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第四章 第95話 学級対抗戦ー② 四大騎士公たちの会談


「それじゃあ―――――行ってきますね、オリヴィア、グレイレウス先輩」


 満月亭の庭で、上級生二人にそう挨拶をすると、オリヴィアが心配そうな顔でこちらに駆け寄って来た。


 そして彼女は俺の手をギュッと握ると、眉を八の字にして口を開く。


「アネットちゃん。学級対抗戦では怪我をしないように気を付けてくださいね? 何かあったらすぐ棄権するんですよ?」


「はい、分かりました」


「うぅぅ‥‥こんな時なのに、アネットちゃんの側にいれないなんて、歯がゆいです。私、アネットちゃんのことを守るって、前にそう言ったはずなのに‥‥」


 瞳を潤ませ、唇をわなわなと震わせるオリヴィア。


 そんな彼女の背後で、グレイレウスは呆れたように息を吐いた。


「オリヴィア、貴様など居なくとも師匠(せんせい)は一人でやっていける。この御方をあまり甘くみないことだな」


「グレイくん、アネットちゃんは私の大事なお友達なんです。心配して何が悪いというのですかっ!」


 頬を膨らませぷんぷんと怒るオリヴィアと、フンと鼻を鳴らし、腕を組み柱に背を預けるグレイレウス。


 普段の満月亭の上級生たちのやり取りに見えるが‥‥そこに、いつも変な笑い声を溢している金髪男の存在が見当たらない。


 その光景に、隣にいるロザレナも不思議に思ったのか、首を傾げ、疑問を口にした。


「‥‥‥‥ねぇ、オリヴィアさん。マイスの姿が見当たらないのだけど‥‥あいつ、どうしたの?」


「あぁ、マイスくんは、何故か朝から寮に居ないんですよ~。今日は学級対抗戦を行うクラス以外の在校生は、皆、お休みの日ですし‥‥何処かに散歩にでも行っているのですかね~?」


「そう‥‥。何かあいつ、最近、あんまり寮に居ないことが多いわね。どうかしたのかしら‥‥」


「フン。あの色情狂のことだ。どうせ、外で女でもナンパしているのだろうよ」


「うーん、確かに、ね。あの男のことだもんね。心配するだけ、無駄なことかしら」


 そう言ってやれやれと首を振るロザレナを見つめていると、満月亭の三階の窓が開け放たれ、そこからジェシカが顔を出してきた。


「ご、ごめーん、みんな! 寝坊しちゃった!!」


「あっ、ジェシカ!」


「ロザレナ、ルナティエ、アネットー! 学級対抗戦、絶対に勝ってよねー! 満月亭の代表として、絶対に敗けちゃダメだよー!!」


 そう叫んで、元気よく手を振ってくるジェシカ。


 そんな彼女に手を振り返し、ロザレナは大きく声を張り上げる。


「分かってるわー!! あ、あと、リビングに、グルグルに縄で縛られているエリーシュアってメイドの子がいるから、彼女の話し相手になってあげてー!! あいつ、多分、そんなに悪い子じゃないと思うからー!!」


「エリー、シュア? わ、分かった!! 誰だか知らないけど、仲良くしてみるー!!」


 ジェシカのその返事に頷くと、ロザレナは背後にいる俺と、ルナティエに視線を向けてくる。


「それじゃあ‥‥行きましょう、二人とも!」


「はい、お嬢様」「ええ。分かりましたわ」


 ロザレナを先頭にして、三人で、校舎へと向かって歩いて行く。


 チラリと二人の顔を伺ってみると、ダブルお嬢様方は、まっすぐと前を見据えて‥‥これから始まる戦いに、精悍な顔つきをしているのが見て取れた。


 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




「‥‥‥‥ついに今日から一期生による学級対抗戦が始まる、か。果たして、落ちこぼれの生徒が集まる黒狼(フェンリル)クラスが奇跡の勝利を果たすのか、将又、精鋭揃いの毒蛇王(バシリスク)クラスが予想通りに勝利を収めるのか‥‥見ものだな」



