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51. メンバー集め (2)

 

 オレはサキと先ほどパーティメンバーとなったウィリーを引き連れて、武術棟へやってきた。まだ訓練を続けている生徒が多いらしく、生徒が自身の得物を振るって、訓練用のダミーの標的に打ち込んでいる姿が見える。 ……いいなぁ。オレもやりたいなぁ……。


 ……っと、いけない。今はメンバーを集めることが目標だ。


「さて……だれかいにゃいかにゃぁ」


 オレはポツリと呟きながら、辺りを見渡してみた。一心不乱に剣を振る者、休憩中なのか木陰で汗を拭うもの、仲間との連携を試しているのか、集団で行動しているもの。様々な生徒がいるが……うーん、どうやって誘ったものか。


「やはりマオ、ここは」

「おだまり」


 オレが頭をひねっていた所で、サキが後ろから声をかけてきたので、それをひらりと躱しつつもう一度頭を傾げて考えを巡らせた。


 ……まぁ、良い方法も思いつかないし、地道に声掛けしていくしかないかぁ。


「とりあえず声かけてみる」


 オレは一番声の掛けやすそうな休憩中の一団の方へ走って近づいてみた。木陰の一団はオレが近づいてきたのに気がつくと、皆一様に首を傾げているようだ。


 さて、こうゆうときの募集の方法だが、やはり自信ありという人を集めるのが良いだろう。オレはふふんと胸を張って、腕組み仁王立ちをすると、大きく息を吸い込んだ。


「にゃあ!しょくん! ……えと、われわれはいま、かがいじゅぎょーにむけて強きせんしをぼしゅうしている!われこそはとおもうものはいるか!?」


 よし、こんな感じだろう。ふふ、血沸き肉躍る良い募集だった事だろう。きっと我こそはというツワモノ達がここに集うに違いない。


「たまに来ていた子だ」

「あの、噂の1年生の謎の幼女だよな?ホントに耳と尻尾が生えてる……」

「可愛い!」「カワイイー!」「かわいー!」

「いや、でもあの子大丈夫か……?」

「それが、あの天才って言われている1年生のシャムロック嬢を上回る魔力なんだとか」

「かわいい……」「やば、めちゃ可愛い」「可愛いなぁ」


 ……あ、あれ。おかしい。なんだかほんわかした雰囲気と、ひそひそと何やら話が行われている感じになっているぞ。しかし、ここで引き下がるわけにもいかない。とりあえずオレはそのままの体勢を維持しつつ、静かに誰かが名乗り出るのを待ってみた。 ……が、少し経っても、一向に現れない……。な、なぜだ……?


「お姫様……は、嫌なんだったね。マオ嬢、少し良いかい?」

「んぅ?にゃんだ?」


 そんな中、後ろで様子を伺っていたウィリーがオレの傍に寄り、声をかけてきた。ちょいちょいと指を振って、こちらに来るようにとジェスチャーしていたので、オレは体を傾けて、耳をそちらへやった。すると、聞こえないようにと手で口元を隠しながらウィリーが囁いた。


「彼らは上級生。今回の課外授業では別の場所に行く人達だよ」

「……ふぇ!?」


 そ、そうか。教室と違って、ここは上級生もいる。今、木陰で休憩していたのはどうやら上級生だけだったらしい。そりゃ募集しても集まらないわけだ……つまり、このほんわかした雰囲気は「あっ、あの子何もわからずに来たな」っていう生暖かい視線が入っていたからという訳か……。


 ……は、恥ずかしい。と、とにかく、ここは一時撤退しよう。


「……し、しつれいしましたぁー!」

「おやおや……それでは、皆さん。失礼いたします」


 ちらっと後ろを向くと、何やら笑顔で手を振られている……むむぅ、大失敗だ。とりあえず元の武術棟入口まで戻ってきたオレは真っ赤になった顔を両手で覆って、ぐぬぬと歯ぎしりした。武術棟は全生徒に開かれている場所って事だから、ここから同級生にだけ声を掛けるのはまだぜんっぜん他のクラスの生徒の顔を覚えていないオレには至難の業だ。ぐぬぬぬ……ど、どうしよう。困ったぞ。


