第6章 第165話 学園に潜む亡霊 ⑤
その後、オレたちはそれぞれの階を目指して歩みを進めて行った。
オリヴィアとマイスは四階で光合石の回収。グレイレウスは六階で旧音楽科の教室の調査。
オレとジェシカはロザレナとルナティエを探すべく、三階の教室を確認していった。
「二人とも、どこにもいないねー」
三階の教室を虱潰しに覗いてみたが、二人の姿はどこにも見当たらず。
四階はオリヴィアとマイスがいるため、オレたちは今度は五階へと向かうことにした。
「ねぇねぇ、アネット。アネットはさ、好きな男の子のタイプとかってある?」
【ホーリーライト】を使用しながら階段を登っていると、隣からそうジェシカが声を掛けてくる。
俺はため息を溢しつつも、階段を登り、四階と五階の中間にある踊り場に辿り着いた。
「そういうのはありませんよ。私は、恋愛というものには一切興味がありませんので」
「えー、何で? アネット程綺麗なら、男の子にもモテモテなんじゃないの? 入学してからどのくらいの人数に告白された? こっそりで良いから教えてよー」
「0人です」
「え、嘘、本当?」
「本当ですよ」
「逆に高嶺の花ってことなのかな? 結構意外かも……」
「私は地味ですから、殿方にモテることなんてあり得ませんよ。ジェシカさんの方が数百倍お綺麗です」
「それ、嫌味にしか聞こえないんだけどー? って、そっか。いつもロザレナが傍にいるから、声を掛けようにも掛けられないんだ。罪な女の子だね、アネットもー。うんうん」
そう口にして、納得がいったように頷くジェシカ。
俺はそんな彼女に優しく笑みを浮かべ、声を掛けた。
「ジェシカさんの好きなタイプは、どんな男の子なんですか?」
「え、私? 私はねー、私よりも強くて、あとは……かっこいい人かな!」
「意外に面食いなんですね?」
「うん!」
元気よく返事をするジェシカ。
そういえば……よくよく考えたら、この子、ハインラインの孫娘なんだよな。
って待てよ、おいおい……何で俺が、あのムッツリエロ親父の孫と恋バナしなきゃならねぇんだよ!
冷静になって考えて見たら、今のこの状況は何なんだ? 俺、何で普通にこんな話しちゃってるの?
筋肉ムキムキのオッサンが恋バナしちゃってる図を想像してみなさい? 気持ち悪いことこの上ないだろうが!! 畜生め!!!!
「俺はオッサンだ、俺はオッサンだ、俺はオッサンだ……」
「? アネット? 何ブツブツ言ってるの? オッサン……?」
「い、いえ、何でもありません。何でも」
「んー? ……あ、そうだ! ねぇねぇ、アネット! 夏休みさ、ロザレナと一緒にうちの実家の道場に遊びにおいでよ!」
一緒に階段を登りながら、そう、ジェシカが声を掛けてくる。
俺はそんな彼女に対して首を傾げながら、口を開いた。
「道場ですか?」
「うん! 私のお爺ちゃん、道場開いて弟子に剣を教えているんだー! ……って、そんなことはどうでもいいことは置いておいて。……私、そんなに友達いないからさ、夏休みはアネットとロザレナと一緒に遊びたいなー、なんて思っちゃったり。ね、どうかな? 駄目……かな?」
「いえ、構いませんが……友達がいない? そういえば以前も、鷲獅子クラスに馴染めていないって言っていましたよね?」
「……うん。鷲獅子クラスはさ、何か、級長が独裁的な感じでクラスをまとめてて……生徒ひとりひとりが級長によってランク付けされてるの。私はその制度がちょっと嫌で、クラスで浮いてるんだー」
俺は、自分のクラスの黒狼クラスと、あとは学級対抗戦で戦った毒蛇王クラスしか、この学校のクラスというものを知らない。
だから、鷲獅子クラスが独自の制度を作り、級長が生徒を管轄しているというのは初耳のことだった。
「それぞれ個々のクラスによって……級長が統治するクラスのスタイルは異なるのかもしれませんね」
「そうなのかも。天馬クラスは、生徒の殆どが級長を教祖のように崇めているって話だし、牛頭魔人クラスは闘気の数値至上主義のクラスみたいだし。毒蛇王クラスは、級長が圧倒的力でクラスを支配していたみたいだし……ひとつひとつのクラスによって、その特色は違うんだと思うよ」
「何だか、黒狼クラスが平和に思えてきました。クラスをまとめているのは、ロザレナお嬢様とルナティエお嬢様ですからね」
「そうだねー。ロザレナとルナティエなら、平和そうだよねー。……私もこんなことなら、黒狼クラスに入れたら良かったのになー」
「ジェシカさん……」
ジェシカの話を聞きながら階段を登りきり、五階へと辿り着く。
―――その時だった。廊下の奥から「カタン」「カタン」と、何かが歩いて来る音が聴こえて来た。
その音にジェシカは怯えた様子を見せて、俺の腕に捕まって来る。
「な、何何!? 何か来るの!?」
薄暗い廊下の奥を、ジェシカと並んで静かに見据える。
闇の中から現れたのは……玄関口で飾られていたものと同じ、白銀の鎧甲冑だった。
鎧はフラフラと不規則な動きを見せながら、ゆっくりとこちらに近寄って来る。
「え? 何、あれ? 聖騎士の人……?」
「い、いえ、あれは……」
―――動きがどうにもおかしいな。見たところ、中に人が入っているとは思えない。
もしかして、これが噂の幽霊……なのだろうか?
