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17. 測定

 

 武術棟は教室棟に比べ、大きめに作られている。理由は。アイミス連合王国は戦争こそしていない平和な国であるが、瘴気から生まれる魔物の脅威に日々晒されているため、武勲が存在する。騎士団、ハンター、冒険者は、己の身一つでなり上がれるので、希望者が多いのだ。


 また、生まれながらの才能に若干左右される所はあるが、魔術科も一定数在籍人数が存在している。こちらは学者然としている事も多いが、宮廷魔術師、冒険者は魔術で戦闘を行うこともあり、武術棟に組み込まれている。そして、ここに集う全ての学科に言えることだが、訓練に広い敷地が必要だからだ。


 オレとセシルはその一角、魔術学科の教室を訪れていた。ちなみに道中はセシルシールドの影響で『迷子?』攻撃は一度もなかった。ふっふっふ、してやったりだ。


 教室に入ると、ちょっとだけ周りがざわついて、こちらに視線が注がれる。オレが先頭に立って扉を開けたせいか、聞こえてくるのは「迷子?」という言葉である。…結局言われるんかい。


 オレはむすっとしながらセシルの手を掴んで、後ろの方に引っ張って丁度二つ並んで空いていた椅子の片方に飛び乗った。一方のセシルは苦笑いしているようだが、オレの横の椅子に腰かけた。


 しばらくセシルと他愛無い話をしていると、教壇にドタドタと大きな足音でガタイの良い4~50代くらいのおっさんが笑顔で駆けてきた。


「おう、魔術科を選んだ諸君!君たちは見る目があるぞ!私の名前はウォウ!ウォウ・ロータスだ!現ロータス侯の弟だが、貴族だからと臆したりせずともよいぞ!私は君たちと一緒に勉強が出来る事を嬉しく思う!」


 アルカ王国には四侯と呼ばれる領を持つ貴族がいる。シャムロック、アルテミシア、ガーベラ、ロータスだ。ロータス侯は魔道具技術に精通した侯であり、魔道具の輸出や生産が盛んだ。一番魔術師を輩出する家でもある。対外的な見方では学術的な侯のはずなのだが、このウォウというおっさんは何だか熱血だ。


 授業の概要はまず、座学。これは魔術理論や魔法陣、詠唱といった現代魔術の基礎を学ぶようだ。それから、実技。校庭にでて、自分にあった魔術を実技で発動させたりして、肌感覚を掴んだり、戦闘技術を学んだりする。自分に合った、というのは、波長によって魔術にはムラがでるようで、人によって得意、不得意な属性の魔術があるらしい。その得意、不得意の測定は、この後実施するらしく、そこで出た結果によっては自分の得意を伸ばしていくことになるのだろう。


「……以上だ!それでは希望者はこのまま単位の準備と測定を行う!希望する者は学生証を持ってきたまえ!」


 ウォウのおっさんの一言を皮切りに、ゾロゾロと希望者が向こうの方へと歩いていく。歩幅ハンデで出遅れたオレは最後尾だ。

 

 ……列がゆっくり進んで、しばらくすると、何やら向こうから「オォー」という歓声が上がっている。人込みからちらりと見えたのは、ユウだ。奴も魔術科を受けるらしい。聞き耳を立てると、なんでも、全属性の魔術に適正があり、魔力量も相当凄いことになっているらしい。


 ……とんだチートだ。


 それから、セシルの番が終って、最後のオレの番になった。ちなみにセシルは水属性に強い適正があったようだ。オレは学生証を持って前の方にパタパタと歩いていくと、ウォウのおっさんに学生証を渡した。おっさんはハンコのような形の魔道具でペタリとオレの学生証に判をすると、そのまま学生証をこちらに返してくれた。


 この学生証はかなり高性能だ。学年、クラス、単位、成績、問題歴なんかが自動的に更新され、学生証の頁に反映される仕組みになっているので、今の魔道具で、情報が更新されたわけだ。


「おう、例の特待生だな?じゃあ、測るぞ」


 測定はおっさんの前に置かれている、水晶玉のようなものが配線で箱型の機材に繋がっているもので行われる。これに手を当てて、自分の魔力を目一杯押し込むことで、配線を通じて測定され、結果が掛かれた紙が箱から出てくるという仕組みだ。


 オレは深呼吸をしてから、息を止めて、魔力を押し込んだ。すると、水晶玉が稲光のように一瞬物凄い輝きを放ち、バキンと音を立てて真っ二つに割れてしまった。この体になってからか、なる前からかは分からないのだが、測定器の性能が追いつかなくなったようだ。


 …………ヤバい、壊しちゃった。


 測定器が最後の悲鳴を上げながら遺したのはカンストしている魔力の数字のみで、適正は「不明」という具合だった。う、うーん、どうなんだ?これ……。おっさんも「凄いな」とだけ言葉を発して苦笑いだ。


 ま、まぁ。あのフザけた魔法も使えたわけだし、魔術も問題なく使えるはずだ!


 ……奴も魔術科を受けるみたいだし、とりあえず魔術を覚えたら、奴にぶつけてやる!


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― 新着の感想 ―
[一言] 魔力量 : 計器の上限を超えるため測定不能 魔力属性 : 計器破損のため未測定
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