表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/101

33. マオつむり

 

 その夜、時刻は夜の8時を回っており、辺りはすでに暗くなってきていた。用事があって少し遅くなってしまったようだが、ユウとサキがマオの部屋の前へと訪れていた。しかし、部屋の前は複数人の生徒で何やら人だかりが出来ていて、尋常ではない雰囲気になっていた。


「……マオちゃーん、お腹空いたでしょー。出ておいでぇ」


 一人の女子がマオの部屋に向かって声をかける。しかし、扉の向こうからは返事も、ノックも帰ってはこない。


「あ、ユウさん。なんでも、一日ずっと引きこもって、朝から何も食べていないみたいで……トラウマになっていないといいんだけど」

「あの子は色んな意味で強い子だから、大丈夫だとは思うけど……」


 訪ねてきたユウとサキに気が付いた一人の生徒がいそいそと二人の元へと駆けつけ、事情を説明した。それを聞いたユウはあのマオがそこまで凹む事があるのか、そして、ここまで大事になっている事を不思議に思い、首を傾げて大丈夫じゃないかと話をしたが、まだ女子生徒は浮かない様子だ。どうやら、このほかにも問題があるらしい。


「それと……ケイシー先生から聞いたんだけれど、なんでもマオちゃんが今回の事がショックで、もしかしたらこの寮から居なくなっちゃうかもって」

「えぇ!?」


 ―――……。


 ……と、今まさに廊下で話し合われているわけだが……。


「……ど、どうしよ」


 灯りがついていない部屋で、布団の中、オレはどうしようかと悩んでいた。というのも、正直恥ずかしすぎて顔を見せられないからと寝たふりをして呼びかけを放置していたら、何やらとんでもない大事になってしまったからだ。扉の前の女子が言うには、オレは今回の一件で寮から居なくなるとかなんとか。 ……まぁ、誘われてはいるのは確かなのだけれど……。なんというか、このままだと何かあったのかと扉を蹴破られそうな気がする。 ……なんとかせねば。


 意を決して布団をはぎ取ろうとしたところ、玄関の方でガチャリという鍵が開く音がした。どうやら、部屋のスペアを借りてきたようで、鍵が空いたようだ。ちょ、ちょっと寮母さん。プライバシーをですね……。


「お部屋、真っ暗ね。マオちゃん、灯りつけるよ?」


 部屋に入ってきたユウが灯りのスイッチを押したようで、段々と部屋が明るくなっていく。 ……くそう。完全に出ていく機会を失ってしまった。このままでは何やら良く分からない内に捕まる気がする。 ……こうなればもうヤケだ。


 咄嗟に、はだけていた布団をガバッと上から被り、お布団バリアを張る。少し心許ないけれど、もう防壁がこれしかない。


 ああ、愛しのお布団様。少しの間オレをお守りください……!


「寝て……は、なさそうですわね……布団がお饅頭みたいになっていますわ……」


 近くからサキの声が聞こえる。どうやら、すぐそこまで来ているようだ。布団の隙間から外の様子を確認してみると、サキのほかにもユウや他の生徒もいるようで、視線がこちらに注がれている。


 ……いたたまれない……は、早くどっかいって……。


「マオちゃん、大丈夫だよ。ほら、出ておいで」


 ユウがお布団バリアの前で屈みながら優しく呟いた。 ……一体何が大丈夫なのかは分からないけれど、お断りします。帰って。


「うーん……返事が無いなぁ」


 オレの反応が無いと見るや、向こうで何かヒソヒソと話し合われているようだ。しばらくして、作戦会議が完了したのか、サキが一歩前に来て、ベッドの横に座った。


「マオ。最近我が国で新たにシェフが開発した『マカロン』というお菓子をご存知かしら。メレンゲにアーモンド、お砂糖を混ぜて焼き上げたお菓子のサンドで、ジャムを挟んでありますの。今イングス王国では空前のマカロンブームで、大人気なお菓子なのですわ」


 ……ふむ?知らないお菓子だけど……。


 オレが首を傾げた拍子に布団が揺れたのを見て、反応を示したのかと踏んだサキは続ける。


「王都のカフェのケーキやクッキーに負けずとも劣らない美味しさで、一度食べれば忘れられない味なのですわ」


 ……にゃんと。あの物凄く美味しかったカフェのパンケーキよりもおいしいらしい。それは……朝から何も食べていないし、お腹も空いているから余計に気になる。


「それが偶然手元にありますの。ほら、顔を見せてくれたら差し上げますわ。いかがかしら……?」


 サキは持っていた小袋から一つだけソレを取り出して、布団の前に持ってきて見せた。ジャムにローズが練り合わせてあるのだろうか、上品な甘い香りが布団の中に溢れる。


 ……欲しい。正直凄く欲しいんだけど……むむむ……。よし、手で取ってしまおう。


 手だけを布団から出してひょいひょいと辺りを探ってみるが、手が空を斬るだけだ。む、確かこのあたりから香りが……こっちか……?


 不意に、手が振れたのはなにやら柔らかい感触。むにむにと探ってみるが、明らかに焼き菓子ではない。注意深く探ってみると、指っぽい感触なのが分かる。どうやら、サキの手だったようだ。


「あらあら。お顔を見せてくれなければあげられませんわ」


 サキはそういうと、手をがっしりと掴んで、ぐいとオレを袂に手繰り寄せた。一瞬の出来事に反応できなかったオレは目の前に引っ立てられ、がっしりとホールドされる。


「にゃ……!?」

「捕まえましたわ」

「「「「ちょろっ……」」」」



Q なんでポトフとかパンケーキとかマカロンとか地球上の料理が?

A 考えるのがめんd……気にするな☆


そろそろ書き溜め分の放出が終わります。

今後はなるべく早い投稿を目指します……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
マオにゃん可愛すぎるwww
[良い点] ちょろいのかわいいw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