100話記念短編――回想 アーノイック・ブルシュトローム ④
―――――――【絶空剣】。
その剣は、アレス・グリムガルドしか使用できない剣の奥義であり、鞘から抜刀した剣の一振りで、空間を斬り裂く一太刀を産み出すことが出来る…魔法じみた能力を持った剣だ。
グリムガルド道場での奥義とされる【閃光剣】のさらに上位互換である、抜刀剣術。
普通、抜刀剣は一度鞘に納めないことには放てないので、一撃必殺の要素が高く、使い勝手が非常に悪い。
だが、アレス・グリムガルドは、神速の歩法『瞬閃脚』を用いて、相手に納刀の隙を見せはしない。
「……ッ!!」
剣を弾き、後方に飛び退くと、彼は即座に俺の周囲を高速で駆け回り始める。
黒い残像が消えては産まれ、影分身のように、アレスの姿は複数に別れていく。
速剣型の極致と呼ばれた彼のその速度についていける人間は、この世界には一人も存在しない。
あの男は、人類の護り手とされる【剣聖】…その座に幼い頃から君臨し続けている、正真正銘の天才だ。
「チッ! 奴の動きを目で追うことは不可能に近けぇな。いったいどこから攻撃をしてくるのか―――」
「【絶空剣】」
「何ッ!?」
寸前で剣を横にして、剣聖の攻撃を防ぐ。
バキィッという不可思議な音が鳴り響き、空間が切断される。
背後にある世界が一刀両断される。残った道場の壁が、外へと吹き飛ばされる。
……立っているのがやっとの、もの凄い風圧だった。
「まさかたった一振りで、ここまでの威力を発揮しやがるとは……!!」
「……僕の本気の一振りを受け止めても尚、剣が壊れないとは……。やはり、君のその身体には何かしらの加護が宿っていそうだね、アーノイック」
「加護…? 加護って、何だ?」
「血統に宿る固有の力、といったところだろうか。魔法因子と似たようなものだよ。まぁ、魔法と違うのは、加護の力は本人の自覚無しに常時発動してしまう点、かな」
そう言ってアレスは剣を弾くと、不敵な笑みを浮かべた。
「どんな武具でも、その手に持ったものは、壊れることがない……。聞いたことのない加護の力だ。命名するならば――――『折れぬ剣の祈り』といったところか。どうだい? 我ながらのネーミングセンスじゃないかな?」
「折れぬ剣の、祈り……」
そう、復唱するように俺が小さく声を発すると、アレスは腰に手を当て、あからさまに大きくため息を吐いた。
「このまま防戦一方の君と戦っても、だらだらと勝負が長引くだけだ。そんな泥仕合を、僕は望んではいない」
「……」
「……アーノイック。アレを、使え」
中段に構えた剣の向こうで、アレスはそう、オレに言葉を掛けてきた。
オレはそんな彼に対して、頬から汗を流しながら、ニヤリと笑みを浮かべる。
「使わねーよ」
「どうしてだ?」
「さぁて、な!」
上段に剣を構え、跳躍し、アレスの脳天に目掛けて―――全力で剣を振り降ろす。
何百、何千、何億と、気が遠くなる数を、繰り返し振ってきた上段の剣。
俺が得意とする自慢の唐竹であったが…その剣を、アレスはいとも簡単に青狼刀で受け止めきっていた。
流石は、この国最強の剣士【絶空剣】。俺の全力の剣を、涼しい顔で易々と防衛してみせるとは、な。
「だが――――――!!!!」
剣を交差させながら、俺は低く屈むと、アレスに向けて足払いを放つ。
しかし、アレスはバックステップで後方に飛び退き、その蹴りを難なく回避してみせた。
そして、空中の上で奴は腰に剣を納めると……再び奥義を放ってくる。
「【絶空剣】」
着地と同時に足を前に踏み出し、疾走し、俺の首に目掛け―――全力で腰の剣を抜き放ってくる。
俺は即座に後方へと飛び退き、剣を鞘に納めると、彼と同様に抜刀の構えを取った。
「【閃光剣】」
キィィィィィィンと金属音が鳴り響き、俺のアイアインソードとアレスの青狼刀が交差して、ぶつかる。