「ア、アネット! さ、下がって!! あれ、どう見ても人間じゃないよ!!」
ジェシカは意を決して前に出ると、腰の剣を抜いてみせた。
怯えながらも、どうやら戦う意志はあるようだ。
そういえば……俺は彼女が戦うところを今まで一度も見たことが無かったな。
優秀な生徒が集まるとされる鷲獅子クラスに配属されてることから、それなりの実力を持つ生徒だと窺えるが……果たして、その実力は如何ほどのものなのだろうか。少し、気になるな。
「はぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
ジェシカは咆哮を上げると、身体に闘気を纏い始める。
俺はその闘気を見て、思わず感嘆の息を溢してしまった。
「ほう……?」
見たところ、かなりの闘気を保持している。闘気だけで言えば、グレイレウスやルナティエよりも圧倒的に上のクラスだな。恐らくは、ロザレナよりも上の数値だと察せられる。
その莫大な闘気の圧からして、多分、剛剣型だろうな。
気配や構えからして、速剣型や魔法剣型ではないのは明白だ。
「ハインラインの野郎は、純粋な力で相手をねじ伏せることが得意な剣士だったが……果たして、彼女はどんなものなのか……」
「とりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
ジェシカは鎧に向けて突進する。
そして、鎧の首元に剣を放とうと、横薙ぎに剣を振り放った―――その瞬間。
「おわぁぁぁぁ!?!?」
何故か、何もないところで転び、ジェシカはは盛大に転倒する。
そんな彼女に容赦なく剣を振る鎧甲冑。
ジェシカは悲鳴を上げながら、その剣を、自身の剣に当て相殺してみせた。
だが―――。
「あっ!」
ジェシカの持っていたアイアンソードは鎧の剣に弾かれ、空中でクルクルと弧を描き、地面に着地し……カラカラと音を立てて俺の足元に転がって来る。
「え?」
……ええと……あれ? ジェシカって、素人……ではなかった……はずだよな?
ハインラインの奴から、直々に指導を受けていたんだよ……な?
「し、しまった、剣が! アネット、その剣、私に向けて放り投げてくれな―――」
「ジェシカさん!! 前を見てください!!」
「え?」
鎧甲冑が第二撃目を加えるため、剣を上段に構えていた。
ジェシカは振り返り、鎧に対して驚いた表情を浮かべる。
「や、やばい……!!」
「ジェシカさん!!!!」
俺は急いで地面を蹴り上げる。【瞬閃脚】を使えば間に合うか、そう思った……その時。
「すぅ………おりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!」
ジェシカは深呼吸した後、突如咆哮を上げると――――その身に、先ほどの倍と思えるような巨大な闘気のオーラを纏い、鎧に目掛け正拳突きを繰り出した。
ガゴンと鎧の腹は凹み、そのまま奴は、後方へと吹き飛ばされて行く。
そして、20メートルはありそうな廊下の先へと飛んでいき―――鎧は窓ガラスを割り、校舎の外へと落ちて行った。
「えぇ……?」
め、滅茶苦茶すぎる……剣、いらないじゃん……。
というか、何なんだ今の闘気は?
普通に、剣神一歩手前並みの闘気を身に纏っていた気がするんだけど……?