 オレが考えつつ、顔の紅潮が収まるまで顔を下に向けている最中、不意に武術棟の校庭の方から元気そうな大きな声が聞こえてきた。


「あー!見つけました!でっ……じゃなかった、ウィリー様!こんなところにいたんですねぇ!?」

「おや、見つかってしまった」


 んむ?何か落し物でもしてしまったかと一瞬焦ったが、どうやら別件らしい。大きく手を降りながら現れたのは薄桃のふわふわした髪をした随分背と……発育の良い女子生徒のようだ。そして、背中には巨大な剣を背負っている……すげぇ。ウィリーに声を掛けたという事は、どうやら、ウィリーの知り合いらしい。


「ってぇ!すっごいかわいい子連れてますね!?きゃー!お人形さんみたいです!!」

「んにゃあぁぁぁぁあ!!?」


 その大きな女子生徒はオレ達の前でキキッとブレーキをしたかと思ったら、うずくまって見上げていたオレを見るなり、ひょいと持ち上げて抱きつぶしてきた。つぶ、つぶれる!つぶれるって!……あ、あれ?柔らかい……?た、助かった……。じゃ、なくて!降ろせこのやろー!


「殿下!この子どうしたんですかぁ!? ……あっ」

「……でんか?」


 不意に『殿下』と口走った桃髪巨体な女子生徒は、やってしまったというようにそっとオレを降ろしてから、両手で口を塞いだ。


「でんか……でんか……って、ああぁ!?おもいだした!!」


 どこかで見たことある気がするなぁ……なんて思ってたら、母さんの手伝いで王宮に行ったときに見た、アルカ王国第一王子のウィズ王子じゃないか!髪色と髪型は変えているし、目の色も違うけど、この顔は王宮でみた顔そっくりだ。え、いや……えぇ?なぜ……?


 横をちらりと見ると、サキも気がついたようで「なんでこんな所にいますの!?」という顔をしている……ホントになんでこんな所にいるんだ??


「はぁ……二人とも気がついてしまったか。フォリア、まったく君は……。当初から危惧していたことではあったが、まぁ、バレてしまったものは仕方ない……」

「ご、ごめんなさいぃ!!」


 横で必死に謝っている桃髪巨体さん改め、フォリアと呼ばれた女子生徒を尻目にウィリー……いや、ウィズ王子はオレたちの前に歩を進めて、右手をすっと胸に当ててこちらを真っすぐ見つめた。


「改めて。名前を偽っていたことはすまなかったね。僕はアルカ王国第一王子、ウィズ・アーク・ド・アルカ。後学のために、この学校で身分を偽って勉学に励んでいるんだ。そして、彼女は私の従者兼護衛のフォリア・ナイト。 ……腕は立つんだけど、まぁ、見ての通りそそっかしくてね」

「うー、フォリアです。こんな可愛い子を連れているのは反則ですよぉ」

「と、騒ぎになると行けないし、ウィリーと呼んで、今までのままで接してくれるとありがたいな」


 ウィズ王子はそういうとにっこりと笑った。うーん……屈託ない笑顔に見えて、その実「言うなよ」って感じの圧を感じる。まるでマリのようだ。


 まぁ……多分大丈夫だろう。というより、誘って了承しておいていきなり「ご遠慮します!」とか、それこそ母さんに迷惑が掛かりそうな気がするし……サキもふぅとため息をついているのを見るに、同じ考えだろう。


「そう、詫びという訳ではないのだけれど、丁度前衛が居ないという話だったし、残り一人はフォリアでどうだろうか?」

「う、うん。オレはそれでいいけど……」

「フォリアもいいかい?」

「はいです!殿下をお近くで守れるし、好都合です!」


 フォリアは胸にドンと手を当てた後、後ろの巨剣を軽々と振り回した後にガツンと地面に突き刺した。これはまた……ず、随分パワフルな奴が入ってきたものだ。ま、まぁ、これなら戦力大幅アップは間違いなしだ。


 よし……これで、後はユウに宣戦布告をするだけだ!


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― 新着の感想 ―
[一言] 誤字ではないですが意図したものではないと感じた為、誤字報告しました。 故意のものでなければ修正していただければ幸いです。
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