その瞬間、俺とアレスが立っている道場の床が陥没し、ブワッと、周囲に先ほどとは比べものにならないほどの風圧……衝撃波が飛んでいった。
その威力を前に、腕の骨に痛みが生じる。もしかしたら、骨にヒビでも入ってしまったのかもしれない。
「―――――そうか。アーノイック、今分かった。君は……僕を殺してしまうのが……怖いのか」
「は!?」
交差する剣の向こうで、アレスはそう呟き、呆れたように頭を横に振る。
「やれやれ。僕も舐められたものだな。まさか、こんな少年に手加減をされるとはね……」
そう言って悲し気に目を伏せた後、アレスは目を見開き、こちらを鋭い眼光を向けてきた。
「……良いから全力で【覇王剣】を放ってこい、アーノイック。お前の『滅し去りし力』で、僕は消えたりはしない。この【絶空剣】を甘く見るな」
「……」
「アーノイック。君がその力に目覚め、僕が、君のその力に名前を付けた昨年の出来事は……覚えているよね?」
「……あぁ、勿論だ」
「ならば、全力で来い。お前のその行動は、僕を愚弄するものだ。この場においての情け、優しさは、僕にとって不愉快以外の何ものでもない」
俺は大きく息を吐くと、師の剣を弾き、後方へと飛び退く。
そして、一瞬逡巡した後……剣を上段に構え、過去の記憶を思い返して行った。
『―――――アーノイック。君はこれから【覇王剣】と名乗ると良い』
そう口にして、切り株に腰をかけた男…我が師匠である剣聖アレス・グリムガルドは、フードの奥からニヤリと不敵な笑みを浮かべた。
俺は剣をブンブンと振って修練を続けつつ、横眼でそんな師匠にジト目を送る。
『【覇王剣】……? なんだよそれ。どういう意味なんだよ、師匠』
『読んで文字通り、覇王の剣だ。全てを斬り裂き、覇者となる。少年、お前さんの剣はそういった剣だ』
『訳分からねぇよ、師匠。炎の剣を操るハインラインみたいに、【蒼焔剣】とか、分かりやすい名前を付けてくれよ』
『フフッ、少年、お前さんは自分が特異な存在であることを理解しているのかな??』
『特異? ええと……異質? 人と違うってことか? 変ってことか??』
『そうだ、少年。お前の剣は、”この世に在るものを何でも斬ることができる”、恐ろしい力だ。そして何処から来たのかも分からない、異質で、奇妙な力でもある。正直言って、剣聖である僕も今までこんな力は見たことが無くてね。正直、とても困惑しているよ』
『いつもスカした態度取ってる師匠を困惑させられるってのは気分が良いな。いいぜ、【覇王剣】。気に入った』
『……そんなことで気に入られても困るのだが……まぁ、良い。アーノイック、何度も口酸っぱく君にはこう言ってきたが……これからもこれだけは心に留めておくと良い。力は――――』
『分かってる。力は正しく使え、だろ? 強大な力は、使う人によって正義の英雄にも、邪悪な魔王にもなる。だから、強き者は決して闇に堕ちてはいけない』
『その通りだ。君のその力は、この世界の摂理を変えられる程の凶悪な力なのだよ、少年。だから……だからどうか、祈らせてくれ。君の【覇王剣】というその名が、良き意味でこの世界に轟くことを。君のその力が、将来、君を孤独にしないことを。そして……』
そう口にして、アレスは切り株から立ち上がると、こちらに近寄り……俺の頭を優しく撫でてきた。
『そして、いつか全力で僕と戦ってくれ、アーノイック』
目を見開き、剣聖を静かに見据える。
この五年間に師から教えてもらった数多の教義と、数多の経験を、この一太刀に込める。
そして……俺に人としての優しさと温もりを教えてくれた、大恩ある父に向けて、最大の敬意を込める。
ゴミの掃き溜めの中から俺という人間を見つけ出してくれた彼に向けて、俺は―――上段に構えた剣を、全力で振り降ろした。
