表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/101

28. ミスコミュニケーション

 

 ……授業の後、オレはサキに武術棟の裏に呼び出されていた。理由は言わずもがな、この体の事だ。


「で?どうしてこんな事になっているんですの?」


 久しぶりに会うサキはどことなく大人になっていて、今オレの前に立っているその姿は少し大人なお姉さんといった感じになっていた。それにオレがこんな体になっているのに、佇まいは凛としていてとても冷静に見える。


 …………あ、いや、よく見たら冷静じゃなさそう。手がプルプル震えていらっしゃる。


「えと……これにはふかーいワケが……」


 と、ここまで口走って気が付いた。 ……ヤバい。よく考えたら、これ、どうやって説明すればいいんだろう。


 素直に「魔法使ったら失敗しちゃった、てへ!」と言うのは、正直恥ずかしいし、サキと遊んでいたころの兄貴なカッコイイオレのイメージを崩したくない。「オレの秘めたるパワーが……!」とか、そうゆうのは結果的な意味で、無理がある。だからといって「呪われちゃった」みたいな心配を掛けてしまうようなモノは違うし……。


 いっそのこと、このまま何も言わずに逃げる?…いや、サキはこう見えて騎士の家のご令嬢だ。小さい頃から訓練を積んでるし、今の、この細足で逃げおおせられる自信がこれっぽちも無い。


 ……何か、何か良い案は無いだろうか。


 オレがうんうんと唸っていると、サキは怪訝そうな顔をしてこちらを見ていたが何やらはっとした感じに目を見開いた。


 ……あ、これ嫌な予感がしますね。


「言えない事情がある……まさか、誰かに口封じを……!?」


 ……おーう……やっぱり、サキの思い込みで、話が明後日の方向に飛んでいきそうだ。サキは少々興奮気味で、ふんふんと鼻を鳴らしながら何やらブツブツと独り言を言っている。や、やばいやばい。サキの悪い癖が絶好調だ。早く軌道修正しなくては……こうなれば仕方ない。ありのまま起こった事を話そう。


「ちがうちがう。コレはユウとのけっとーで……」

「ユウ……!昔よくお話に出ていた、ユウという方にやられたんですのね!?」

「いやだから、ちが――」

「ああ、私がいないところでこんな事になっていたなんて……!こんな、さらに庇護欲をくすぐられる感じに変えられてしまって……!」

「ひごよくってにゃんだ!?」

「分かりましたわ!私がマオのその体の事、解決いたしますわ!今からそのユウという方にお話を聞いてまいります!マオは危ないから隠れていてください!」


 ……相変わらず思い込むと人の話を聞かないな!?


 サキはそう宣言すると、バビュンとその場にオレと風を置き去りにしてダッシュで向こうの方へと駆けて行ってしまった。オレもサキの後を追いかけてみるが、この細足はやはりぽてぽてと走るくらいしか出来ず、あっという間にサキの後姿は見えなくなってしまった。


 ……これ、絶対色々面倒なことになる。仕方ないので、オレはサキを追いかけるのを諦めて、踵を返してユウの元へと向かうことにした。


 ―――……。


「はっ、はひぃ……にゃぅ、はひぃ……んにゃぅ」


 ひ、久しぶりの全力疾走は予想以上に体力が持っていかれた……。やはりこの体じゃ、以前のように全力で走るのは無理がある…早く、早く身体強化を覚えたい……。


 ていうか、曲がりなりにも猫混じっているんだから、もうちょっと身体能力高くてもいいと思うんだが……!こう、木に飛び乗ったり、高い所から落ちても大丈夫そうだったり!今の体力、箱入り幼女という感じなのには納得がいかない!野生をください!!


 ……と、ぶつくさ考えながらも必死に走る。この階段を登り切って、二つ教室を通り過ぎれば、ようやくBクラスだ。ご、ゴールは近いぞ、ガンバレ、オレ……!


 オレはへろへろになりながらゴールにたどり着くと、力を振り絞ってドアノブに飛びついて、バタンと勢いよく扉を開けた。そして、次の瞬間目に飛び込んできたのは、ざわざわとした教室の真ん中で対峙している二人の少女だった。


 ……あー。間に合わなかったかぁ……。


「ユウさん!いくらマオが元々可愛いといってもアレ(あの体)は流石にマオが気の毒ですわ!即刻治してあげてください!」

「……えぇ、それは勿体ないよぉ。だって元のやつ(制服)は可愛いくないじゃない」

「なぜですの!元が気に入らないと申しますの!?」

「折角なら可愛い方が良いじゃない?」


 ……何やら言い合っているが、肝心な単語が抜けているせいで、何やら話が変な風にかみ合っているような気がする。あと元々可愛いってなんだ、サキと出会った頃はしっかりとしたカッコイイ兄貴で通していたはずだぞ。


 サキとユウはしばらくきゃいきゃいと言い合っていたが、口論がデッドヒートした所で、サキがフゥーと大きなため息をついて、言い合いがピタリと止まった。


「……仕方ないですわね。ユウさん、貴女に決闘を申し込みますわ!私が勝ったらユウを元に戻してもらいますわ!」

「それは良いけど…そこまでする必要あるかなぁ……」

「しゃらくせぇですわ!覚悟しなさい!」


 …………どうしてこうなった…………。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