 そう口にすると、聖騎士養成学校『ルドヴィクスガーデン』学園長――ゴーヴェン・ウォルツ・バルトシュタインは、時計塔の上階から、崖下の校庭に集まる生徒たちを見下ろした。


 黒狼(フェンリル)毒蛇王(バシリスク)、両クラスの級長が点呼を取り、列を成している光景を静かに見つめると‥‥ゴーヴェンは背後を振り向き、二人の教師へと笑みを浮かべる。


「ルグニャータ先生、リーゼロッテ先生。各クラスの生徒の調子はいかがかな? 今回の対抗戦で、目立った成績を残せそうな生徒はいるかね?」


 その言葉に、ルグニャータは眠たそうに目を擦り、口を開いた。


「ふにゃぁ~‥‥。黒狼(フェンリル)の生徒は、まぁ、やる気はあるんですが‥‥毒蛇王(バシリスク)の生徒に勝てるかと聞かれると‥‥うーん、悩ましいところですかニャァ‥‥」


「‥‥そうか。では、リーゼロッテ先生の方は?」


「はっ。私の毒蛇王(バシリスク)クラスには、優秀な生徒が多く集まっています。特に、級長、シュゼット・フィリス・オフィアーヌの才能は目を見張るものがあるかと。彼女は既に、学生のレベルを超えています」


「ほう。君がそこまでベタ褒めするとは珍しいな。オフィアーヌ家の息女はそれほどの逸材か?」


「ええ。現状、一期生の生徒で彼女に追随できる力を持った者は、恐らく存在しないかと」


「素晴らしい。当校の理念としては、強者こそが何よりの宝であるからな。弱肉強食こそがこの世の真実。弱者は、この学校において生きる価値はない」


 そう言ってゴーヴェンがクククと嗤い声を上げた後、学園長室の扉がコンコンとノックされる。


 そのノックの音に、彼は一言「入りたまえ」と、声を投げた。


 すると、扉を開けて入って来たのは――――三人の男女の姿だった。


 一人目は、金髪に紫色の瞳の、口ひげを生やした優雅な佇まいの男。


 二人目は、翡翠色の長い髪に、ファーの付いた扇子を持った、豪奢な金色のドレスを身に纏った女性。


 三人目は、青みがかったの黒髪の、何処か緊張した面持ちの壮年の男性。


 その三人の姿を視界に留めると、ゴーヴェンはニコリと柔和な笑みを浮かべ、両手を広げて来客を歓迎する。


「急な招集に、遠路はるばるよくぞ来てくれた‥‥四大騎士公の同胞たちよ。さて、立ち話もなんだ。3人とも、そちらのソファーに腰かけたまえ」


 その言葉に金髪の男は首を振り、前へ出ると、フンと鼻を鳴らした。


「‥‥ゴーヴェンよ。私はひとつ、貴様に問わねばならない疑問がある」


「何かね? フランシア伯」


「何故――――何故、我が愛しの娘、ルナティエが副級長の座に付いているのだ!! 例年通り、学園長である貴様が級長の選定をしたのだろう!? それなのに、レティキュラータス家の息女が級長で、我が娘ルナティエは副級長の座に座っている。‥‥これはいったいどういうことなのかね? まさか、フランシア家の顔に泥を塗ろうとでもしているのかな!? 砂地の主よ!!」


「ククク‥‥。貴様の娘が、レティキュラータスの娘より劣っていたから‥‥という、誰もが思いつく当然の解釈の仕方はできぬのかね? フランシア伯よ」


「はぁ‥‥? レティキュラータスなどという廃れた家の娘に、栄光あるフランシア家の血を引く私のルナティエが劣る、だと? ハ‥‥ハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!!! 冗談も休み休み言いたまえ!! そこにいる四大騎士公の面汚し、レティキュラータス伯が産んだ娘だぞ!? どうせ剣の扱いもろくにできぬ凡愚にきまっておろう!!」