「押忍! ……危なかった~~!」
吹き飛んで行った鎧を見つめた後、ジェシカはそう言って挨拶する。
今の彼女の身体に宿る闘気の量は、先ほどのものと比べ十分の一程度のものになっている。
……なるほど。もしかして、彼女は……。
「ジェシカさん。ひとつお聞きしますが、貴方は……お爺様から剣を習っているわけではないんですか?」
「え? うん。お爺ちゃん、私に甘いから、全然剣を見てくれないの。あと、私は自己流の方が伸びるタイプだとか何だとか……基礎訓練だけは怠るな、としか言われてないんだ」
やはりそうか。彼女は、闘気にムラがあるタイプ……天才肌タイプか。
はっきり言って、素質自体はかなりの才能を持っていると思える。
ただ、その莫大な闘気を扱いきれていないため、上手くコントロールができていないのだろう。
確かに、このタイプは幼少期から下手な型に嵌めるよりは、のびのびと剣を磨かせた方が良いのは正解だな。
若い頃に凝り固まった剣の型を教えては、逆に才能の芽を摘むことにもなりかねない。
だけど、もうそろそろ……師が必要となってくる段階だろう。
ジェシカ・ロックベルト。もし彼女が自分に眠る素養を上手く扱い、覚醒を果たしたその時。
いつの日か【剣聖】を目指すお嬢様の良きライバルになってくれそうだな。
彼女の存在は、お嬢様が『天才』という壁を知る、良い機会になってくれるだろう。
「それにしても、今の鎧……何だったんだろうね、アネット」
「そうですね。見たところ、中に人が入っていないように感じられましたが……ん?」
「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッ!!!!!!」
突如、付近にあった教室のドアが盛大に蹴破られる。
そこから出て来たのは、何と、ロザレナお嬢様だった。
お嬢様は俺とジェシカの姿を捉えると、驚きの声を上げる。
「あれ!? アネット、ジェシカ!?」
「ロザレナ!? 何でそこの教室から出てきたの!?」
「話は後よ!! 今、奴らが来てるから!!」
「奴らって……えぇぇぇ!?」
教室の入り口から――――ガシャンガシャンと音を立てて、5体の鎧甲冑が姿を現した。
ロザレナはその鎧甲冑を引き連れながら走り始めると……こちらへと向かって駆けて来る。
「ちょ!? ロザレナ!? 何やってるの!?」
「こいつら、斬ってもすぐに復活するのよ!! 鎧の中空洞だし、魔法攻撃を放っても、何か効いてる素振りまったくないし!!」
「ルナティエはどうしたの、ロザレナ!?」
「知らない!! 三階に上がったらいきなりこいつらに追いかけられて、今まで五階の教室に隠れてたから!!」
「えぇぇぇぇぇっっ!?」
「とりあえず逃げましょう、ジェシカさん、お嬢様!! まずは、下の階に―――」
俺は階段へと踵を返す。
だが、そこには、四階からこちらに向かって階段を登って来る、複数体の鎧たちの姿があった。
その光景を見て、チッと舌打ちをした後。
俺は手刀のように片手を空中に上げ、指先の照準を鎧の群れへと合わせた。
「鋭利なる氷塊よ。我が敵を穿て――――――【アイシクル・ランス】!!」
五センチ程の小さな氷の刃が指先から放たれ、一体の鎧の兜へと命中する。
だが、兜が後方へと吹き飛ばされても、鎧は止まらない。
頭部に当たるとそこは想像通り空洞になっており、中に人間がいないことが理解できた。
「……無念の戦死を遂げた兵士の鎧に【幽霊】が宿ることによって、【リビングメイル】と呼ばれる魔物に転化する、という話は聞いたことがありますが……まさか、こいつらはそれ、なのでしょうか? なかなかに厄介な魔物ですね……!!」
現在、俺の手に箒丸はない。
たかが幽霊如きに剣は不要だと侮ったのは失敗だったかもしれないな。
「ア、アネット!! 上へ逃げよう!! もうそれしか道はないよ!!」
「はい、そうですね、ジェシカさん! お嬢様、六階に逃げましょう!!」
「分かったわ!!」
ロザレナと合流を果たし、俺たち三人はすぐに六階へと登って行く。
六階に辿り着くと、そこには、大量の鎧甲冑たちと相対しているグレイレウスの姿があった。
「む……!? 師匠!?」
「は……!? 嘘、だろ!?」
すぐに、俺たちを追いかけてきた鎧甲冑たちが、六階へと登って来る。
こうして俺たち三人とグレイレウスは、前後ともに、不気味な鎧たちに囲まれてしまうのだった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……ちょっと、貴方! もう少し奥に行ってくださらない!?」
「む、むむむ、無理ですよぉう~! これが限界ですぅぅ~~!!」
五階、魔法薬学研究室。そこにあるロッカーの中で、ルナティエとミレーナは何故か身を潜めていた。
二人はぎゅうぎゅうとロッカーの中にすし詰め状態になっており、隙間はひとつもない。
その状況にルナティエは「はぁ」と大きくため息を溢すと、隣にいるミレーナへとジト目を向ける。
