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49. 課外授業の概要

 

 オレは早速、課外授業がどういうものかを詳しく把握するため、以前に配られていた課外授業の概要が書かれた用紙をカバンから取り出して机に広げた。そこに書かれた概要によると、班分けは事前申請か、事前申請が無ければ適正毎に振り分けを行うらしい。


 まず事前申請は、学園内であらかじめパーティを組んで、一つの班として申請することでそのメンツのまま班行動が出来るらしい。もちろんそれが適正が極端に偏ったりしてしまっている場合やパーティの頭数が足りない場合は申請却下となるようだ。


 なぜこんなシステムが存在しているかというと、冒険者がバディ、いわゆる相棒を決めて、息を合わせて冒険を行うというのは珍しくなく、頻繁に行われているためだ。もうすでにバディがいて、バディとの動きが確立されている中、無理に息が合っていない人と組むのは危険を晒すこととなる為だろう。まぁ、学園の行事だとしてもその実態は魔物の討伐だ。少なからず命の危険はあるのだから、相方を選ぶ権利はあるというわけだ。


 振り分けの場合は単純にまだバディが決まっていない人達を学園側が性格や個人の能力を含めた総合的な適性を見てパーティ単位に振り分けを行うという物だ。これが随分と精度が良いらしく、そこからバディを組んだ……なんていう話も珍しくないらしい。


 ……体験談が用紙の下の方に添えてあるのは、不安を払拭するためだろうか?なんだか丁寧だ。


 今回の森での討伐のパーティの人数は最大4人らしく、前衛3に後衛1、または前衛2に後衛2のどちらかのパターンとなるように組まれるようだ。事前申請も同じく4人での申請となる。個々の連携がとりやすいバランスの取れた人数が4人ということだろう。そこに学園から派遣された引率の冒険者、もしくは教師が一人ついてきてくれるらしい。


 ふむ、課外授業の概要はこんなところのようだ。オレは今、バディと呼べる存在はいないから振り分けのほうに申し込み…と、本来はなるのであろうが、折角なのだから一緒に戦ってくれる頼もしい仲間と組みたいから、パーティメンバーを集めて、事前申請を行おうと思う。


 ……万が一、振り分けでユウと一緒になったなんて事になったら台無しだしな。


 …………そういえば、セシルはどうするんだろうか?


「セシルー。セシルはだれかと組むのか?」

「僕は振り分けの方にする予定だよ。色々と……見聞を広めないといけないからね」


 うん?見聞を広めると言う前に、一瞬セシルの表情が曇った気がしたけど……。本当はセシルだったら気兼ねしないだろうから、オレのパーティに誘おうと思っていたけれど、本人が振り分けを希望しているのだから、これは仕方がないだろう。


「そうかー。うん、セシルにもぜったいまけにゃいからにゃ!」

「あはは……怪我しないようにね」


 オレはセシルにそう宣言したところで、机に広げた用紙とマル秘ノートを片付けた。窓から見える景色は夕焼けで大分赤らんでいる。もうそろそろ帰らないと夕食が間に合わなくなってしまう。セシルも、オレが片づけをしたのを見て、カバンを持ち直しつつ、制服の裾を直した。合わせて帰宅するようだ。


「じゃあセシル、またにゃー」

「またね」


 セシルに勢いよく手を振って、オレはセシルと別れると、早足で教室を後にした。学舎から外に出ると、夕焼けはそろそろ夜闇に代わって、星が見え始めるころになっている。懐中時計を開けると、もうそろそろ7時に差し掛かるかといったところだ。


 ……ギリギリ間に合わない…か?長居をしすぎたようだ。


「うーむ……まぁいっか……?」


 まぁ、一日くらいご飯を抜いたって死にはしないし…ちょっとだけ今日の日替わりメニューが良いものだったらショックだなと思う程度だ。オレはため息を一息ついて、寮へと歩を進めようとすると、後ろのほうから「待ってくださいまし!」と聞き覚えのある声が聞こえてきた。声のほうに目をやると、サキが白金の髪を揺らしながらいそいそと駆けてくる姿が見える。


「ふぅ、追いついた。マオも今から帰りですの?」

「うむー。サキも?」

「ええ。ちょっと剣術科で個別に指南を受けて、それを復習していたら熱が入りすぎてしまって。一緒に帰りましょう?」


 サキも今から帰るところだったようで、オレを見かけて急いで声をかけたようだ。


 サキはオレが今通っている魔術科ではなく、剣術科、総合戦闘技術科を選択している。どうやら遅くまで練習をしていたようだ。


 ……そういえばナイスタイミングではないだろうか。


 本当はオレは前衛だ! ……と、言い切りたいところなのだけれど、今は剣を振ることすら出来ない状態なわけで、今回は魔術科らしく、後衛で敵を打ち抜くのが仕事になる。となると、誘うべき相手の最低2人は前衛を見つけてこなければならない。その点、サキならば剣術科だし、実力も申し分ない。おまけに勝手知ったる仲だ。


「にゃあサキー」

「うん?猫みたいに鳴いてどうしましたの?」

にゃ()がいえにゃいの!って、それはどーでもよくて!かがいじゅぎょーさ、一緒にパーティくまにゃいか?」

「課外……あぁ、近々ある行事ですわね。もちろん良いですわ」

「よっしゃ!」


 よっしゃ、これでメンバーを一人確保だ!サキが仲間ならば、このオレの類まれなるワイルドな魔術技能を遺憾無く発揮できることだろう! ……これは、勝利への一歩を着実に歩み出せたような気がするぞ。ふっふっふ、待っていろユウ……目にもの見せてやる!


 さて、集めるメンバーはあと2人……明日からパーティのメンバー集め開始だ!


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