 その言葉に、レティキュラータス家当主であるエルジオは悔しそうに歯を噛み、フランシア伯を睨みつける。


 すると、フランシア伯はニヤリと笑みを浮かべ、口を開いた。


「何か言いたいことでもあるのかね? レティキュラータス伯よ」


「‥‥‥‥いいえ。何も、ありません」


「ふむ。まぁ、そう言うしかあるまいな? 何故なら、我が領土の穀物、作物の国土への供給量は王国一。私の機嫌を損ねて、レティキュラータスの領民が食料難にでも陥ったら‥‥お主の伯爵の立場は失墜。つまり、貴様の首は我がフランシア家の温情で生かされているも同然、というわけだ。そんな私に口答えなどできるわけがないよなぁ? なぁ? エルジオよ」


「‥‥‥‥」


「フンッ‥‥何も言い返せぬか。かつては初代剣聖の末裔として祀られていた血族も、今では地に落ちたものよ。王国に何の貢献もできぬ、ただのお飾りの旧家となっているのだからな! ハッハッハッハッ!」


 高らかに笑い声を上げるフランシア伯。


 そんな彼の姿に、翡翠色の髪の女性は呆れたようにため息を吐いた。


「‥‥‥‥そんなことよりも、私は早く、バルトシュタイン伯の話を聞きたいんですけど。フランシア伯の娘自慢の話とか、果てしなくどうでも良のですけれどぉ」


「オフィアーヌ夫人‥‥先ほどから疑問に思っていたのだが、何故、貴君は四大騎士公が集まるこの場に参加しているのかね? 当主代理であるギャレット殿がこの場に来るのが相応しいのではないのか?」


「お義父様は、御年90歳。ですから、身体に負担を掛けないためにも、聖王陛下の招集以外では極力外に出ないようにしているのです」


「それで、貴君が代理としてこの場に出席してきたわけか‥‥。いや、貴君の夫である分家当主のデッセル殿はどうしたのだ? 彼こそが、代理として最も相応しい立場であると思うのだが?」


「‥‥フランシア伯は、頭が良いのかただのバカなのか、たまに分からなくなりますねぇ‥‥」


「? どういうことだ?」


「何でも。ただ、バルトシュタイン伯によってこの場に呼ばれたのが、夫のデッセルではなく、この私だということで、その背景を察していただけると助かりますぅ」


「‥‥? 意味が分からんぞ?」


 頭に?マークを浮かべているフランシア伯の横で、エルジオは顎に手を当て、ぽそりと小さな声で呟く。


「―――――――なるほど。バルトシュタイン伯はデッセル殿ではなく、夫人をオフィアーヌ家の当主代理として認めている‥‥そういうことですか‥‥」


「何か言ったかね? レティキュラータス伯?」


「いいえ。何でも」


 不思議そうな顔をして首を傾げるフランシア伯にコホンと咳払いをすると、レティキュラータス伯のエルジオは、ゴーヴェンへと緊張した面持ちを向けて、口を開いた。


「‥‥‥‥ゴーヴェン殿。四大騎士公会議から除名したレティキュラータス家当主である私を、この場に召集したということは‥‥何か、私どもに関することで重要なお話があるのでしょうか? しかも、学園という場所でお話するということは‥‥子供たちに関係すること‥‥なのでしょうか?」


「クククククッ‥‥エルジオよ、そう身構えるな。私はただ、貴様らに自分の子供の活躍を見せてやろうと、この場に呼んだにすぎないのだ。―――ロザレナ・ウェス・レティキュラータス。ルナティエ・アルトリウス・フランシア。シュゼット・フィリス・オフィアーヌ。奇しくも、四大騎士公の末裔たちが、学級対抗戦で剣を交合わせることとなった。ククッ、叶うのなら、この場に我が娘、オリヴィアも参戦させたかったくらいだな。これほど、胸が躍ることは中々ない」