「――――――【覇王剣】」
「……うん。良い剣だ。こちらも、全力で迎え撃たせてもらうよ……【絶空剣】」
微笑みを浮かべると、腰を屈め、鞘に剣を納め…神速で剣を抜き放つ、アレス。
全てを滅する見えない斬撃が飛び、全ての空間を斬り裂く斬撃が、それを向かい討つ。
その神級の剣の威力を前に、道場は即座に消し飛ぶ。
全てを斬り裂き、覇者となる。偉大なる父が名付けてくれた、その名に相応しい一撃だろう。
道場は半壊から倒壊へと変わり、気が付けば、周囲一帯は瓦礫の山と化していた。
「……」
俺は瓦礫の上に一人立ち、更地となった光景を前に、無表情で立ち尽くす。
雪山の上に立てられたこの場所は、建物が倒壊すると凍えるように寒かった。
空を見上げると、雲一つない空がそこにはある。
……師を殺してしまった現実に、俺は……ポロリと瞳から涙を溢してしまった。
「ありがとうございました、師匠。貴方は、俺の……本当の父親でした」
ヒュゥゥと、冬の風が頬を撫でる。虚脱感が、身体中を覆っていく。
シエル姉ちゃんとアレス師匠を、俺は、この手で殺してしまった。
大事な人を、俺は、直接この手でかけてしまったんだ。
何故、いつもこうなってしまうのだろう。何故、大切な人は皆俺の前からいなくなってしまうのだろう。
何故……俺は、いつも、一人になってしまうのだろう。
「………畜生! 何で、俺の人生はこんなに残酷にできているんだ!! 畜生ぉぉっ!!!!!」
「………………あの、アーノイック、僕、別に死んでないからね? 勝手に殺さないでね?」
「え?」
背後を振り返ると、そこには、衣服が破れ……半裸状態になっているアレスが突っ立ている姿があった。
アレスはどこか気まずそうにコホンと咳払いをすると、腰の剣を鞘ごとベルトから引き抜き、その剣を、俺に手渡して来る。
「―――――アーノイック・ブルシュトローム。今日から君を、第567代目【剣聖】として認める。二つ名は【覇王剣】。聖王国の護り手として、僕は、君を……王国最強の剣士として認めよう」
「師匠……?」
「アーノイック、もう、君に教えることは何もない。君は立派な青年に育った。そして……本当に優しい子に育ってくれた。いや、本来の君はそういう性格だったのだろうね。シエルさんの良いところを、君は受け継いでいたんだ」
「し、しょ…う…?」
「もし、剣聖の名が重かったら、この場で返上してくれても構わないよ。君はもう自由だ。道場を出て、好きに生きたって構わない。君は、僕の自慢の弟子……いや、自慢の息子だったよ、アーノイック」
「あ……あ、れ…?」
その瞬間。ポロリポロリと、大粒の涙が頬を伝って溢れ落ちていく。
そんな俺を見て、アレスは困ったように微笑みを浮かべ、俺の頭をわしゃわしゃと撫で回してきた。
「まったく。五年前にうちに来た時とは随分と変わったね、君は」
「ぐすっ、うぐっ、う、うるせぇ!!」
「僕を殺すと息巻いていた君が、まさか五年後には、僕を殺すことを躊躇するようになるとはね。その変化は、僕としては……とても嬉しいものだったよ」
「うぐっ、うるせぇぞ………キザ野郎ぉ……」
「良いかい、アーノイック。これからは世界を見てくるんだ。そして……世界のどこかで、愛する人を見つけなさい。人は、一人では生きてはいけない生き物だ。僕は必ず、君よりも先に死ぬ。だから……だから、僕が亡くなった後も、君が誰かの傍で笑顔で笑っていられるように、家庭を築くと良い。子を成し、愛する人の傍で幸せに暮らしなさい」
「………殺し屋稼業の【剣聖】を俺に継がせやがったくせに、相反すること言ってんじゃねぇよ、師匠ぉ……」
