助けるには…
「リーフカッター!」
シルハが塊に向かって唱えると、魔法が消えた。
「「「!?」」」
「今魔法がこいつに吸われたように見えたぞ!」とラムパードが言うと、アルテが
「シルハ、もう一度撃ってくれないか?今何が起きたのかしっかり見てみたい。」
「分かったわ、いくよ。リーフカッター!」
再びリーフカッターが塊に向かって飛んでいく。しかしリーフカッターが塊に当たることはなくまたも消えてしまった。
「よく分からないな…ラムパードの言う通り、魔法が吸収されているのかもしれん。」
「……これ以上は危険な気がする。今日は引き返してギルドに報告しようぜ」とラムパードがそう言って街に引き返そうとする。
「ああ、そうするか。」とアルテが言いかけたその時、丸い塊が突然光りながら溶け始めた。
「おい、溶けてるぞ!」
「これはヤバイ!早く逃げるぞ!」
その刹那、悲鳴が聞こえてアルテがシルハの方を見ると、シルハが、溶け始めた塊から出てきた奇妙な生き物に腹を貫かれていた。
「シルハっ!?おいっ、大丈夫かッ!?」
「出血が酷い、俺が背負うからラムパードは先を行って道を切り開いてくれ!」
「あ、ああ、分かった…」
この状況に困惑しながらもラムパードは返事をした。
するとシルハが
「…こ、この傷じゃあもう助からないわ、私を置いて逃げて……」
「置いていけるわけがないだろう!必ず助けてやるからな!少しの辛抱だから!」
2人は走り出した。シルハを助けるために。そして、あのような化け物が存在するということを伝えるために。
***
しばらく走っていると、
「おいっ、こっちだ!」と急にしゃがれた声に呼ばれた。見ると、長い髭を生やした白髪混じりの男がこっちを見ていた。
「おいあんた、助けてくれるのか!?」
「ああ、こっちにいい洞穴がある。はやくこい!」
「どうするアルテ!?信じるか!?」
「とりあえず信じよう!あの化け物よりはマシだ!」
「さあこい、急げ!」
髭長の男について行くと確かにそこには小さな洞穴があった。この大きさの洞穴ならあの化け物は入っては来れないだろう。急いで洞穴に入って後ろを見ると少し遠くにあの化け物がキィキィと甲高い声を出しながらこちらを追ってきていた。そこまで速く移動することは出来ないのだろうか。とりあえずは安心だ。アルテが背負っていたシルハを下ろして応急処置をした。しかし、シルハは既に息をしていなかった。
「おい、シルハ!息をしてくれ!頼むよ!」
「3人でSランクを目指すって決めたろ!まだEランクだぞ!」アルテとラムパードが一生懸命シルハに声をかける。すると突然髭の男が声を発する。
「このままだとその嬢ちゃんは助からんかもしれん、だが助ける方法がない訳でもない。」
「あんた、助ける方法が何かあるのか!?あるんなら教えてくれ!お願いだ!」ラムパードが懇願する。
「ああ、だが聞いた話だから本当かどうかは分からん。」
「それでも構わない、どうか教えてくれ!」藁にもすがる思いで髭の男に尋ねた。