「‥‥‥‥」


「さて、話は変わるが‥‥諸君らも知っての通り、直に、王位継承者を決める戦い――――『巡礼の儀』がこの国で始まろうとしている。今現在、各王子殿下たちは、王位を継ぐために、巡礼の儀に必要不可欠な四大騎士公の血を引く者‥‥つまりは、我らの一族を自身の陣営に引き入れるために、躍起になっている」


「巡礼の儀、か。確か、前回は80年前‥‥我らの祖父の代が参加したのだったかな? 前回の巡礼の儀はかなりの死傷者が出たと、お爺様から聞いた覚えがある」


 そう口にして、フランシア伯はドカッとソファーに座ると、髭を撫で、フンと鼻息を鳴らした。


 彼に続き、レティキュラータス伯のエルジオ、オフィアーヌ夫人のアンリエッタも席に座る。


 そんな彼らにニコリと微笑みを浮かべると、ゴーヴェンも向かいのソファーに座り、足を組み、膝の上で手を組んだ。


「あぁ。その通りだ、フランシア伯。巡礼の儀は、王子たちが四大騎士公の末裔を引き連れて、各国にある祠を巡って行く単純な儀式とされている。だが‥‥その内容は、互いに互いを喰わせ合う、蠱毒のような形式となっているのだよ」


「王子様たちも大変ねぇ。全員、そんな殺伐とした殺し合いに強制的に参加させられるだなんて。それに付き合わせられる四大騎士公の末裔ちゃんたちも、本当、良い迷惑よねぇ。シュゼットちゃんをそんな戦いに参加させたくないと言っていたお爺様のお気持ちも、すっごく分かるわぁ」


「無論、この戦いに参加するかどうかは、四大騎士公の末裔たちは自らの意志で決定することができる。逆に王子たちは、巡礼の儀までに自身の陣営に末裔を引き込むことができなかった場合、その場で即アウトだ。継承戦にすら参加できず、王族の名を剝奪されてしまうだろう」


「殺し合うのが良いのか、将又、王族の名を無くして、下層でただの人として生きる道が良いのか‥‥分からないわねぇ」


「ハッ! 下層で生きたとしても、どうせ次代の聖王によって暗殺されるのがオチだ! 自分以外の王族を野放しにする愚策を取るほど、次代の聖王はバカじゃあるまいて! ハッハッハッ!」


「フランシア伯の言う通りだ。どのみち、王子たちはこの戦いから逃れることはできぬだろう。故に、彼らにできることは、たたひとつ。‥‥四大騎士公の末裔の中からより良い人材を発掘し、自身の陣営に引き入れ、味方を増やすことだ。より多くの騎士公の血族を配下に付けた者だけが、この戦いを有利に進めることができる」


 そう言って大きく息を吐くと、ゴーヴェンは天井を見上げ、疲れた笑みを浮かべた。


「【鷲獅子(グリフォン)の家紋】を敷く、武勲に優れた騎士の家、バルトシュタイン家。【毒蛇王(バシリスク)の家紋】を敷く、魔法に優れた騎士の家、オフィアーヌ家。【天馬(ペガサス)の家紋】を敷く、軍略に優れた騎士の家、フランシア家。そして――――【黒狼(フェンリル)の家紋】を敷く、初代剣聖の末裔の家、レティキュラータス家。ククッ、諸君らは何故、我らの一族の家紋に、獣の絵が描かれているのかを知っているかね?」


「バカにしているのか貴様は? 聖グレクシア王国の初代聖王が飼いならしていた聖獣にちなんで、その家紋が我らに付けられたのであろう?」


「その通りだ。鷲獅子(グリフォン)は天空から王国の領土を守衛し、毒蛇王(バシリスク)は王家の宝を守り、天馬(ペガサス)は民たちをまとめ上げ、黒狼(フェンリル)はただ眼前の敵兵を一心不乱に屠っていく。聖獣は、聖王の命令に従う、忠実な獣たちだったそうだ」


