表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/307

初めての図書館地下

そこはちょっとしたスペースになっており、何十人とかで会議ができそうだ。


鍛錬スペースなのか、サンドバック用の人形などがいくつか置いてある。

これだけ広いのに誰もいなかった。



「ここは?」

「ここは、図書館の知識を実践で練習する練習場です」


キープを振り返りながら職員の女性が説明する。


「剣や槍の型や技、魔法の練習など図書館の本で読んで、ここで試したりして身に付けます」



メガネの女性は、


「あなたはその魔法をおぼえたいのですよね?」

再度確認してきた。


キープは頷きながら、

「そうです。非力な自分だからこそ、少しでも色々な力を身に付けたいです!」


それを聞いた女性は、


「わかりました。では、内緒にして下さいね」


言い終わると、髪を止めているバレッタを外した。




その瞬間!

髪がショートからロングになると同時に、色が黒から緑になる。

体型も中肉中背から細身でスレンダーな姿に変わった。

最後にメガネをはずすと、瞳の色が青から新緑の様な緑になった。



「こ、これは……」

キープが唖然としていると、


「私の名前はシルマ=ポリマと申します。見ての通り……」

キープの目は彼女のある部分を見ていた、……耳が大きく尖っている。


「エルフ族です」




エルフ族……他の種族を嫌い森の奥深くに住んでいると聞いていたが……。


「大抵のエルフはそうです」

キープからそう言われると、その通りだとばかりに頷く。



「ただ私は、そうではありません」

シルマはそう告げると、


「森の一生はまるで輪廻転生です。エルフ族もそれに倣い森の奥深くで一生を繰り返していきます。ですが、森の中でも新しい事が起きます。新種の木や花が生まれ、刻一刻と変わる大地。同じ種類の似ている花はたくさんあっても、決して同じ花などないのです!」


一気にそこまで言うと、一息ついて、

「森が地形に合わせる様に、エルフ族も時代に合わせないといけない。私はそう思うのです」

最後は呟くような声に変わる。


「だからこそ森を出て、色々な風に触れ、多様な水の声を聞き、どうあらねばならないのかを見極めたいのです」



キープが静かに聞いていると、


「ああ~、とまぁ」

熱く語ったことを思い出して顔を赤くすると、


「色々な経験をして色々な人を見るために、森を出てこちらで生活しております」



「そ、そうだったんですね。ですが何故、変装?変身?を?」

「ご存じの通りエルフは極力森から出ません、それ故珍しのか奴隷商などに捕まったりする危険もあります。ですので、この魔法道具のバレッタとメガネで変身しているのです」

「えと、じゃあ、何故自分に正体を?しかもお手伝いまでして下さると」



シルマはどう説明しようか悩んでいた感じだったが、


「そうですね。エルフは魔法に関してすごく敏感なのですが、あなたから非常に惹かれる魔力が伺えるのです。だからでしょうか?」


(惹かれる魔力……)

と言われてもいまいちよく分からない。キープは小首を傾げる。



だが、村で呪いに狙われたり、魔人に狙われたりと、色々狙われていることを思い出した。

デネブからは『美味しそうな魔力』とも言われていた。


(狙われたのは不運ではなく魔力のせい?)

考え込んでいると、


「ところで……」

シルマはキープに向き直り、


「あなたのお名前を教えて頂けますか?」

そこで名乗っていないことを思い出した。




その後、夕方までシルマとの特訓は続いた。

エルフ族は魔法を得意としており、魔法に対しての知識が深い。


そういった事もあり、魔法の感覚や循環など色々な知識を交えて教えてくれた。


「図書館職員のお仕事は?」

「いつも誰も来ないから大丈夫」

とのこと。


それは本当に大丈夫なのかキープは心配だったが、まぁシルマが大丈夫と言うならそうであろうと結論付けた。



シルマの教え方が上手いのか、キープの才能なのか、翌日には覚えようとしていた魔法を、ある程度発現出来るようになった。


「すごいわね……普通の人では2日でここまで来れないわよ」

シルマが感心したように言う。

「適正かしら? やはりあなた普通と違うのかもね」


と言われても周りと比較したことのないキープにはピンとこなかったし、それよりも新しく魔法を覚えられた方が嬉しかった。


そして新しく魔法を覚え、シルマの修業が終わった事で、『ディスペル』調査を再開しようとした時だった。




勇者パーティから手紙が届いたのだった。






キープが宿の人から手紙を受け取って中身を開く。そこには、


・『ディスペル』の魔法をかけてやること

・ロードに久しぶりに会わせてやること

・誓約書により手出しなどはしないこと

が記載されており、会う日時などが指定してあった。



アリアとミラにも手紙を見せる。


「十中八九罠だ(よ)」

二人が同時に声を上げる。


が、キープはロードがどうなっているのか気になっていた。


ロードを助けるのは現段階では不可能に近い。

だが、もし自分たちが行かないとロードは不要と見なされ殺されるのでは?とも思っていた。


そしてキープにも策がないわけではなく、密かに準備もしていた。



その上で、勇者パーティと会うことにしたのだった。


読んで下さる方がいらっしゃると嬉しいですし、力にもなります。

ありがとうございます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