表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/307

初めての??


キープが冒険者ギルドを訪れて3日後。


キープは再度冒険者ギルドを訪れていた。


キョロキョロ……。

入口で用心深くギルド内を確認する。


(よし……アルファードさんはいない)

確認はしたものの警戒しながら入って行く。


キープと一緒に来ていたナシュが、


「一体何をしているの?」


「用心です。 町中とはいえ何が起こるか分かりませんから!」


「え? 何かって?」


「……僕の知らない世界がまだ沢山ありますから」


遠い目のキープに?を浮かべるナシュ。

その後ろからベガとマタルが声をかける。


「どうしたの?」

「どなたか探してらっしゃるのですか?」


同じく不思議そうな顔で二人がキープに訪ねた……。




キープ達は全員で冒険者ギルドに来ていた。

その理由は二つ。


一つはキープの冒険者カードだ。

逃げてしまったのでカードを貰えていない事。


そしてもう一つがクエストの受領である。


冒険者はクエストを定期的に受けないといけない義務がある。

受けないでいるとランクが下がったり、最悪冒険者カードの没収となってしまう。

また、キープ達のお財布事情も厳しく、その為にもクエストを受ける必要があった。



「じゃあ私クエスト見てくるわね」

「あ、じゃあ私も〜」


ナシュとベガがクエストボードにむかい、


「師匠、私もクエスト見てきま……」


「待って! マタルさんは一緒にいて!」


「えぇ? し、師匠、一体……」


「お願いします。 一緒に居てほしいんです」


「は、はい。 分かりました!」

(し、師匠……それ程までに私の事を必要としてくれるなんて……)


マタルが嬉しそうに返事をする。


キープとしては一人だと色々怖かったからなのだが……。




キープとマタルが揃って受付に行くと、


「あ、キープさん! マタルさんも」


アトリアが目ざとく声を掛けてきた。

そして、


「この前はすみません!! あんな事になってしまって」


非常に申し訳なさそうに、これでもかと頭を下げる!



「う……」


思い出したのかキープの顔が引きつる。

マタルの方は意味が分からず、?となっていた。



「あの変態アルファードには厳しく言ってきませましたから!」


「わ、分かりましたから。 もう言わないで……」


アトリアはキープの様子から話を変える事にして、


「分かりました。 それで宜しければ冒険者カードの再発行いたしましょうか?」

「はい、お願いしたいです」


では、と、用紙の記入とステータスチェックが行われる。

また、前のカードが破損してデータが拾えなかったので、過去のクエスト状況についての確認が入る。


「それと、クエストでは無いですが、キープさんは軍団長を退けた事もありますので、今回銀ランクとさせて頂きます」


「ええ? 宜しいのですか?」

「師匠! 流石です」


キープとマタルの声に、


「コールマインでのクエスト完遂状況と、ケイナンでの防衛戦、そして軍団長を2回撃退……エルフの森と、この近くで。 それを考慮致しました」


口に出していないが、もしかしたらこの前のお詫びも少しはあるのかもしれない。


「おめでとうございます師匠!」

「ありがとう」


祝福するマタルに返事をしていると、


「こちらがキープさんの冒険者カードです。どうぞ」

アトリアから銀色のカードを渡される。


カードには、


【名前】キープ・カッツ

【適職】回復師⇒回復師+??

【筋力】E⇒E

【敏捷】D⇒D

【魔術】S⇒S

【幸運】D⇒D

【体力】E⇒E

【魔力】S⇒S



【比較】前回⇒今回



ステータスは何も変わっていないが、それよりも目に付くのが、


「あの……適職に??とかあるのですが?」


アトリアは少し困った顔をすると、


「それがですね、バグでもミスでもなく何度やり直してもそうなるのです」


「と、言う事は?」


「本当にそう言う表示なんだと思うのですが……前例が無いので確認しないと何とも」


どうやら初めての事らしい。

キープが確認を頼んだ所にナシュとベガが寄ってきた。



「どう? 冒険者カード出来た?」

「あ、うん。 出来たよ」


「師匠、銀ランクになりましたよ!」


本人より先にマタルが伝える。

自分の事のように嬉しかったらしい。


勿論キープ自身も嬉しかった。


「おお〜おめでとう! 並ばれちゃったかぁ」

「おめでとう! 先輩としてはうかうかしてらんないね!」


ナシュもベガも銀ランク、マタルはこの前取ったばかりです銅ランクだった。


「そう言えばナシュ達の方は? 良さそうなクエストあった?」


「ええ、これなんてどうかしら?」


ナシュが持ってきたクエスト表をマタルと二人で覗き込む。




【レッサードラゴンの討伐】

スティープ山脈にレッサードラゴン数体が住みつきました。

鉱山の仕事に支障が出ているので退治をお願いします。


詳細はスティープ山脈鉱山組合事務所まで。





銀ランクのクエストで報酬もそこそこ良い。


貯蓄が乏しくなってきた事もあり、なるべく稼いでおきたかった。



「レッサードラゴンってドラゴンですよね? 強くないのですか?」

マタルはレッサードラゴンを知らないようで心配そうだが、


「レッサードラゴンとは言うけど、どちらかと言うと大きなトカゲみたいなものよ。 この前のリザードアーマーみたいな感じかな?」


「でもリザードアーマーって凄く硬かったですよね?」


「レッサードラゴンの鱗はあそこまで固くないから大丈夫。 私も何回か戦った事あるから」


ナシュとベガがそれぞれ説明する。


「だったら平気でしょうか」


ひとまず安心したマタルに、聞いていたのかアトリアも、


「レッサードラゴンは小さな羽はあっても飛べませんし、動きも鈍いほうです。 ブレス等もありませんし、弱くはないけど強くもないと言う感じです」


「なら、今度こそ私の魔法でやっちゃいます!」


ようやく安心したのか笑顔を見せる。

ドラゴンの名前に不安だった様だ。



「では、すみませんがこれ受けます」


「はい、手続きいたしますね」


カウンターの下で書き込みなどをしていたが、


「受領完了しました。 お気を付けて行ってらっしゃいませ」


笑顔で見送るアトリアに、


「はい〜、行ってきます!」


全員でアトリアに返事すると、クエストに向かうのだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