三話
「私は死が何よりも怖いです。
それは絶対に誰かに影響を与えてしまうから。
だからこそ私の最後の願いを叶えてください。
私は貴方に誰よりも長く生きてほしい。
どうか自分の事を下に見ないで貴方は私にとって一番大切な人だったのだから。
それを否定すると言うことは私を否定することになるんだから。」
目の前には長い髪を揺らしながら僕の顔を覗きこむかつての同僚兼親友で今では数少ない元同僚兼親友の姿がそこにはあった。
「解ったよ」
と呟くと一気に場面が変わる。
「君は何で自分をすぐ下に見ちゃうのかな?」
と仕事終わりの帰り道で聞かれる。
「君の悪い癖だよ?」
「ほっとけ。お前には関係ないだろ。」
出来る限り冷たいように返す。
「それよりもだ。お前はいつまで僕とペアでいる気だ?お前の実力なら隊長にでも何にでもなれるだろうが?」
「は~」とバカにしたようなため息をつかれる。
「それは君だっておんなじでしょ?人の事いう前に自分の事を見てからものをいってよ?君だって十二分に強いじゃんか?」
言い返されたので、少しムッとなりながらもいつもの感じで会話をしつつ歩いていく。
しばらくすると返事が帰って来なくなり後ろを振り向くとまた場面が変わっていた。気づくと黒と出会った公園にいた。今度は二人だけではなく上からはおる白いパーカーを着た男女が他にも二人いた。
「ねえ。白今回の作戦は?」
と僕たちより少し背の小さい男の子が聞いてくる。
「目標が建物に入ってから叩くんだ。」
と答えると
「白。作戦。雑。」
と今度は僕たちより少し背の小さい女の子が言ってきたので
「逆にお前らが作戦守った事あったか?」
と聞くと黙り時計を見るともう時間になっていたので
「んじゃあ行くか。」
と号令をだす。
その瞬間に何かが爆発したようなそんな音がして一気に視界が暗転する。
気づけば僕は見慣れた部屋のベッドの上にいた。
「、、、懐かしいな。」
と小さく呟く。
「あれ起きたんですか?」
すると部屋の隅から震えた声がした。
「ん。黒そんな部屋の隅でどうしたんだ?」
と聞くと
「い、いやー別にーまさか雷が怖くて誰かと一緒にいたかった何て事はないですよーええ決してそんなことはー」
とか焦ったようにまくし立てていた。
「わっかりやすいなあ」
と返しつつ、
必死に「いやそんなねえ高校生にもなってねえ雷が怖いとかそんなことはないですよ」と弁解している黒を尻目に先ほどの夢を思い出す。
彼らは今何をしているのだろうか?僕はもう部隊から抜けてしまったため頻繁には会えないしそもそも最後に会ったのは今から三年も前の事である。長期任務があると言っていたため余計に会えない状況であった。
「ところで黒。今は何時なんだ?」
と未だにすごい文章量をしゃべっている黒に聞くと
「ふぇ。えっと今は11時半ですよ。それでわかりましたか?」
といわれたので
「何が?」
と聞き返すと
「それはもちろん私が決して雷を怖がっていないという紛れもない事実に決まっているでしょう?」
「分かってるよー」
と棒読みで言うと
「まさか聞いてなかったので?」
と軽くすねたような言葉が帰ってきたので
「いやーそんなことはないですよーやだー」
と言うと
「良いですか?私はですねえ、決して雷を怖がっていないと、、、」
延々と話続けている黒は少し眠くなってきたようなので
「もう寝るか?」
と聞くと
「話をそらしてませんか?」
と数秒ジーーと見つめられ、
「まあいいでしょう。今日は勘弁してあげます。」
と言って「ふぁ」っとあくびをしてモゾモゾと布団に入って来たので
「お前さあ何でナチュラルに僕がいる布団に入ってくんの?」
「え?嫌ですか?だって私がいる間ずっとソファーで寝させるわけにはいかないですし、それに現役高校生と寝られるなんて白さんも役得じゃないですかぁ。」
と少し恥ずかしそうに目を泳がせながら早口で言うので
「はぁ。別に良いがなぁ。嫁入り前の娘が異性と同じベッドで寝るってどうなんだ?」
「ウグッ!そんな言い方をされると罪悪感がわきますけれど。まあどうせ私の貰い手何ていないのですしいいんじゃないですかね?」
「はぁ。そういうもんかね。」
と呟くと、
「ありゃ、否定してくれないんですか?」
と言って来たので
「面倒くさくないかそれ?」
「ひどくないですか⁉」
と会話をして、電気を消して壁を向いて寝た。
いつの間にか雨がやんでいた。
次の日の夜に目が覚めた。