「あはは、ごめんね。剣士としての僕は、君にぜひ【剣聖】を継いで欲しいと願っているのだけれど、親としての僕は、君には幸せな生活を送って欲しいと願ってしまっているんだ。まったく、剣の師と親というのは両立が難しいね。とても複雑な感情だよ」
そう言ってアレスが大きく息を吐いた直後、こちらへと近寄って来る足音が二つほど聴こえてきた。
「…やれやれ……道場を壊すだなんて、人間の領域を超えてるな、師匠とアーノイックの剣は」
「…………同感。家の中じゃなくて、外でやれって感じ」
「ハインライン、ジャストラム」
兄弟子と姉弟子の二人は、俺とアレスの前に立つと、そう言ってやれやれと頭を振ったのだった。
そんな二人に、アレスは微笑みを浮かべ、優し気に口を開く。
「次代の剣聖が決まった以上、このグリムガルド道場は今日を持って閉鎖する予定だよ。二人はこれからどうするつもりなんだい?」
「俺は、人生の殆どを剣しか振ってこなかった人間です。ですから……冒険者にでもなって、これからも剣の世界で生きていくつもりですよ」
「そうか。ジャストラムは?」
「……………私は……どうしよう……。アーノイックがジャストラムさんを恋人にして、養ってくれないみたいだから……おとーさんの家でしばらく厄介になっていようかな……」
「はははっ、そうか。どうだい、アーノイック、うちの娘と結婚するという道もあるとは思うが?」
「冗談はやめてくれ、師匠。誰が好き好んでこんな大食い女と一緒になるかっての」
「……………むー。女の子に何たる失礼な言葉……ジャストラムさんは、アーノイックをそんなデリカシーのない子に育てた覚えはない……」
「いてててっ、何かある度に頬を摘まんでくるんじゃねぇ、狼女!!!!」
青い空に、四人の笑い声が轟いて行く。
……俺は多分、この時の出来事を一生忘れないだろう。
もし、何処かで死に果てることがあったのなら、今際の際に思い出すのはこの光景なのだと思う。
大事な師と、兄弟弟子たち。彼らは……俺の何よりも、大事な、宝物たちだ。
―――その後、ハインラインは冒険者になり、王国で最も有名なパーティ【栄華の双剣】を作り上げることなる。
ジャストラムは、相変わらず師匠の家でヒキニート生活を送っていたようだが……五年後、21歳の時、突如剣神と一騎打ちで決闘をし、あっけなく勝利し、剣神【死神剣】ジャストラム・グリムガルドの名を拝命することになったそうだ。
師匠は、隠居生活をしながらも、時折、聖騎士団から仕事を任されたりと、元剣聖として、忙しい日々を送っているようだ。
そして、俺はというと―――――――。
「こ、『黒炎龍』だ!!!! 大森林から発生したドラゴンが、王都に攻めてきたぞー!!!!!」
城下町の人々が、悲鳴を上げながら逃げ惑っている姿が見て取れる。
俺はそんな逃げ惑う人々からは逆方向に歩みを進めて、都市の中央で暴れるドラゴンの方へと、静かに歩みを進めて行った。
「こ、こら、少年!! 君、何をしているんだ!! 早く逃げなさい!!」
その時、逃げる足を止め、男がそう俺に声を掛けてきた。
俺はそんな彼に肩越しにハッと嘲笑の笑みを浮かべた後、そのまま歩みを再開させていく。
「逃げる? バカ言ってんじゃねぇよ。あんなトカゲ如きに、この俺様が逃げるわけねーだろうが」
「トカゲだと!? あの龍は、フレイダイヤ級冒険者でも歯が立たなかった化け物だぞ!? 討伐ランク、SSSとされている災厄級の魔物だ!! 君のような少年が、何かできるわけが―――――」
男の制止の声を無視し、俺は城下街を駆け抜け、漆黒の龍の元へと歩みを進めて行く。
そして、50メートルはありそうな巨体の前に辿り着くと、跳躍し、剣を上段に構えた。
「ギャウアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!」
