役の弟子が欲しいところだ……。
「お、お父様。今現在、フランシア領がどのような状況になっているか、改めて説明していただいてもよろしいでしょうか?」
険悪な二人の様子を察してか、ルナティエは、フランシア伯へとそう声を掛ける。
伯爵はその言葉に頷くと、背後に居るメイドへと視線を向けた。
「あぁ、そうだな。おい、フランシアの地図を持って来い」
背後に立っていた、今朝見かけたメイドは伯爵に頭を下げ、部屋の外へと出て行く。
そして彼女はすぐに戻ってきて、丸められた羊皮紙を、フランシア伯へと丁寧に手渡した。
「旦那様。こちらでよろしいでしょうか?」
「ご苦労。では、皆の者、こちらに近付いて、よく見たまえ」
テーブルの上に広げられたフランシア領の地図。
広大な土地の最南東、海辺にあるのは、現在俺たちがいる領都マリーランド。
フランシア伯はメイドから羽ペンを受け取ると、マリーランドに〇を付ける。
「ここが、今、我らの拠点の【マリーランド】だ。未だ『紅い兵団』に占領されていない土地である。そして、先ほど、私とセイアッドが騎士団を引き連れて『紅い兵団』と戦った場所、【バストラル丘陵】は、中央、フランシア平原の隣にある」
マリーランドから北西の位置にある、【フランシア平原】。
その北の上にあるのが、【バストラル丘陵】。そこに、フランシア伯は×を付ける。
「バストラル丘陵のさらに北にあるのがアレクサンドロス領だ。そこから北西にまっすぐと進むと、王領がある」
続けて伯爵は、アレクサンドロス領の関所にも×を付ける。
「アレクサンドロスにも奴らは侵攻していた。そして、マリーランドへと続くキュリエール大橋も破壊済み。だが、ここでひとつ、不可思議な点が発生する。それは、奴らはマリーランドを襲撃するつもりなのに、何故、マリーランドへの唯一の通行場所である橋を破壊したのか、ということだ」
「確かに、お父様の言う通りですわね。橋を破壊するのならば、侵攻と同時に行うのが戦略のセオリーというもの……なのに連中は、まだ、マリーランドに攻めてきてはいない……これは、どういうことなんでしょう……? 今日混乱に乗じれば、お父様も騎士団も居ないマリーランドに、すぐに攻め込むことができましたのに」
「……フン。フランシア伯が魔道具で逃げてきたように、奴らは、【転移】の魔道具でも所持しているのではないのか? いつでも攻められる状態にあるからこそ、橋を破壊した。そう見るのが最も正しいとオレは思うが?」
「いや、それはまずあり得ないであろう。魔法に長けた帝国ならいざ知らず、共和国の連中が兵団ごと移動できる数の【転移】の魔道具を保持しているとは考え辛い。それに、奴らの住まう島には、鉱山があまりないと聞く。魔石の供給量も間に合ってはいないであろう」
「なるほど、父上の言う通りですね。だったら、これは……いったいどういうことなんだ……?」
セイアッドがそう、疑問の声を発した、その時。
ロザレナがポソリと呟いた。
「既に、マリーランドの中に主要な戦力が集まっているんじゃないの?」
お嬢様の発言に、全員、彼女へと驚いた表情を向ける。
ロザレナはその視線に、慌てふためき始める。
「な、何よ!? あたし、何かおかしなことを言った!? 【転移】の魔道具が少なからず何個かあるのなら、マリーランドの中に主要な戦力を集めるまでの間、連中は陽動のために紅い鎧の奴らを動かしていたのかなって、そう思っただけなんだけど!?」
「いや……まさかお前が、そんな理にかなった推測をするとは思わなくてな。少々、驚いたのだ」
「ええ、グレイレウスの言う通りですわ。ロ……アリスさん、貴方、何かおかしなものでも食べまして?」
「あ、あのねぇ! グレイレウスもルナティエもあたしのこと馬鹿にしすぎなんじゃないかしら!? あたしだってたまには考えることくらいするわよ!!」
プンプンと怒るロザレナ。
そんな彼女に対して微笑みを浮かべると、フランシア伯はコクリと頷く。
「先ほど、貴殿を単なる貴族令嬢として侮ったこと、撤回しよう。良き友を得たな、ルナティエよ」
「こ、この子は友達なんかじゃ……!!」
そう取り繕うルナティエは、不愉快そうに眉根を寄せながらも、何処かまんざらでもなさそうだった。
そんな娘の姿にコクリと頷きを返すと、フランシア伯は全員に向けて口を開く。
「では、今から、フランシア領防衛作戦を練ろうと思う。フランシア領を守る騎士は、今のところここにいる者たちだけ……私、ルーベンスと、息子のセイアッド、娘のルナティエ。そして、アレクサンドロス家の嫡男グレイレウスとリテュエル家のアリス。この五人だ。戦を無事に終わらすことができれば、アレクサンドロス家とリテュエル家には褒美をつかわそう。今後、フランシア家とも良好な関係を築くことも約束する」
「え? 五人?」「む? 五人だと?」
ロザレナとグレイがフランシア伯の言葉に首を傾げ、同時に背後に居る俺へと視線を向けて来る。
俺はその視線に対して、ぷいっと顔を背けた。
「? どうしたのだ? グレイレウス、アリスよ?」
「いや、あの、アネットは?」「我が師が入っていないのはどういうことだ?」
「いや、メイドを戦力に数えるのはおかしかろう? 何も鍛えていない使用人が、すぐに兵になれるわけがないのだからな。……はぁ、まさか、子供に頼らねばならん事態になるとはな……先ほど戦った一騎当千の戦士のように、何処かに一人で騎士団数十人分の兵力を持つ剣士は、いないものか……」
またしても、俺に無言で視線を向けて来るロザレナちゃんとグレイレウスくん。
……やめて。こっち見ないで。私はただのメイドです。
「……」
「……ん?」
その時。遠くの席から、俺のことをジッと見つめているルナティエと目が合った。
だが彼女は目が合うと、すぐに視線を外し、巻き毛をクルクルと弄り始める。
ルナティエ? 俺のことを見つめて……どうか、したのだろうか?
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……チッ、念話での呼び出し、か。百足の老人め、明日にでも事を始めるつもりと見た」
漆黒の騎士はゴンドから視線を外すと、武器屋の店前で素振りをする少女、メリアへと声を掛ける。
「メリア! 俺は先に戻っているぞ!」
「……わかった」
その言葉にコクリと頷くと、再び巨大な斧をブンブンと振り回し始める少女。
漆黒の騎士はフッと笑みを溢すと、再び目の前に立つゴンドへと顔を向けた。
「あのハルバード、貰っても構わないか?」
「どのみち何十年も持ち手が見つからなかった武器じゃ。それに、あの武器も既にあの少女を主人と認めている。勝手に持っていけ泥棒」
「感謝する。そうだ、もう一本、適当な剣を俺に貰えないだろうか? できれば、ミスリルかアダマンチウム製の刀剣が好ましい」
「? 別に構わないが……お主、確か、二刀流ではなかったような?」
「あぁ、俺は一刀流だ。だが、今ある武装はこの『赤狼刀』のみだからな。こいつは、俺とはかなり相性が悪い。だからもう一本、新しいメインウェポンとなる剣が欲しいのだ」
その言葉に、ゴンドはやれやれと肩を竦めると、武器屋の中へと戻って行くのだった。
二巻発売まであと一か月です……!
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