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初めての克服

引き続きR15ですが、暴力シーンに加えて若干性的ぽいのもあります。


バシィ!


頬に激しい痛みを感じて目を覚ます。


「うぅ……」


目がぼやける……。


頭を振って覚醒しようとする。

虚ろだった目の焦点が合うと、目の前にシリウスが立っていた。


「!?」


一気に思い出す!


再び体が震えた。


恐怖から手が、足が、体がすくむ!


少しでも離れようとしたが……足首同士と手首同士をそれぞれ布で結ばれていて立つことも出来なかった。

それでも何とか体育座りのような体勢になり後ろにズリ下がる。


「目ぇ覚めたか?」


シリウスがにこやかな笑顔を向ける。


「お前の持ち物からポーション使わせてもらった。傷が少しは治っただろう」

「!」


確かに言われた通り、全快ではないが少しは痛みもおさまっていた。

おかげで体を動かすことが出来たようだ。


「ど、どうして?」

「決まってんだろ?」


シリウスは再び笑顔を見せると、キープの前にしゃがみ込む、


キープは嫌々をするように後ざするが……、


「お前に同じ苦痛を二回味わって欲しいからだ」


シリウスはキープの首を片手で締め上げてきた。


「折れた骨も治ればもう一回折れるだろ? 二回も折れる感触や痛みが味わえるんだ。喜べよ」


突き飛ばすように手を離す。


「ゲホッゲホッ、ゴホッ!」


解放されてキープが咳き込む。


「元気ねーなぁ? ポーションまだ足りねーか?」


ポーションの瓶を取り出すと、キープの頭に振り下ろした!!


ガシャ!


「うぐっ!」


瓶が割れて、キープに破片と中身が降りかかる。


キープの頭から血が流れると同時に、ポーションが掛かった事で傷が治った!


(こ、このままじゃ殺される……。前に進むためにも死ぬわけにはいかない!)

シリウスへの恐怖を抑え、意を決すると、

「聖光を紡いで鉄鎖とな……」


バキッ!


キープの顔に蹴りが入り詠唱が止められる!


「あぶねー、なに唱えてやがんだ!」


シリウスが怒りを露わに蹴飛ばしてきた。


「お前にその詠唱は唱えさせねーよ」


続け様に蹴りを繰り出す。




キープはぐったりしていた。


体中が痛くて動かすのも辛かった。


「大人しくなったか……」


シリウスはキープのローブを一部切り裂くと、キープの口に詰め込んだ。


「お前にあの魔法は使わせねー。俺を殺した元凶だからなぁ?」


キープをジロリと睨み付けた。




魔法が使えなくなった上、大人しくなったキープを見て、シリウスは機嫌が直ってきたようだった。


「さーて、このまま体だけを傷つけてもつまらん。そこで、だ」



シリウスはぐったり倒れているキープのそばに腰を降ろすと、


「お前、前に戦った時、『僕はノーマル』とか言ってたな?」


何を言い出すのだろうか?急に……。


「つまりお前は普通に女が好きなんだよな?」

「……」


シリウスの言いたい意味がいまいち分からない。



「お前のお友達のロード君だが、あいつはノーマルとか言いつつお前にかなり気があるようだった」

「……」


「お前の男としてのプライド。 ロードのお前への想い。 俺が壊してやるよ」


シリウスはキープのローブを引き裂こうとした。


「!?」


だが、ローブがかなり丈夫なのか一気に全部は裂けず、少しだけ裂ける。


「幸い、お前は見た目が女みてーだしな? 顔だけ見てりゃ大丈夫だろ」


そのセリフで何をしようとしているかが分かった。


手と足を縛られたまま地面を這って逃げようとする。


その足をシリウスが引き寄せると、そのままローブを裾から破ろうとし始めた。



(や、ヤバイ! このままじゃシリウスに!)

キープは慌てるものの、手足が結ばれている状態なので抵抗も逃げるのも思うように行かなかった。



ビリビリ!


ローブが裾から腰の辺りまで裂けた!


綺麗だった花柄もズタぼろになってしまい散ったような形に見える。



シリウスに足を掴まれながらも、なんとか逃げようとする。


「!?」

キープの結ばれている手が何か掴んだ!?

こ、これは!





ローブを腰まで裂いたものの、それ以上は腰ひもが邪魔だった。


舌打ちをしつつ、シリウスはキープをうつ伏せにする。


今度は首襟からローブを引き裂く!


キープの真っ白い背中が薄暗い中浮かび上がる。


「さーて、お楽しみといこうか?」


シリウスの目が妖しくなっている。


その時!




バシィ!!



シリウスの顔に何かが飛んできた。


「ぐあ! な、なんだ? 目が?……目がいてぇ!!!」


キープが投げつけた体勢で止まっている、その手は血だらけながらも自由を取り戻していた。


ポーション瓶の破片……ガラス片。キープが掴んだ物であった。


手を結んでいた布を、ガラス片で少しずつ切り裂いて、遂に手が自由になった。


そうして、シリウスの顔にガラスの小さい欠片を投げつけたのだった!



「ぐう! 貴様! な、何を!」


シリウスが目を押さえて狼狽えている間に、足の布も手解き、口の布も取り出した。



そうして、


「聖光を紡いで鉄鎖とならん『ホーリーチェイン(拘束)』!」


先程の回復魔法は発動しなかったが、今度は光の鎖が現れシリウスを拘束した!


「お、おのれ! キープ! またしても……!?」


シリウスが叫ぶと同時に、その姿が薄れていく……。


そうしてシリウスが光の鎖と共に消えると、部屋の奥に扉が出現した。




キープは、その場にヘナヘナと腰を落とした。


緊張の糸が切れたようで、今頃になって、痛さ、怖さ、震え、怯え、疲れ、等が一編に襲い掛かってきた。


そうしてそのまま、またしても気を失ってしまったのだった。

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