第16話 元剣聖のメイドのおっさん、この家の真の権力者が誰なのかを知る。
メリディオナリス夫人の過去を盗み聞きした、その日の晩。
マグレットが腕によりをかけて作った豪勢な食事を囲みながら、レティキュラータス一族は楽し気に食事を摂っていた。
長テーブルには、全体見渡せる上座に現レティキュラータス伯爵である旦那様が座っており、左側には奥方様であるルナレナ様、その隣にロザレナ様、そして向かい合う右側にはギュスターヴ様とメリディオナリス夫人が座っている。
彼らは皆仲良く談笑しながら、ナイフとフォークを使って、料理を思い思いに口に運んでいた。
そんな家族たちの様子を見つめながら、俺は常に壁際に立ち、空いたグラスを見つけたら静かに座席に近寄り、背後からそっと水を注いでいく。
この御屋敷の方たちは本当に優しい人ばかりで、水くらい自分で入れるから、一緒に食事を摂ろうと言ってくださるのだが・・・・・流石にそれは俺の分の仕事の負担がマグレットに回り、彼女のタスクが多くなってしまうので、遠慮させてもらっている。
基本的に、俺たちメイドが食事を摂るのは主人であるレティキュラータス一族が会食を終えて、後片付けが済んでからであり、けっして彼らと共に食事を摂ることはしないのが鉄則だ。
最初は、腹を空かした状態で目の前でメシを食われているこの光景の中、壁際にジッと待機しなきゃならないこの状況には、大分堪えたものだが・・・・もうメイドとなって早数年。
目の前で食事を摂る光景を目の当たりにしてもお腹を鳴らすなんてことは無くなったし、概ねどんなメイド業であろうと、卒なくこなすくらいにはこの生活環境にも慣れたものだ。
いや・・・・元オッサンとしては、メイド生活に慣れちゃいけないんだろうけどね、うん・・・・。
まぁ、でも、命のやり取りをするような殺伐とした戦場と違い、仲睦まじい家族を眺めるこんな平穏無事な生活も、悪くはないものだな。
生前の俺が求めて止まなかった暖かな家族の光景が、ここにはある。
「そうそう、エルジオ。貴方に言っておかなければならないことがありました」
口元をナプキンで拭き、メリディオナリス夫人は上座に座る伯爵へと視線を向ける。
その視線に頷いて応えると、伯爵は穏やかな笑みを自身の母親へと返した。
「何ですか? お母様」
「ロザレナちゃん、15歳になったら王都の聖騎士養成学校に通いたいんですって。構わないわよね??」
「えっと・・・・ロザレナ、前から聖騎士養成学校に通いたいということは聞いていたけれど、本気なのかい?」
「はい、お父様。どうか、私が聖騎士学校に入学することをお許しくださいませんか??」
珍しく敬語を使い、真面目な様相で伯爵にそう懇願するロザレナ。
そんな彼女に、伯爵は難しい顔をして、腕を組んだ。
「うーん。そうか。王都の聖騎士養成学校って・・・・・もしかしなくても『ルドヴィクス・ガーデン』のことだよね??」
「はい、そうです」
「そう、だよなぁ。うーむ、どうしたものか・・・・・」
「何をそんなに悩んでいるのですか、エルジオ。娘が騎士を志しているなんて、素敵なことでしょう??」
「それは勿論そうなのですが・・・・『ルドヴィクス・ガーデン』の入学金は・・・・今の困窮しているレティキュラータス家では、ちょっと厳しいもので・・・・・」
伯爵のその言葉に、ギュスターヴ老がワインを手に、鼻を鳴らしながら口を開く。
「まぁ、そうだろうな。王政に携わっていないレティキュラータス家では、華族学校である『ルドヴィクス・ガーデン』の入学金など、難しかろうて」
「お恥ずかしながら・・・・」
「ロザレナの医療費に充てたから、蓄えもそんなに残っていないだろう??」
「ええ・・・・。今のレティキュラータス家は領民の税によって何とか生き繋いでいる有様で・・・・」