「わたくしがあの鎧武者たちに追いかけられ、この教室に逃げたら……貴方、わたくしの顔を見て悲鳴を上げましたわよね? こんな状況になったのは、全部、貴方のせいですわよ? 貴方が悲鳴を上げたから、こんなところに隠れざるを得なくなったのです」
「えぇぇっ!? う、うちが先にこの教室に隠れてたんですよぉう!? それなのに、貴方が勝手にこの教室に入ってきて、鎧さんたちを連れてきたんじゃないですかぁ~~!! それに、驚いて悲鳴を上げたのはうちだけじゃな―――」
「御黙りなさい!! わたくしを誰だと思っているんですの!! わたくしは、常勝の指揮官、栄光あるフランシア家の息女――――ルナティエ・アルトリウス・フランシアですわよ!! 軍師たるわたくしが間違えるなどということは、けっして無いんですわぁ!!」
「えぇぇぇぇぇっ!? それはちょっと理不尽すぎますよぉう!? 軍師って何ですか!! 軍師だって間違えますよ!?」
「間違えませんわ!! フランシア家の人間は、失敗しませんから!!」
「さっきから気になっているんですが……貴方、一期生ですよねぇ!? うち、二期生の先輩ですからねぇ!? ちゃんと敬語使ってくださいですぅ~~!!」
「御黙りなさい!! わたくし、貴方みたいな陰気な女、苦手でしってよ!! 明らかに格下の相手になんかに、敬語なんて使いませんわ!!」
「うぅぅ~この人、嫌ですぅ~~。壊滅的に会話が噛みあいません~~」
「オーホッホッホッ!! 知能指数が高い者と低い者では、会話のレベルが異なってしまうのも仕方のないことですわぁ~~!!」
「す、すんごいポジティブ女ですぅ……この人、うちとは正反対の人間ですぅ……」
――――ガシャンガシャン。
「!! 口を閉じなさい、陰気女!!」
「むごがっ!? え? 一番騒いでいたの、貴方じゃないですか!?」
「御黙りなさい!!」
「ぴぎゃうっ!?」
ルナティエによって口元を手で塞がれるミレーナ。
二人は黙り込み、ロッカーの空気口の隙間から、教室の様子を伺う。
一体の鎧甲冑が教室の中を確認したが……その鎧甲冑はそのまま、廊下へと出て行った。
その光景を見て、ルナティエとミレーナは同時にため息を溢す。
「い、いったい何なのですの、あの鎧たちは……」
「う、うちも分かりません……。うち、いつも放課後はこの教室で一人残って、愛しの植物ちゃんたちを眺めてるんですが……たまに無断で泊ることもあるんですが、こんなこと、初めてのことですよぉう……。正体不明ですぅ、あの鎧甲冑~~」
「……あれが、ジェシカが言っていた幽霊の正体……? いいえ、まだそう決定付けるのは早計ですわね。……そうだ。貴方、名前、何て言いましたっけ?」
「んへ? ミ、ミレーナ・ウェンディですけどぉ……?」
「ミレーナさんですか。光栄に思いなさい、ミレーナさん! 貴方を、幽霊討伐の英雄となる、わたくしの手下にしてさしあげますわぁ!」
「えぇぇ? 普通に嫌なんですけどぉ? それと、うちは先輩ですから、敬語使って―――」
「さぁ、行きますわよ!! ……って、まだ、足が震えますが……へ、平気、ですわぁ!!」
「あ、ちょ、ルナティエさん!?」
ロッカーの外へと出るルナティエ。
そして彼女はロッカーの中にいるミレーナへと振り返り、腰に手を当て、不敵な笑みを浮かべた。
「さぁ! わたくしについていらっしゃい、ミレーナさん! このわたくしがついているのです!! 不可能なことなどなくってよぉっ!! オーホッホッホッホッホッ!!」
「変な人ですぅ……うちも大概ですが、この人、相当に変な人ですぅ……って、あれ?」
「ん? どうかしましたか? 突然、わたくしの背後を見つめて?」
「あ、あれ……?」
「はい?」
ルナティエは背後を振り返る。すると教室の入り口に、身体を半身隠してじっと二人を見つめる鎧甲冑の姿があった。
鎧甲冑とルナティエ、ミレーナは、数秒間、何も喋らずに静かに見つめ合う。
「……」
「……」
「……」
「……」
「……に……逃げますわよぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!」
「うぇぇぇっ!? ちょ、置いてかないでくださいよぉう、ルナティエさん!!!!!」
「御黙りなさい!! 囮になって、このわたくしを逃がしなさい、ミレーナさん!!!!!」
「嫌ですぅぅぅぅぅ!!!!!! 貴方が囮になってくださいぃぃぃぃぃ!!!!!!」
教室から出て、二人は廊下へと躍り出る。
すると、すぐさまに鎧甲冑が追いかけてきた。
その光景に悲鳴を上げると、ルナティエとミレーナは廊下を全力疾走する。
「ですわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
「ぴぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
周囲からクズと呼ばれる二人の少女は、息ぴったりに、鎧甲冑から逃げていくのであった。
第165話を読んでくださって、ありがとうございました!
年越しまでに、この章を終えられるのか……!!
どうぞ、章終了までお付き合いの程、よろしくお願いいたします!!




