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12. 初登校とおさわり

アカデミーは大学のようで、高校っぽさもあるという感じの学園です。

 

 今日は学園の始業及び入学式である。校長と国王陛下のありがたーいお話を長々と聞いた面々は指定されたクラスへと歩を進めていた。オレはCクラスに編入になった。一方のユウはBクラスだったようで、なんだか恨めしそうにこちらを見ていた。……こっちも朝に延べ2時間くらいかけてやっとの思いで恥ずかしさを堪えて、お前(ユウ)に用意された制服着て勝負に挑んでやってるんだから、そんな目で見るんじゃない。


 ただ、クラスと言っても、このクラス全員で勉学を受けたりする事はあまり多くはないだろう。この学園はあくまで選択単位制であり、選択した分野で学問や体術などを一定数修めると、卒業となる。勿論一年のノルマはあり、4年間まではノルマ達成者は一定量の学費免除があるのだが、落第すると、学費が凄い事になるのだ。そんな中でのクラスという分類は単純に人数分けという意味合いが強く、レクリエーションやHR、イベント等だけ共になる間柄だ。


 ……だから、きっと、この目立つ体も、なんかこう……いい感じに忘れてくれる……と思いたい。


 Cクラスの教室についたオレは自分の座る席を探していた。部屋は階段教室になってはいるのだが、背がちっこくなってしまったため、オレは前の方の席を取らざるを得ない。……丁度、日当たりの良い窓際の席が空いているようだ。オレは今の体だと結構大き目の椅子に腰かけた。足はギリギリ付かないので、ぷらぷらする。


 ちょっと周りを見渡してみると、着席している人の約半数がこちらを見ている。針の筵にされて、居心地の悪いオレは必死に下を向いて、はよ担任こいやと心で念じる。しかし、来たのは興味を持ってこちらに話しかけてくる一人の少女だった。


「ねえ、あなた、ホントに15歳以上?」


 突然、横に座った茶髪ボブカットの溌剌とした感じの女子が訪ねてくる。……あー。言われると思ってたわその台詞ゥー……。


 ちなみに入学式以降、これから言われるであろう台詞をあらかじめ脳内にリストアップしてある。


 1.君15歳以上? 

 2.その耳と尻尾本物?

 3.触っていい?

 4.迷子?

 5.イケメンだね


 の、5つである。……4の台詞はすでに頂戴してある。


「そうだよ」


 とりあえず返事をしておく。早生まれではあるが、15歳だ。はっきりと答えたところで、ヒソヒソと「それで15歳は無理でしょ」という言葉が周りから聞こえてくる。 ……うん、オレもそう思う。今の見てくれは完全に幼女だからな……。


「へぇー。あ、私シィ。シィ・フォーレン。よろしくね」

「……オレはマオ・ウィンディ。よろしく」


 どうやらこの少女の名前はシィというらしい。ちょっと日焼けしていて、いかにもアウトドアって感じがする。黒い瞳の目線はオレの頭と尻尾に注がれていて、なんとなく次に言うであろう事が想像できる。


「ねぇねぇ、その耳と尻尾って本物?触っていい??」


 ……2と3を頂きました。勿論答えも用意してある。


「本物っぽい。さわるのはくすぐったいからダメ」

「ぽい……?ふーん……えい!」

「んにゃぁ!!?や、やめ!ひゃん!ひゃめろっ、ッさわんにゃ!!」


 突然の出来事に対応できず、耳を触られ、尻尾を掴まれ、あられもない声を上げてしまった。オレは急いで、シィを突き飛ばすと、臨戦態勢に入った。いきなりおさわりとは、なんて奴だ。


 フーフーと肩で息をして尻尾を庇うオレを見て、シィは手のひらをフラフラさせて「ごめんごめん」と悪びれもせずに笑っている……こいつは敵だ、間違いない。


 ちなみに、オレの声を聞いた周りの連中に、手で口を押さえて俯いている奴が複数見える。……なんだその反応。


「かぁいいねぇー……耳と尻尾もあったかふわふわ……ねえ、もう一回触っていい?」

「いいわけにゃいだろ!あっちいけ!」


 「えーそんなこと言わずにー」とぶー垂れているシィとのやり取りを見たおかげで緊張が解れたのか、クラスの他の女子たちもわらわらとオレの所に集まってくる。一方の男子たちはポカンとしてこちらを眺めているようだ。


 ふはは、どうだハーレムだぞ。悔しかろ?悔しかろ?こちとら全然嬉しくないわクソが。


「にゃう!?だ、だから!ひゃうん! ……さわるにゃっひあっ!んにゃあああぁぁぁ!」


 担任が来るまで可愛い可愛いと、もみくちゃにされたのは言うまでもない。


 …………やけっぱちで入れた5の台詞だけ言われてないなぁ。


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