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66. 治験 (3)

マオさんが元に戻るまでは三人称視点となります。

 

 ……しばらくわちゃわちゃとやり取りをしていた3人だったが、カランコロンとユウが腰から下げている懐中時計が音を立てた事で、はたと動きが止まった。


 ユウが時計を開けてみると、18時。診察で有耶無耶になってしまっていたが、ククとマオは髪や服をさっと拭いて着替えただけだ。先に体を洗う事も考えると、そろそろ動き出さないと、夕食が遅くなってしまいそうだ。


「ふむ……どうする?マオの服は乾いとらんぞ」

「このままお外は流石にぃー……ダメだよねぇ……。可愛いから見せびらかしたい、けど!凄く、見せびらかしたい……けど!!」

「戻った時にドヤされるぞ……」


 ユウの腕の中のマオはフードがズレてしまって顔に掛かるのを上に避けながら、上を見上げるばかりだ。その様子がまた庇護欲をかき立てるのか、ユウの顔がふやけている。しかし、マオが「へくちっ」と可愛らしいクシャミをしたところで、はっと我に返ったようで、ユウは大急ぎでマオの肩に毛布を掛けて、ベッドに座っていたククの隣にストンと座らせた。


「ご、ごめんね。雨に濡れたばっかりで寒かったよね」

「んーん。おねえちゃんがね、あったかいの」


 そういうとマオは隣にいたククにすり寄ってゴロゴロと喉を鳴らした。


「お、おう。そ、そーかそーか。ふふ、えへへ」

「あー。ククちゃん顔がふやけてるー」

「や、やかましいわ!」


 ムキになって怒るククだが、そう言いつつも、今だけは平熱が高めの事に感謝しつつしっかりとマオを抱き込んでいる。しかし、ずっとこうしているわけにもいかないだろうと、マオを優しく引き離すと、二人は、さてと一息いれて話し始めた。


「さて、本題じゃが……まぁ、マオの部屋に行って取ってくるかの」

「それがいいね。マオちゃん、ちょっとだけ待っていてね」


 ユウがそう言い残して、マオを一撫でしてから後ろを向いた所で、途端に不安そうな顔をしたマオが隣のククにぎゅっとしがみついた。


「お、おいてかにゃいで……」

「ん……?いや、すぐに戻ってくるぞ?」

「いかにゃいで!」


 急に大きな声を出したマオにククは少々驚きながら、しがみついているマオを見つめた。その表情は随分と必死で、今にも泣き出しそうだ。ククは困りながら、横にくっついているマオを撫でながら、苦笑いをした。


「ど、どうしたもんかの……困ったのう……」

(あ、そういえばマオちゃん……)


 そんな様子を見たユウは、以前、マオと一晩を一緒に寝た時の事を思い出した。


 そもそも、マオと一晩寝ることになった発端は、マオが寝言で「いかないで」と繰り返していた事が原因だ。その時も、泣きながらうなされていた。ユウはその時は何か怖い夢でも見ているのかと思っていたのだが、今回の様子を見るに、そうではなかったのだろう。恐らく、マオには記憶の奥底に「置いていかれる」という事に並々ならぬ恐怖心、トラウマのようなモノがあるようだ。


 その事を感じ取ったユウは、マオにすっと手を伸ばして、にっこりと微笑んで、口を開いた。


「マオちゃん、一緒に行こ?」

「……! うん!」


 マオは、まるでその言葉を待っていたかのように手に飛びついてにっこりと笑った。


(マオちゃん……言いたくなったら、理由を聞かせてね)


 ユウはマオの手を取りながら心の隅でそう呟いた。


 ―――……。


 マオの部屋では、「普段着が少ない!下着が少ない!可愛げが少ない!」と話し合われ、哀れマオは近いうちに、また着せ替えの刑が予定されたところで、今ある着替え分を持って、一行は脱衣所にやってきていた。


「ククちゃん……覚悟ぉ!」

「嫌じゃ!わしはお前とは絶対に入らんぞ!!」


 脱衣所の角あたり。追い詰められたククと両手にシャンプーやタオルを持ったユウが何やら争いを始めていた。どうやら、マオではなく、ククが駄々をこねているらしい。


 というのも、以前にククはユウに連れられて初めて、実家のような堅苦しい湯浴みではない普通のお風呂を体験しに来たのだが、ユウの洗髪、洗身テクにふにゃふにゃにされ、皆の前であられもない顔を見せるという醜態を晒すことになってから、ユウと一緒に入る事は避けていたのだ。


 今回も「外で待っている」と自然とフェードアウトしようとした結果、途中でユウに捕まり、現在に至るというわけである。


 脱衣所の角で熾烈な応酬を繰り返す二人だったが、そこにマオがぽてぽてと歩いていき、ククに抱き着いたところで、二人の動きがピタリと止まった。


「……いっしょがいい」

「ぬ、ぐ……む、むう……」


 ククは顔を強張らせて、己の羞恥心と可愛いお願いの間で揺れているようだ。そこにユウが「ほらほら」と悪魔の笑みを浮かべている。そこから少しの間葛藤していたククだったが、何かを諦めたように目を閉じて「フゥー……」と大きく息をついた。


「分かった……一緒に入ろうな」

「うん」


 可愛いお願いには勝てなかったらしく、ククがマオを撫でながらつぶやいた。その言葉にユウは「勝った!」と言わんばかりにニコニコの表情をして、ふんふんと鼻歌を歌いながら、準備の為に脱衣所のロッカーへと向かっていった。対照的に「今回ばかりは仕方がない……」とククは肩を落としつつ、服をしゅるりと脱ぎ始めた。


 ……この後、マオとククは二人ともふにゃふにゃにされる事になり、ククは脱衣所付近では絶対にユウに見つからないように行動する事を天に誓った。



勢いで始めてから気が付きました。三人称むっずい (投稿遅れてる理由)。

恐らくこれまで以上に拙い文になっていますが、ご容赦ください……。

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― 新着の感想 ―
[一言] これ元に戻った時記憶が残ってるか残ってないかでマオの羞恥心がどうなるかw 記憶残ってたらもう諦めてょぅι゛ょ堕ちするしかないな٩(ˊᗜˋ*)و
[一言] 幼女可愛い( ≧∀≦)ノ
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