「フン。あの学校を運営しているバルトシュタイン家に金が流れるのは癪だが・・・・ならばワシの貯金を出してやる。可愛い孫のためだからな」
「!? お父様、それは・・・・!!」
父のその発言に伯爵は目を大きく見開き、席から立ち上がると、困惑の声を上げる。
だがそれを掌で押しとどめると、ギュスターヴ老は不敵に笑ってみせた。
「何、心配はするな。別邸を売っても、残り少ない余生を細々とやっていけるだけの蓄えはある。問題はない」
「し、しかし、そのようなことをしては・・・・・・」
「そうよギュスターヴ。別邸を売るだけじゃ二人分の入学金には届かないわ。残りの貯蓄も全部放出しないと!」
「だから心配はするなと言っておろうメリディオナリ・・・・・え? 二人分?」
「そうよ。『ルドヴィクス・ガーデン』には、ロザレナちゃんだけでなく、アネットちゃんも入学するのだから。お金、足りないでしょう??」
その言葉に、俺は思わず手に持っていた水差しを落としそうになってしまった。
だが、驚いたのは俺だけではないようで、ロザレナとメリディオナリス夫人以外の、その場にいた人たちは一斉に目を丸くさせていたのだった。
「ちょ、ちょっとお待ちください、メリディオナリス様。アネットが『ルドヴィクス・ガーデン』に入学するというのは・・・・いったい、どういうことなのでしょうか!?」
その会話を聞いて厨房からすっ飛んできたマグレットが、顔を青白くさせながら、メリディオナリス夫人の元へと駆けつける。
そんな彼女に、夫人はにこやかに微笑むと、ロザレナへと視線を向けた。
「だって、あの学校はバルトシュタイン家の支配下・・・・謂わば敵地なわけよ? そんなところに私の大切な孫娘を一人で通わせるなんて、そんな危険極まりないことできるわけないでしょう?? 警護と世話係として側仕えの者が必要だわ」
「そ、それは可笑しな話ではないでしょうか?? だってメリーお嬢様は、かつてあの学校にお一人で入学を・・・・」
「もう! 私とロザレナを一緒にしないでちょうだい!! この子は私のように性格が悪くない、純粋で真っすぐな子なの!! 誰か側にいなかったら・・・・あの性根の捻じ曲がったバルトシュタイン家の者たちにいじめられてしまうに違いないわ!!」
そう言ってメリディオナリス夫人は席を立つと、ロザレナの背後に立ち、よしよしとその頭を抱えるようにして撫で始める。
当のロザレナというと、その行為に何処か不満があったようだが・・・・・口を閉ざし、この場では耐えている様子だった。
(なるほどな・・・・お嬢様のこの様子から見て・・・・ロザレナとメリディオナリス夫人は結託していると見て良さそうだな)
ロザレナは俺と共に聖騎士養成学校に入学することを強く切望していた。
だから、夫人を自らの味方に引き入れ、俺を聖騎士養成学校へ入れるカードとして切ってきたわけか。
ククク、中々、面白れぇことをしてくるじゃねぇか。存外、頭の回る策を打ってきやがる。
確かに、彼女の側仕え兼ボディーガードとして俺を入学させると、雇い主であるレティキュラータス家が認めさえすれば、使用人である俺はその指示には従わざるを得なくなるのは間違いない。
伯爵が夫人の意見を受け入れれば、それこそ一介のメイドである俺に、その命令を撤回できる力はないわけだからな。
今朝は、ロザレナは夫人に剣の稽古を付けてもらい、その後は仲良く談笑してはいたが・・・・俺が去った後、まさかこのような協力を取り付けていたとは思いもしなかった。
俺はロザレナお嬢様のことを、子供だからと言って少々舐めていたのかもしれないな。
「お嬢様・・・・・そんなに私と一緒に学校に通いたいのですか??」
「あっかんべー」