 ゴーヴェンは目を伏せて笑みを浮かべると、続けて口を開く。


「‥‥‥‥そんな獣たちの末裔が戦う、この学級対抗戦は‥‥ククッ、王子殿下たちにとっては、獣の能力を品定めするのに―――実に良い機会とは思わないかね? 同胞たちよ」


 その言葉に、フランシア伯は肩を震わせると、恐る恐ると言った様子で開口した。


「ま、まさか‥‥王子殿下たちが、学級対抗戦を見学しに‥‥ここにいらしているのか!?」


「あぁ。既に、この階の上にある応接間に、五人の王子殿下たちをお通ししている。だから貴君らも、学級対抗戦が始まる前に、殿下方に挨拶しておくと良い。もしかしたら彼らの中から、次代の聖王陛下が産まれるのかもしれないのだからな」


 そう言葉を放って立ち上がると、ゴーヴェンは背後に立っている教師の二人へと声を掛ける。


「と、いうわけで、ルグニャータ先生、リーゼロッテ先生、私は彼らを王子たちの元へと連れて行ってくる。君たちは事前に指示していた通りに、生徒たちを地下の転移石のある部屋へと誘導し、学級対抗戦の舞台である『フランシア平原』へと連れて行って欲しい。開会式は10時からだ。では、頼んだぞ」


「了解しましたニャ」「仰せのままに」


 そうして、ゴーヴェンは四大騎士公の同胞たちを引き連れ、学園長室から去って行くのであった。


 残された教師二人は扉の前で頭を深く下げると、ガチャリと閉まった扉の音に顔を上げ、同時にふぅと大きくため息を溢す。


「‥‥‥‥まさか、四大騎士公の伯爵たちだけでなく、王子殿下もこの場に来るとはな。これは益々、情けない試合ができなくなってしまったな、ルグニャータ先生」


「ふにゃぁ‥‥私としては、適当にやって、適当に終わらせたかったところなんだけどね‥‥。王子様たちが来るだなんて、聞いていないニャァ‥‥」


「まったく。お前のそれは、学生の頃から変わっていないな。いや‥‥今のお前と違って、過去のお前はまだやる気はあったか。ふむ‥‥この際だから聞いておくが‥‥何故、お前はそんなに怠惰を貪るようになったのだ? ルグニャータ」


「‥‥‥‥ふにゃぁ‥‥」


「かつてお前は、聖騎士として、あの『フィアレンス事件』に参加した。そして、そこで友人を失って以来、真面目に剣を振ることをしなくなった」


「‥‥‥‥ごろごろ‥‥」


「私の推薦でこの学校の教職に付いても、教え子に『聖騎士になんてならない方が良い』なんて説いている始末だ。いったいお前は、いつになったら昔のような元気溌剌とした、聖騎士としての自分を取り戻すのだ? 私がかつて所属していた無敗の鷲獅子(グリフォン)クラスの級長だった者とは思えない姿だぞ? 今のお前は」


「そんな昔の話は、忘れたニャ~~。私は学園長総帥殿からお給金貰って、お酒を飲んで、ただただボーッと人生を生きたいだけなんだよ~、リズちゃん」


「‥‥‥‥‥‥」


「‥‥‥‥アリサちゃんを死なせてしまった原因を作った私に、もう、楽しく生きる資格なんてないんだニャ」


「何‥‥?」


「何でもないニャ~。ほら、早く、生徒たちをフランシア平原に連れて行くよ~」


 そう言って学園長室から出て行くルグニャータ。


 そんな彼女の背中に訝し気な視線を向けながらも、リーゼロッテは静かに付いて行った。


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― 新着の感想 ―
合法ロリ猫娘先生にそんな背景があったとは…
[一言] 怠け先生はあの事件に居合わせながらも アネット母娘を守りきれなかった事を悔いている、と
[一言] 学園の管理者がヒドイのがわかっているとドラゴンボールのベジータやったように客席ごとぶっ飛ばしてやりたいですね。
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