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27. サキ登場


 朝のHR、いつものようにディアナ先生の朝礼が始まっている。


 オレはぼんやりと今日のお昼は何を食べようか考えつつ、それを聞き流していたが、今日の朝礼は少しだけ内容が違った。


「……そして、本日は君たちに新たなクラスメイトを紹介する」


 どうやら、転入生が来るらしい。ディアナ先生が言うには、なんでも、お国の都合上入学式には間に合わなくなってしまったらしく、遅ればせながらの入学になったようだ。


 一通り、先生が説明を終えると、「入ってきたまえ」と扉の方へと一声掛けた。すると、扉がキィと開いて、一人の少女がつかつかと教壇のほうへ向かい先生の隣で綺麗な所作で一礼した。


 緩くウェーブの掛かったプラチナブロンドの長髪、瞳はチェリーピンクで、高身長のすらりとした体が印象的な少女……だ……? ……え?ま、まさか……。


「サキ・ユニア・バーストロワと申します。イングス王国より参りました。よろしくお願いいたしますわ」


 ……ひぇっ……サキだ……。 ……オレはこの、教室に入ってきた少しだけ気が強そうな感じの少女を知っている。


 イングス王国、アイミス連合の北方にある連合の中で一番小さな王国。雪深い国はそこまで裕福ではないものの、毛皮や天然資源であり、魔道具の主動力となる物質の魔核が大量に取れる事が分かった為、数年前からアルカ王国との商取引が盛んになった国だ。オレの実家も例外ではなく、イングス王国の諸侯と独自に取引をしているのだ。オレとマリも母に連れられて、良くイングス王国へは赴いていて、そこで出会ったのがこの少女、サキというわけだ。


 サキとの出会いはオレが8歳の頃まで遡る。


 サキはイングス王国の公女である。サキと初めて会った頃のバーストロワ家は斜陽の家だった。

 元々イングス王国はアルカ、ミロスの騎士たちが独立して興った国だ。故に、現在のイングス王国は精強な騎士達が貴族として国を治めている。そのせいで脳筋な家が多かったのか、はたまた、雪深い北部という事が影響したのか、イングス王国は国全体で慢性的な財政困難を抱えていた。その頃はバーストロワ家も例外ではなく、バーストロワ公も、実直で良い人ではあるのだが、このような財力がか細い領を維持できるほどの手腕は無かった。


 そんな中、ラミ母さんがバーストロワの土地に転がっていた魔核の鉱床と未開の土地に着目。魔核の買取と、未開の土地を雹羊という寒冷地でしか生息できない羊の為の牧場地として拓くための援助を行う事になったのだ。


 そうしてイングス王国で母さんが慌ただしくしている時に出会ったのがサキだ。


 最初はツンケンした態度で大変扱いづらいお嬢様という感じだったのだが、何度かめげずに遊びに誘ううちに結局寂しかったのか、オレとマリと打ち解けて、事業が軌道に乗る間の数年間はよく3人で遊んでいた。


 そして、最終的には母さんの手腕で事業は大成功し、斜陽だった家も持ち直して、娘のサキにも友が出来たと随分感謝されたのを覚えている。その後は事業が安定するとイングス王国には純粋な距離の遠さのせいであまり頻繁には行かなくなって、現在はサキとは月に一度程度で文通している、といった具合だ。


 ……と、まぁ、見知った顔なのである。実際に会うのは久しぶりなのだが、勿論この体の事は言っていない。サキは正義感溢れる良い奴なのだけど、少し思い込みが激しくて、一度マリが迷子になった時なんて誘拐だなんだと騒いで、助けに行こうとしていたりした。この状態の事を知られたら、ぶっちゃけ何を言われるのか全く想像がつかない。あと、純粋にこの状態を見られたくない。


 ……なんでピンポイントにオレのいるクラスに来るんですかね…。


「という事で、皆仲良くするように。以上で朝礼は終了だ」


 朝礼が終了すると、移動の時間だ。よし、さっさと移動してしまおう。


「もし。少しよろしいかしら」


 オレはそそくさと準備をして移動しようとすると、一人の少女に呼び止められた。うん、もちろんバーストロワのご令嬢だ。どうやらいの一番にオレの所に来たらしい。何故……。


 サキはつかつかとオレの目の前まで来て腕を組むと、オレを隅々まで見て「うん……?」と首を傾げた。一方のオレは引き気味に構え、有事の際はさっさと逃げ出せるように身構えた。


「もしかして、あなた……マオ……?」

「チガイマス」


 ……何故一目見ただけでオレ(マオ)だと勘づいたのかは分からないけれど、オレはサキの問いに対して即座に否定してさっと視線を逸らした。大丈夫、猫耳幼女になったなんて信じられるはずがないからきっとバレないはずだ。


 一方のサキはじっとりとオレを見つめて、しばらくしてからやれやれという感じにハァとため息をついた。そして、くいと人差し指でオレの顎を持ち上げると、顔を近づけてきた。


 ちょ、サキさん近い近い。


「……やはりマオですわね?少し見ない間にまた……随分と可愛らしくなったんですのね」

「オレ、マオチガウ。オレのにゃマエ、キングネオジェネシス3セイ」

「その下手な嘘とごまかそうとするとすぐ目を逸らす癖。やはりマオじゃないですの!」


 …………バレた。


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