そう彼女に声を掛けてみるが、肩ごしにべーっと舌を出されるだけだった。
俺は彼女のそんな姿に、思わず呆れた笑みを浮かべてしまう。
「それで、どうなの? エルジオ? 私たちが二人の入学金を払うから、お金のことに関しては問題はないわよ?? ロザレナたちが聖騎士養成学校に入学すること、認めてくれるかしら??」
「え? ワシ、マグレットの孫が入学することに関しては同意してないよ?? え?」
「黙っていなさい、ギュスターヴ。これは、私が決定したことです。その意味を、理解していますよね??」
その言葉に、ギュスターヴ老は苦い笑みを浮かべて、静かにため息を溢した。
「ハァ・・・・・。こうなったらこやつは何を言っても梃子でも動かぬわ。マグレット、デザートはあるかの。久々にお主のプディングが食べたいわい」
「ご、ございますが・・・・奥様を止めなくてもよろしいのですか?? 二人分の入学金ともなると、流石にギュスターヴ様方も手持ちの邸宅をすべて手放してしまうことになるかと・・・・」
「お前さんだって長い付き合いなんだから分かってるだろ。ああなるともう、メリディオナリスは手を付けられんよ。あやつは、口八丁に舌戦のみで家督を手に入れた女傑だ。ただの善人であるエルジオじゃ勝ち目なんてありはせん。家のことは・・・・まぁ、心配するな。この家の空いた部屋にでも間借りさせてもらうとするよ」
そう口にして、ギュスターヴはマグレットにプディングの用意を命じると、もう自分は蚊帳の外にいるとばかりに口笛を吹き始めた。
残るのは、難しい顔をしてメリディオナリス夫人の顔を見つめるエルジオ伯爵と、困惑げな表情をしておろおろと狼狽えるルナレナ奥さまのみ。
そんな二人が対峙するのは、優しい笑みを浮かべているだけなのに、誰にも有無を言わせないという剣呑な雰囲気を放っているメリディオナリス夫人だった。
これは・・・・やばいな。
ロザレナを子供と見て見誤ったこともそうだが、味方に付けられたのがこの夫人だったのが痛恨の極みかもしれない。
この光景から推察してようやく理解したが・・・・。
レティキュラータス家において最も権力と発言力を持っているのは、エルジオ伯爵でも先代当主ギュスターヴ老でもなく、この、メリディオナリス・ウェル・レティキュラータスこそが、現レティキュラータス家において最も力を握っている人物だということを今更になって俺は知ったのだった。
「それじゃあ、5年後の春に、ロザレナちゃんとアネットちゃんは仲良く聖騎士学校に入学することに決定ね♪」
そう言うと、メリディオナリス夫人は疲れた顔の面々に、明るい声音でそう言い放つ。
そして席に座り直し、ロザレナの方へと視線を向けると、彼女は真剣な表情をして口を開いた。
「良いこと、ロザレナちゃん。これは、謂わば投資でもあるのですからね」
「投資?」
「そう。多分、このままの状態だったら、このレティキュラータス家は数十年後に没落するのは免れないと思うの。王政からも見放され、他の四大騎士公に並ぶほどの格も我が家には何もない。その点は・・・・理解しているわよね??」
「うん」
「良かった。だからね、聖騎士養成学校でロザレナちゃんとアネットちゃんにはこの家の格を取り戻せるような何かを、手に入れてきてもらって欲しいのよ。卒業して、ただ騎士の叙勲を頂くだけじゃ駄目・・・・そうね、せめて『剣神』くらいにはなって貰わないと、この投資の釣り合いが取れないかしら」
「『剣神』って、お前・・・・在学の4年間だけで、そりゃいくら何でも無茶だろう。最強の称号である『剣聖』の一つ下・・・・つまりは人の域を逸脱した超人だけがなれる『剣聖』を除けば、実質的な剣士の頂・・・・それが、『剣神』じゃぞ?? ちょいとその条件は厳しすぎやしないかの??」
