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新たなる敵襲


リカオンの正門は輝く膜に覆われている。


キープの『神界ヴァルハラ』によって侵入を防ぐように張られていた。


また、光の膜に当たったキャラコの人達はその姿を消していく……つまり、『魔の物によって影響を受けている』という事だった。



キープの魔法により体勢を立て直す時間が出来たリカオンの冒険者とガードは、張られた結界内にいる残党の掃討に専念していた。





「店主さん、ごめん!」

ベガの蹴りが小さな店主の腹に決まる!


しかし力が強い店主はそれを耐えると剣を突き出してきた!!



マタルがベガの右側に割り込むと、それを受け流しつつ、


「この短剣はあなたが選んでくれたのですよ! 受け流しがしやすいって!」



ベガのクローが閃き、店主の手を切り裂いた!

それによって店主は左手の剣を取り落とす!


「痛いのですよ……何するのですよ?」


「っ!」


訴える様な物言いに、思わずベガの動きが止まる。


「ベガ!」

マタルが割り込み不意を突いた剣を受け止めた!

もう少し遅ければベガの片足はなくなっていただろう。


「ごめん!」

店主を蹴り飛ばしマタルに謝ると、


「……私もやり辛いです……」

マタルの目には涙が浮かんでいる。


店主が剣を構えた……そして。

「ごめんなさい……ですよ。 ころ……て下さい」


剣を横薙ぎに払う!!


それをマタルが受け止める! が勢いが強くそのまま身体ごと吹き飛ばされる!


その間に下からもぐりこんだベガが、下から上へと蹴り上げた!!


力は強くとも体重は軽く、宙に浮かび上がった店主を再度蹴っ飛ばして光の膜へ叩きつけた!!


店主はそのまま消えていく……。




「マタル!」

ベガが駆け寄ると、マタルは地面に倒れこんだままだった。


「大丈夫?」

助け起こすと……顔を歪めながら、


「っ! 痛いですよ……こんなの……心が痛くて……」


ベガは一瞬だけギュっとマタルを抱きしめて、

「私もそう! でも泣くのは今じゃないよ! 行こう! みんな戦ってる!!」


そう言ってマタルをのぞき込む。


マタルは涙を拭うと、

「そう……ですね。 泣くのは後で……思いっきりします!! 出来れば師匠の胸で!!」

そう言って立ち上がった。


「キープの胸では私も泣きたい!」

ベガはそう言うと戦っているガードを救うべく走っていく。


「早い者勝ちです!」

マタルも続いて走り出した!





「ありがとうキープ。 お前のおかげで助かった!」

シャウラがキープに感謝を述べる。


なんとか戦局を挽回できて正門を死守できたようだ。

後はこのまま相手の数を減らしていれば……。


そう思った矢先の事だった!



馬に乗ったガードの一人が都市内から来ると大声で叫んだ!


「西門に敵襲!」

ガードの叫び声に味方がざわめく……。


「何だって! これで全戦力じゃなかったのか!」

シャウラが叫ぶ。



こちらの敵は移動もしていないし数も変わっていないようだ、つまり最初から別な敵集団がいたのだろう。


「シャウラさん、もしこれがキャラコの人数と同じぐらいであれば、1万人近くの数がいるかも知れません……」

キープの言葉にシャウラは一瞬唖然となったが、


「1万か……ここ正門に数千だとして、同数の集団があと一つか二つ程度」

シャウラは少し考えると、西門敵襲を告げたガードに、


「西門の指揮を取っているのはガード長か?」


「ガード長はガード司令所にいると思います」


「では西門は指揮を取るやつがいないのか……」



シャウラはガードに、

「北門と東門を完全閉鎖しろ! まだ敵集団がいると思われる」


「はい!」


ガードが再度馬に乗って駆け出す。



シャウラはキープに向き直ると、

「ここをこのまま抑えておけそうか?」


「はい、まだ平気です」


「すまない、私は西門で指示を出してくる」


そう言ってシャウラが走り出す。




「キープ、私達も行って来るよ」


ミラとアリアが戦況を見てそう告げる。

他の面々もそれに頷く。


「分かった、ここは僕が抑えるから西門をお願い」


キープの言葉に全員が走って西門に向かった。


ここは既に結界内の敵だけで、他の敵が結界を越えてくることは無いだろう。




「余はこのままキープの側にいようかの……移動するのは面倒じゃ」

全員かと思ったがレジーナだけは残るようだ。


「ありがとう、レジーナ」

何かあったときに誰かいるのは心強い。


「気にするな、本当に移動が面倒なだけじゃ」

片手を振りながらキープの側に立つレジーナ。


残る冒険者とガードによって、結界内の戦闘はほぼ落ち着きつつあった。



後は西門の敵だけだろう……誰もがそう思っていた。




しかし正門側の敵も、只々結界に遮られるばかりでは無かった。


結界があるから進めない……触ると消えてしまう。

それにも関わらずなんと相手が向かってき始めた!


大人も子供も、男性女性、全てが結界に……正確には正門に向かって行進を始めた……。


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