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初めてのわしゃわしゃ

「……大体の事情は分かった」


一通り話を聞くとロードはミラに頷いた。

「何故キープの様子が変わり、叫んだのかも……な」


「そうか、何故か教えてもらえるか?私は何か気に障ることを言ったのだろうか?」

真剣な顔でミラが身を乗り出す。


「言うのは簡単なんだが、どうしようかね」

「言いにくい内容なのか?」

「と言うより、お前さんのパーティのことになるんだよ」

ロードが顔をしかめつつ答える。


「私の?勇者パーティの何か?」

「たぶん、お前さんの様子を見ていると、お前さんが知らない話になると思う」

「……」


ミラは少し黙ったが、


「言ってくれ。私たちのパーティが何かしら人を傷つけているのなら直したい」

「……直せるかは知らないが、話せというなら話してやるよ」



ロードは勇者と聖女が行っている行為をミラに話した。


最初こそ「信じられない」「そんなはずは」などと言っていたミラも、最終的にキープがその犠牲になり、あのような状態に陥ってることを聞くと少なからず信じたようだ。




「すまなかった。本当にどうお詫びをして良いか……」

ミラはロードに頭を下げる。


「俺に謝られてもな。どっちかつーとキープに言ってくれ」

ロードはキープがいるであろう部屋の方を見ながら言った。


「そうだな……直接謝らないと意味がない」

「が、今はさっきのこともある、ほっといてやってほしい。」


ミラに向き直り、


「キープには折をみて少し話しておくさ。お前さんは少なくとも常識人ってね」

「ああ、すまない。機会があればその時にキープ嬢に頭を下げよう」

「ああ、お前さんまだ気付いてないのか。キープは男だぞ」

「は? そ、そうなのか?手籠めにされかけていたからてっきり……」

「まぁ、何か男にも女にも狙われたことがあるみたいだぜ」


ロードが「くっくっ」と笑いながらミラに話すが、そのロードもキープに告白した一人である。


「そ、そうなのだな。大変だな。キープじょ……殿は」




「勇者と聖女に話をしてくる」

そう言うとミラは戻って行った。


「気を付けろよ?聖騎士様だから手荒な事はしないと思うが『ドール(人形)』の魔法とかもあるようだ」

「ああ、分かっている」


片手をロードに掲げ早足で戻って行った。



(聖騎士様は固くて真面目だな、逆にあれが演技なら大したものだが……)


話を一通りしたが、やはりまだロードは疑っていた。

世の中を生きていくには疑り深いに越したことはない。


「さてと、キープはどんな感じかね~」





キープは部屋で布団にくるまっていた。


(ミラさんは助けてくれたけど、僕のことが勇者様や聖女様に知られたらどうしよう?)


繰り返される虐待……いやあれは虐待というのも生ぬるいかもしれない。

キープに十分なトラウマを残していた。


(この街を出て、次の街にいこうか? でもパーティも組んだばかりだし)

色々考えていると、


コンコン


と、部屋の扉が軽くノックされた。


(!?)

キープは軽く息をのんだ。


暫くして、

「キープ、俺だ。ロードだ。」


(ロードさん?)

キープはベッドから起き上がると、シーツにくるまったままドアの方に歩いていく。


鍵を開けると、


「よぉ、キープ。なんか雪だるまみたいになってるな」

「……」


ロードが手を挙げつつ部屋にずんずん入ってくる。




部屋の真ん中まで来ると、

まだドアの方にいるキープに向くと、


「話は大体聞いた。」


一言。


キープは扉を閉めて鍵を掛けると、ベッドに戻り腰かけた。


「あの……それで、ミラさんは?」

「心配するな、彼女は関係なさそうだ。ただのお固い騎士さまだな。」

ロードが両手でやれやれと言ったジェスチャーをする。


「そう、ですか。……ありがとうございます。ロードさん」

「気にするな。お前の話を聞けば誰だってああなる。」

「……」




暫くうつむいていたが、キープは顔を上げて立ち上がる。

シーツがバサッと床に落ちた。


「僕謝ってきます!」

「お、おい」

急な行動に戸惑うロードだが、


「ミラさんは僕を助けてくれた。それなのに酷いことを言ってしまったんです」

「だからー」言葉を続ける。

「謝ります。ミラさんが関係なかったのなら尚更です」

「しかし、ミラはもう帰ったぞ。宿には勇者達がいるかも」

「うっ、で、でも」

「次会った時でもいいんじゃないか?」


(確かに次でもいいかもしれないし、勇者シリウスもいるかも)

だがキープはロードの話を聞いてから何やら胸騒ぎがしていた。


「で、でも、今行きたいです!」

キープの真っ直ぐな言葉に、


「はぁ、まぁ仕方ねーか。じゃあ行くか。」

ロードがわざとらしくため息をつきキープの髪をわしゃわしゃする。


「な、何するんですか!」

キープがむくれると、


「気にするな」

いつもの調子に戻りつつあるキープにニヤリとするのだった。


サブタイは最後に出ました。

雪だるまと悩みました。

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