「勿論分かっているわ。でも、せめて『剣神』くらいの格をこの家に持って来れなければ、王家がレティキュラータス家に再び目を向けてくれることはないと思うの」
「確かにそれは、そうだろうが・・・・」
難しい顔をして、腕を組み、うーんと唸るギュスターヴを無視し、メリディオナリス夫人は再度ロザレナ、そして背後に立つ俺へと視線を向け、口を開く。
「良いこと、二人とも。『剣神』の称号を持てる人間はこの世界でたった四人だけ。今の剣神・・・・・【蒼焔剣】ハインライン・ロックベルト。【旋風剣】ルティカ・オーギュストハイム。【死神剣】ジャストラム・グリムガルド。【氷絶剣】ルクレール・ヴィンセント。在学中に剣の腕を極めて、いつかこの四人の内誰かひとりを倒して、その座を奪っちゃいなさい。いいわね??」
「その程度のこと、簡単なことよ!! だってあたしたちが目指しているのは『剣神』ではなく、『剣聖』なんだからねっ!! だから『剣神』なんてただの通過点として、けちょんけちょんにしてやっつけてやるんだから!! ねっ! アネット!!!!」
「・・・・・・・・・・お嬢様・・・・私は、『剣聖』など、目指してはおりません・・・・。私は、ただのメイドです・・・・・・」
「あんな力を持っている貴方が、ただのメイドな訳ないじゃない!! くぅ~~、ワクワクするわね!! 5年後、あたしたちの剣士の道がついに開かれるのよ!!!! アネットの実力もその時になってようやく衆目の目に晒されることになるのだろうし・・・・・ドキドキが止まらないわ!!!!!」
「・・・・・・全然、ドキドキ、しません・・・・・私は、もう、隠居させてください、お嬢様・・・・」
そんな俺たちのやり取りをニコニコと笑みを浮かべて眺めていたメリディオナリス夫人は、突如、あっ、と、何かを思い出しように口を大きく開けた。
「そうだ、大事なこと忘れてたわ!! 聖騎士養成学校に入るには、信仰系魔法が使えることが必須条件なの!! ロザレナちゃんとアネットちゃんは、信仰系魔法、使え・・・・」
「使えないわ」
「前に同じくです」
「そうよね、使えるわけないわよね。レティキュラータス家は特別、セレーヌ教に信心深い血筋でも無いわけだし・・・・」
「その・・・・信仰系魔法? っていうのは、何処で習得できるものなの? お婆様」
「王都にある修道院で何年か学ぶことで、大体の人は習得できるわ。私も10歳くらいの時に、礼節を学ばさせるためにお父様に放り込まれたことがあったからね。簡単な治癒魔法くらいなら今でも使うことができるのよ」
そう言って、メリディオナリス夫人は掌に淡い光の球を浮かべて見せた。
それは低級治癒魔法、【ライトヒーリング】の効果だった。
普通の人間ならば、その光に神聖で尊いものを感じるのだろうが・・・・この治癒魔法特有の光は、俺にとっては苦い記憶のあるもの。
何たって、ジェネディクトが俺の身体を痛めつけては回復させていた代物だからな。
あの時の光景を思い出したのか、ロザレナはその魔法の光に、あからさまに嫌悪感を示してしまっていた。
「あら? どうしたの? ロザレナちゃん?」
「な、何でもないわ・・・・・それよりも、その修道院で学ぶのに、聖騎士養成学校みたいに入学金? とかは必要じゃないの??」
「気持ちだけのお布施だけで構わないみたいわよ。だから、修道院に関してはそんなにお金は必要ないの。安心してね」
その言葉にホッと安堵の息を吐くロザレナ。
どうやら彼女は、祖父と祖母のお金を使わせて貰っているという自覚はあるみたいだな。
ただ我儘を言って祖母に強請ったのではないことが分かって、その点は一先ず一安心だ。
いや、俺の望む平穏無事なメイド生活にヒビが入って来てるのだから、まったくもって安心してはいられないんだがな・・・・うん。
