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最後の救出


ドゴーン!!!


巨大な合体魔人のハンマーがナシュ達を掠めて通路の壁をぶち破る!!


ぶんぶん振り回すハンマーにナシュ達は近づけず防戦一方となっていた。


「『拘束ホーリーチェイン』」

光の鎖が現れて合体魔人に絡みつくも……キン! と一瞬で破壊される!


「うぅ、何て力」

キープが力になれず悲しげな顔を浮かべる。




合体魔人の反対側からは他の魔人達が押し寄せカペラとベガが戦っている。

おかげで下がるスペースがなくなりつつあった。


「チッ! こうなったら……あいつは俺がひきつける! お前達はキープを頼むぞ!!」

「ええ! ロードさん何を?」

ロードの言葉に驚いてキープが訊き返す。


しかしその時にはロードが飛び出してした!!


合体魔人の腕を浅く切りつけつつ、開けられた穴から部屋に飛び込んだ!!

そして……、


「こっちだ、デカブツ!! こっちに来やがれ!」


ロードの挑発に合体魔人は、


「アイツナマイキ」「アイツウルサイ」


ロードの方に両首を向けると、


「アイツコロス」「アイツタベル」


壁を壊しつつ部屋に入っていく!



「行け! 今のうちに勇者とやらを救ってこい!!」


ロードの叫びにキープはオロオロ迷っていたが……。


「行くわよ! キープ!!」


ナシュが手を引いてキープと連れ立って地下入り口へ向かう!

カペラとベガもそれに続いた。



ロードが飛び込んだのは普通の居間の様な部屋だ。

机や椅子はあるが他には何もなさそうだ。


合体魔人とロードが向き合う形になる。

幸いな事に巻き添えを恐れてか、他の魔人達は部屋に入ってこない。


「さてと……どうしてやろうかね」

手に持つ剣を握りしめるとロードは合体魔人に向き合うのだった。





ナシュを先頭に地下への階段を下りていく。

ここには魔人はいないのか長く暗い階段が続いているだけだった。


カペラとベガは階段の入口に残って退路を守っている。



蝋燭はあるが薄暗く、水滴が落ちる音が響く。

そこに新しくナシュとキープの足音が加わる。


薄暗く牢が並ぶ地下を進んで行くと、揺らめく蝋燭の光の中頑丈そうな鉄の扉が現れた。


「ここかしら?」

「多分……他の牢には誰もいなかったし」


ドアノブを回すと……鍵が掛かっている。

周囲を見ても鍵はありそうにない。



「こうなったら!!」

ナシュは剣を抜くと、


「スカーレット!!」

ナシュの剣を炎が包み込む!


剣で扉に傷を付けると……扉が炎に包まれる!

鉄で出来た扉はそのまま溶けていくように変形していく……。



ある程度歪んだところでナシュが扉を蹴飛ばした!!


バガーン!!


轟音がして扉が吹っ飛ぶ!



「な、ナシュって……結構強引?」

「え? え~と、どうかしら? ハハハ」

キープから怯える視線を受けて、ナシュが目を宙に逸らし乾いた笑いが響く。



「ほ、ほら! そんな事より中に!」

「あ、だ、だね」


ナシュとキープが一緒に部屋に入る……。


「うっきゃーーー」

「わわわっ!」


ナシュが猿みたいな奇声を上げて、キープが慌てて目を瞑ってクルリと後ろを向く!


裸の少女が大の字で磔にされていたのだ。


「き、キープは絶対見ちゃだめだからね!!! 絶対よ!!」

ナシュにすごく念を押される。


「み、見ないって!!」

後ろを向いている上に目をぎゅーっと閉じるキープ。



ナシュが見ると……少女の手首や足の甲には太い釘が打ち込まれている。

首なども固定されていて目隠しや猿轡と言った物も着けられていた。

体中も色々な種類の傷がつけられていて痛々しい。



「今助けるわ」

ミアプラの体から色々外していく……釘を抜くときはナシュも躊躇ったが……どの道抜くしかない。

目を閉じて思いっきり引き抜いた。


磔から助け出すとミアプラは力なくナシュに倒れ掛かる。



助けたのを雰囲気で察したのか、


「ナシュ? 服ならこれを……」

キープが後ろ手にローブを渡してきた。


寒がりなキープはローブを二重に着ていたので、一着脱いで渡した。


脱いだローブの下から……ハートのアップリケが入ったローブが出て来た。

キープが二重に着ていたのは恥ずかしさもあった……かもしれない。


ミアプラにローブを着せると、


「良いわよ、キープ。 後は回復を……」

ローブを着たことで全身をある程度は覆うことが出来たが、見えている部分だけでも傷跡が酷く痛々しい。

キープも頷くと、


「『大回復セイントヒール』」


ミアプラの体が光り輝くと、傷が全て完治する。

それこそ元々戦いなどでついていた傷も全て……傷跡がなくなった。



ミアプラはナシュに寄りかかる形だったが、回復するとナシュを手で押しのけ自分の足で立ち上がる。


「大丈夫ですか? ミアプラさん」

キープがミアプラをのぞき込む……初めてミアプラの顔をしっかり見る事になった。


ミアプラもキープを見つめた為、首が前に傾ぎ前髪がさらりと顔に掛かる。

光沢のある綺麗な蒼い髪でさらさらしている。

以前はポニーテールにしていたが、今はほどけて長い髪を垂らしている様な感じだ。


美少女と言っても過言ではないほどの顔つきで、可愛いと美しいを足したような顔立ちだ。


その瞳は、深い澄んだような……蒼く煌めいている。


「……お前は……」

ミアプラが口を開く。


「……そうか、お前……やはり強くなったのだな」

そう言ってニコッと笑った。



今までミアプラの笑顔は見たことはなく……その可愛くも美しい笑顔にドキッとしてしまう。


赤くなるキープと見つめ合うミアプラ。




「ちょ、ちょっと!」

ナシュが二人の間に割り込むと、


「私だってあなたを助けたんですからね! ほんとは嫌だったけど!!」


ナシュはミアプラに一度斬られている。

更に故郷ケイナンの街を全て消し去られた。


勇者だから……そしてキープの為にと助けには来たが……想いは複雑だろう。



無表情になったミアプラがナシュに目を向けて一言。

「……誰?」


「はぁ? あ、あんたって……!!」

ナシュがミアプラに怒鳴ろうとする。


「待ってナシュ!! 今はそれどころじゃないから!! 早く戻らなきゃ」


「あ、そ、そうね! ……フン! 後で覚えてなさいよ、ミアプラ!」


「?」

ミアプラは不思議そうな顔をしている。




「行こう!」

キープ達は元来た道を引き返して走り出した!!



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