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97. 夏の浜辺の戦い (11)

 

 水の渦の中。イカが飲み込まれて魔核になり、渦の光に反射しキラキラと輝くちょっと幻想的な光景……まぁ行われているのはイカの大量殺戮(浄化)なのだけれど……。

 ともかく、そんな中、クラスの面々は唖然としてその光景を眺めていた。


「えとー……せ、せしる、これ、いつおわる?」

「もう普通はとっくに終わってるよ!?」

「で、ですよねぇー……」


 ……外からの侵入をまったく許さないという事は、すなわち中から出られないというわけである。

 先程試しにサキが風刃をとばしたが、簡単にかき消されていた。ま、まぁ流石に無限に続くわけでもなし、そのうち静まるとは思う。


「……はぁー。こんな暴力的な水のバリアがあればもうここは安全ね」

「あぁ。突然きれるかもしれないけど……警戒はしつつ一旦休憩しようぜ」

「「「さーんせーい」」」


 クラスの面々は構えていた得物を一旦鞘や傍の浜に突き刺して一息ついた。しかし、敵陣真っ只中にコレは流石にCクラスの連中、胆が据わってんなぁ……。


「ところで……コレ、マオちゃんがやったの?」

「う、あぁー……う、うん。オレ……が、やり、ました……にゃう……」


 う……ん。まぁ、こんなド派手な事をやらかせば、その質問が来るのは当たり前だ。


 …………オレが最初からコレを使わなかった理由は、この質問の後に出てくるであろう皆の反応だ。


 奇異の目くらいだったらまだいい。どうせ、ディアナ先生が言うにはオレ、今は人間じゃないらしいし、猫耳や尻尾生えてるんだから、物珍しいのは当たり前だ。

 けど、こんなにお手軽に戦術兵器……いや、天災のような力を起すような力だ。そんなの、誰が見たって怖いだろうし、オレだって隣でこんなことやられたら正直怖い。


 ……けど、化け物みたいに思われたり、兵器のように扱われたりするのは……やっぱり嫌だ。それに、こんなの使わずにオレは自分で磨いた実力で、ユウに勝ちたい。


「……そっかー。コレ、マオちゃんだったんだねぇ」

「へぇ!すげぇなー、助かったわ!」

「とりあえずお茶飲む?」


 …………。


 あれぇ?


「おっ、マジで!?お茶あんの!?」

「アンタには言ってないでしょうが!後であげるから待ってなさい!はい、マオちゃん」

「え、あ……うん、アリガト……」


 オレは水筒のお茶を受け取って一口飲んだところで辺りを見回してみた。クラスの連中はもうすでに周りと笑いながら会話していたり、イカの対策を練りなおしたりしてるようだ。


 ……よ、予想に反して……周りの空気がかっるい。


 …………いや軽すぎでしょ!?さっきも肝据わってるって思ったけれど、そんなレベルじゃないぞ!!?


「まあまあ、そんな寂しそうな顔しないでマオちゃん。みんな一つくらいこういう秘密あるって」

「そーそー。皆の為に使ってくれたんだろ?感謝しかないぜ」


 ……そ、か。そっかぁ……。


 …………。


 ……………………オレ、このクラスに入れて、ホントに良かった。


 しかし、結局イカではなく、この水の渦に成す術がないわけで……オレは少しだけこぼれてしまった涙をこっそりふき取って、お茶をずずっと飲んだ。

 ん。このお茶、多分マリのとこで買ったやつだろう。最近ミロス国の方で仕入れて、取り扱いが始まったもので、古い茶葉を利用するために茉莉花という花で香りづけをしたお茶なんだとか。お花の良い香りがする。


「ぷは……うま」

「……かわいい……癒しだわ……」


 どうも水筒のコップがデカいから両手で持ってお茶を飲んでいたのだけれど……なんか、言われている。まぁ、今くらいは好きに言わせてあげよう……ってどさくさに紛れて頭を撫でるんじゃない。


「さて……よく見ると少しだけ威力が落ちてきてる、かな?」


 クラスの女子の一人が上を見上げて呟いた。確かに、渦はもう伸びきったのか上には伸びてないし、幾らか威力も落ちてきているようだ。

 ふむ、これなら無理やり突破できるだろうか?


「ここは魔術でゴリ押す?」

「そうだなー、外に人がいないのを確認してから攻撃魔術で相殺して」

「イカは流石にもういないよね?」

「まぁ、もういないでしょ」


 クラスの面々で色々と話し合いが行われている。みんな大人しく待つというよりは、突破する派らしい。


「無事だったら向こう側に離れてて!!!!」


 しかし、その最中。水の渦の外側から大きな声で誰かがこちらに呼びかけた。

 その鬼気迫る声に、皆反応して浜に刺した得物を急いで取り上げると、すたたとその声の反対側へと退避した。

 ……なぜかオレは水稲のコップを持っていたからか横の女子に抱き上げられ、そのまま退避している……いや、即座に持ち上げられたな。そんなにどんくさくないんですけれども。


 皆退避が終わったところで、渦の向こう側がカッと光り輝き、とんでもない厚さのシールドが渦を穿った。

 そこからもう二つトンネル型にシールドが積み重なり、渦にはトンネルが出来上がった。おぉ、器用。


「マオちゃん!!!!!!」


 ほぇ?


 そのトンネルから一直線にオレの所に駆けてくる影が……あの紺の髪は……うん、ユウである。


「大丈夫怪我してない怖くなかった疲れてないお腹空いてない!!?」

「んにゃぁ!?にゃんだぁ!!?」


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― 新着の感想 ―
[一言] 本当に癒やされる、マオちゃんとその仲間達との優しい関係やその背景、何があるかワクワクする楽しみなど、いつも楽しく読ませてもらってます。
[一言] 愛くるしい幼女を化け物呼ばわりするやつは居ないだろうw
[良い点] とても強い猫耳幼女を忌避する紳士淑女など存在しない! マオは変わらずみんなのアイドルなのだ! [一言] マオロスによる禁断症状が出てますね~お薬(マオ)処方しておきますね~
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