「それじゃあ、明日辺りにでも王都に行って、修道院で二人が学べるかどうか聞いてくるわね。ロザレナちゃんとアネットちゃんも一緒に行く?」
「行くわ!!!!」
「・・・・私は、御屋敷のお仕事がありますので、遠慮させていただきます・・・・・」
俺のその言葉に、マグレットは優し気な微笑みを向けてくる。
「アネット? 別に私に気を使ってくれなくても、一日くらいは別にー---」
「いいえ、お婆様!! 私は!! お婆様にご迷惑をお掛けしたくはないのです!! なので!! 御屋敷でお仕事をしたいと思います!!」
「そ、そうかい? だ、だったらお願いする、ね??」
俺の気迫に、たじたじになるマグレット。
生前、経典など欠片も興味無かったのに、神など信じてもいなかったのに・・・・。
俺はこれから修道院で、もっとも自分とは相性が悪いであろう魔法、信仰系魔法を学ばなければならないのか・・・・。
今度はメイドからシスターに転職とか・・・・髭モジャおっさんだった頃からどんどんかけ離れた存在になっていくな、俺・・・・・。
俺の中のかつての自分、筋骨隆々の傷だらけのオッサンが、膝を抱えてシクシクと泣いているように思えた。
翌日。午後4時半。
王都から帰ってきたメリディオナリス夫人とロザレナを出迎えるために、門の前へと向かったんだが・・・・・・馬車から降りてきたロザレナの顔が、元気いっぱいだった今朝と違って、どんよりとした気配に染まっていた。
顔を俯かせ、絶望した表情のまま、目の前に立つ俺に何も発さずにロザレナは屋敷の中へと戻っていく。
そんな彼女に首を傾げていると、馬車から降りて来たメリディオナリス夫人が、残念そうに俺へと声を掛けてきた。
「修道院に行ってきたんだけどね、何か、今年は入信者がとっても多かったみたいで・・・・あと一枠しか、信徒を受け入れることができないんだって」
「一枠、ですか・・・・。でしたら、ロザレナお嬢様だけは入信することができますよね?? それなのに何故、お嬢様はあんなに落ち込んでいらっしゃるのですか??」
「もう、分かってるでしょ?? あの子は、アネットちゃんと一緒に学びたかったのよ。だから、あんなに落ち込んでいるの」
「そう、ですか・・・・・・・」
「ロザレナちゃん、一枠しかないと聞いた途端に即答で断ってきちゃったのよ? アネットと修道院に入れないんじゃ意味がない、って叫んでね。本当に好かれているのね、貴方は」
ロザレナが俺を凄く慕ってくれているのは、あれだけ四六時中ベタベタしてくることからして、言われるまでもなく理解している。
だけど、自らの夢への道が目の前にあるというのに・・・・それを自分自身で閉ざしてしまうまでに、俺のことが好きだというのは・・・・・想像してはいなかった。
その好意は・・・・少し、いやかなり、度が行き過ぎているな。
俺という存在に彼女の人生が左右されてしまっているようでは、俺自身がロザレナの将来に悪影響を与えてしまっているのは、間違いようがないだろう。
これは、正直・・・・良くない兆候だ。
彼女の中の俺への好意の感情が暴走し、依存へと傾き始めてしまっていると言っても良いだろう。
今ここで何とかしなければ・・・・・・彼女のこの先に待っているのは成長の閉ざされた未来だけだ。
「メリディオナリス様・・・・・・」
「えぇ、分かっているわ、アネットちゃん。・・・・フフ、聞いていた通りに賢い子ね、貴方は。あの子の現状をちゃんと理解してくれている」
「・・・・・少し、お嬢様とお話をしてまいります。その後のケアは・・・・お任せしてもよろしいでしょうか??」
「ええ。その点については任せて頂戴」
そう夫人にお嬢様へのケアを任し、俺は屋敷の中へと戻って行った。