表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
62/101

61. ディアナ先生とのお話 (1)

 

「……ふにゃっ!? ……あ、やば、今にゃんじ!?」


 あの後、またもユウに辛酸をなめさせられたオレは、部屋の中で一人、ベッドの上で悔しさを噛みしめながらお布団様を抱き込んで、一人反省会を行っていた。しかし、どうやら途中でお布団様の悪魔の魅力に憑りつかれ、眠りへと誘われていたらしい。


 大急ぎで懐中時計を開けると……丁度16時を過ぎた所。あ、危ない、これならばディアナ先生との約束は果たせそうだ。急いで保健室まで向かわなければ。


 オレは両手に抱いていたお布団様をぽいと放り投げてから、ベッドから飛び降りた。 ……むぅ?なんだか体に違和感が……。


「……んあ。ヘアゴムとエプロンそのままもってきちゃった」


 下に視線を落とすと、薄桃色でサイズが大きめのエプロンをつけたままだ。 ……おや?そういえば、ユウのものにしてはサイズが小さい気がする。


 オレはエプロンをとって表裏とくまなく確認すると……どうやら、裾の方に薄紅色の宝石が刺繍されているようだ。ユウのものだったら片喰の刺繍だろうから、やはりこれはだれか別人のもののようだ。仕方ない、後で謝ってから返そう。


 オレはエプロンを適当に畳んでから、髪を束ねていたヘアゴムを取っ払ってから部屋を飛び出した。目指すは保健室。時間ギリギリだから、少し急がないと。


 ―――……。


 ぜぇ……はぁ……が、頑張って走って、ようやく教員棟の前まで来た。腰から下げている懐中時計を開けると、16時30分ピッタリ。はぁー……間に合った。けほっ……ちょ、ちょっと休憩。


 オレは、教員棟の入口にある3段階段の端っこにバタリと座り込んだ。もうそろそろ夏だから、日は長くなり、まだ太陽は校舎を燦燦と照らしている。流れてくる風も冷たいというよりは、少しだけ暑い感じだ。そして、今は髪の毛がとても長い。つまり……走ると物凄く、背中と首元が蒸れる。


「……あーつーいー……」


 オレは首元を大きく開けて、髪の毛を横によけつつ、ぱたぱたと手で仰いで一息ついた。しばらく手をプラプラさせて仰いで、ようやく息が整ってきた。そして、そろそろ行くかぁと思い始めていたところで、突然後ろの方から影が差した。


 オレは仰ぎ見るように後ろに目をやると…ディアナ先生がこちらを見下ろしているようだ。表情はなんとなく呆れている感じのように見える。


「あ、せんせー」

「……『あ、せんせー』じゃない。あのなぁマオ……」


 ディアナ先生はそう言うと、階段を降りてオレの目の前まで来ると、オレの首元に手を伸ばして、はだけかかっていた服を戻した。


「……今は女の子なのだから、服は注意しなさい」

「むー……」


 むぅ、まだ少し暑いけど、致し方ない。その後、先生はハンカチを取り出してオレの顔の汗をぬぐった後、これで良しと言って頭を撫でた。 ……本当に、ディアナ先生は自然に頭撫でてくるのは何故なのだろうか……。


「さて、用は保健室で話そう。行くぞ」

「はぁい……んにゃっ!?」


 ディアナ先生は立ち上がろうとしたオレをひょいと脇に抱えて、保健室へと歩を進め始めた。 ……あー。うん、入学式以来ですね、この持ち方……もう、いいや…。


 ……うなだれて拉致されること数分。保健室についたディアナ先生は、オレを机の横の丸椅子にこの前のようにストンと座らせた。そして、向かいの椅子に座ると、何やら机からクリップボードのついたカルテのようなものを手にし、ペンでさらりと何かを書き足してオレの方へ向きかえった。


「さて、マオ。話というのは、君の体の事だ。今回、寝ている間に少しだけ君の体や魔力を調べさせてもらった。まずはそこで分かった事を述べようと思う」

「……?は、はい」


 先生は随分と真剣な面持ちだ。オレは少しだけ気圧されて、固唾を飲み込んだ。そんなオレを確認した先生はカルテに目を落としながら続けた。


「君の魔力だが……現人類と個人差で片づけられない程に異なる事が分かった。とはいえ、猫や犬などの動物のものでもないし、魔物のようなものでもなかった。そして体には人には無い特徴が耳と尻尾以外にも、瞳、口内、喉奥と複数あった。あとは、君は気が付いていないかもしれないが、君の体は随分軽い」

「あー……」


 ……今まで色んな人に抱えられていて気が付かなかったけど、確かに随分と軽々しく持ち上げられてたな……。幼児のような背格好とはいえ、人間であればこのくらいならば20kg前後はあるはずだ。シィやサキ、その他の女子の細腕で簡単に持ち上げられるのはそういう事だったのか……ユウは例外。


 そういえば剣を振ったときにやたら重心が定まらなかったのも、筋力だけではなく、もしかしたら自分の重量も関係していたのかもしれない。


「そこで、考えられるのは…耳と尻尾は、魔術的な役割をしているのではなく、単純に器官として存在していて、君は今あらゆる面で人類とは異なった存在だという事だ」

「……えと、つまり……?」

「……君は人間ではない」


 …………え、えぇ……?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] なるほど人間ではなく可愛い生物だということだね(キリッ
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