龍がこちらに顔を向け、口を開き、火球を放とうと口の中に炎の塊をチャージを始める。
だが、恐れることは何もない。俺は、師の後を継ぎ、剣聖の名を拝命した剣士。
『――――読んで文字通り、覇王の剣だ。全てを斬り裂き、覇者となる。少年、お前さんの剣はそういった剣だ』
「はああああああああああああああああああああっっっっ!!!!!!!!!!」
ありったけの全力を込めて上段を振り降ろし、【覇王剣】を、ドラゴンに目掛けて放っていく。
【覇王剣】は城下の街もろとも、龍の頭部を真っ二つに斬り裂いていき―――すべてのものを破壊していった。
……後に残ったのは、瓦礫の山と、首を両断された龍の姿だけだった。
――――――この龍殺しの騒動がきっかけとなり、最強の【剣聖】アーノイック・ブルシュトロームの名は聖王国中に広まることとなる。
龍を一太刀で殺したことで化け物と罵られることもあったアーノイックだったが、彼は、病で亡くなる最期の時まで、剣聖としての責務を全うしていった。
……様々な出来事が、彼の人生にはあった。
闇組織の首魁、ジェネディクトと戦い、彼を、すんでのところで逃がしてしまったこと。
ある事件がきっかけで師アレスがアーノイックを庇って戦死し、そのことで自暴自棄になって酒に溺れていたところを、ハインラインに拾われ、彼は一時副業として冒険者になったこと。
冒険者稼業で同じパーティーになったシェリーという少女に好意を持たれ、良い関係になりかけるが……アーノイックの酒癖の悪さに愛想をつかされ、シェリーは結局、ハインラインと結ばれたこと。
多くの出逢いと別れが、彼の人生にはあった。
そして―――36歳の時、師を死なせてしまった苦しみから自死しようと、故郷、奈落の掃き溜めに立ち寄った時。
彼は、そこで、運命的な出逢いを果たすことになる。
「………ガキ、そこで、何をしていやがる」
アーノイックは、スラムの道端で倒れ伏している一人の森妖精族の少女に近寄り、そう声を掛ける。
森妖精族の少女はアーノイックを見上げると、ただ無表情で、彼の顔を見つめた。
「……喋れねぇのか、お前」
「……」
「世の中すべてに絶望したって顔をしていやがるな。こんなにガリガリにやせ細っちまいやがって。メシ、食ってねぇのか」
「……」
その時、アーノイックはふいに、亡くなっていった過去の恩人たちの言葉を思い出した。
『アーくん、常に人に優しくありなさい。人に優しくするだけ、世界は優しいものに変わっていくんだから』
『良いかい、アーノイック。これからは世界を見てくるんだ。そして……世界のどこかで、愛する人を見つけなさい。人は、一人では生きてはいけない生き物だ。僕は必ず、君より先に死ぬ。だから……だから、僕が亡くなった後も、君が誰かの傍で笑顔で笑っていられるように、家庭を築くと良い。子を成し、愛する人の傍で幸せに暮らしなさい』
「………」
大きくため息を吐いた後、アーノイックは、森妖精族の少女へと手を差し伸べた。
「俺と一緒に来るか?」
その言葉に、森妖精族の少女はぶわっと瞳から大粒の涙を溢していく。
そして、彼女は、震える手を伸ばすと…そっと、アーノイックの指に、触れたのであった。
―――アーノイックとリトリシアが、初めて出逢った、瞬間だった。
100話記念短編を読んでくださって、ありがとうございました!
次回から、新章に入りたいと思います!
第五章は、さくっと読めるような展開にしていきたいと思いますので、お付き合いの程、よろしくお願いします!!
いつも、いいね、ブクマ、評価、ありがとうございます!!
とても励みになっております!!
次回は明日投稿する予定です!!
最近35度の猛暑が続いておりますが、みなさま、水分補給をしっかりしてお体にお気をつけてくださいね。
三日月猫でした! では、また!