初めての作戦会議
二週間程前のこと、城塞都市ケイナンではいつもの様に王国軍と魔王軍で小競り合いが起こっていた。
ただ、いつもと違ったのは魔人が2名現れたのだった。
勇者が一人死んだとの情報から、魔人が魔王防衛から攻撃側に転じたようだ。
ケイナン王国駐屯軍も善戦はしたものの、魔人の出現が急であったため、立て直しが遅れてそのまま城塞都市ケイナンは陥落してしまった。
勇者ミアプラと聖女デネボラ達が到着したのは、そんな時だった。
「勇者様はケイナンの魔王軍を蹴散らしながら、北にある魔王軍シェオル砦に攻め入っています。魔人二人も砦まで後退したようです。」
そこから、城塞都市ケイナンでは魔王残存軍と王国軍の生き残りが、砦では勇者達と魔人が戦っているようだった。
王国軍の残存兵力は、ケイナンにある地下避難壕に避難している市民を守り続けていた。
中にはまだ千人近く市民がいるらしく、王国軍数十人でそれを守っていた。
「しかし、まだケイナンの周りを魔王軍の生き残りが包囲している状況です」
「でも、魔人がいないなら撤退するか、散らばりそうだけど……」
「恐らくですが、何者かが生き残りをまとめて統率しているのかもしれません」
ケイナンから市民が脱出するには、
案1 勇者達を砦から連れ戻し、勇者の力で包囲を殲滅。
案2 包囲軍を統率している敵を倒す
案3 王国軍が犠牲となり(道を切り開く、陽動、殿)その間に逃がす
キープは唸りながら、
「3は、厳しいですよね。道を切り開くのもですが、その間千人の市民が逃げる時間を確保しないといけない」
「敵の方が戦力的に上なので、正直厳しいです」
ファクトも同意する。
「やはり、1か2の案になりそうですね」
「1の案は迎えに行く間、ここで防衛。呼びに行く人は危険があるが……」
「2の案は全勢力で行くしかありませんが、それで勝てるかどうか……、まず統率者がいるかも推測ですしね」
色々話し合いをした結果、勇者を迎えに行くことになった。
誰が行くかについては、
「僕が行きます」
「キープが行くなら当然私もね」
「ええっ! ナシュはここの方が……」
「い~え、行くわ。 キープが死んだら私はどうすればいいの?」
「それは……生きたいように……とか?」
「私は死のうとしたんだけど?」
ナシュがジト目で見てくる。
「う、そ、それは……」
「それに……」
ナシュがジト目から意地悪そうな目つきになると、
「私の命はキープに拾われたんだから、私はキープのものなのよ」
「ええ~、そんなことは……」
「あるわよ! はい、この話は終わり。だから私も一緒に行くわ。一蓮托生ってやつよ」
結局最後まで折れなかったナシュと、キープは行くことになった。
ファクトとしてはここで防衛線に備えてほしかったのだが……。
回復師がいれば防衛線はかなり強固になる。
特に市民千人の命が掛かっていることを思えばそうだ。
だが一方で、勇者を呼べなければ結果、全滅してしまうのが目に見えていた。
それなら勇者を確実に呼べるようなメンバーで行った方がいい。
聖女の力は非常に頼りになるだろう。
1人の部隊長に防衛所指揮を託すと、ファクトとキープ達の3名で行くことになった。
3名は都市を抜け出すと、遮蔽物の多い森の中を進んで行く。
途中魔物と数回すれ違うも隠れてやり過ごし、ついにシェオル砦の前にたどり着いた。
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