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初めてのピンチ

今回はR15かもです。

村を出て2日目の夜


近くに小川のある原っぱで宿泊することとなり、キャンプ地の真ん中で焚き火をしながら休むこととなった。



原っぱなどは開けている為、見通しが良く、魔物などには見つかりやすくなる。

逆に獣などは火があると寄ってこない。


しかしサンクチュアリがある為、魔物などには気にせずに済むのである。


夜盗等に対してはデネブが『アラーム(警報)』の魔法を周辺に掛けていた為、見張りを立てる必要もなく全員が就寝することが出来た。




『紅の三日月』はテントを2個もっていたが、2人で1つのテントを使用していた。

キープはソロで旅をしていたため、一人用のテントもっており、それで就寝していた。


真夜中……全員寝静まり虫の音や川のせせらぎに紛れて、


ごそ……ごそ……ジーー


キープが寝ているテントのチャックが音を抑える様に開くと、誰かがキープのテントに入ってきた。


キープが起きていないか確認するような仕草をするが、規則正しい寝息を聞いてほくそ笑む。



しかし……



もぞっ……


キープの寝返りにびくっとする影、その気配でキープが目を覚ました。


「んー?どなたですぅ~?」


キープが上半身だけ起こした状態で目をこすりつつ尋ねる……が、半分寝ている状態だ。


しかし、その姿をみた影は……興奮してしまった。


ただでさえ小柄で可愛らしい子がねむけまなこで目をこすりつつ……しかも舌足らずのしゃべり方で囁くように言ってきたのだ。


元々そういう事を目的で侵入した影が興奮したのも無理はないだろう。


影は素早く詠唱した。


「夜のとばりに静寂を……『サイレンス(沈黙)』」



「!?」


流石のキープもこれには飛び起きた。


「……(声が出ない!)」


起きた側から押し倒された。馬乗りにされて腕を足で抑えられる。


「大丈夫……悪いことはしないから……」


いきなりな出来事だったが、キープの目も少しずつ暗闇に慣れて来た。


どうやら魔術師のデネブの様だ。


「んふふ~、おねーさんに任せなさい。 キープは何もしなくていいからね~」


突然の状態にパニックになるキープ。


(ええ! これってどういう……えー、待って待って!!)


なんとか逃れようとするがデネブの体はびくともしない。


(魔術師のデネブさんより力がないなんて……)


ショックを受けている間に服を脱がされていたようで、気づくと下着だけになっていた。

デネブの手が妖艶にキープの胸を這いまわる。


キープは必死に叫ぶが、


「……………………………………」

(どんなに叫んでも声にならない、どうしよう……このままじゃデネブさんと……)


キープも年頃の男の子ではあるが、妹ミーシャの事ばかりで恋とか愛とかを気にしている余裕はなかった。


ただ、こういう行為は結婚して好きな人とするもの……とは分かっていたので、必死に抵抗する。

(このままじゃデネブさんと結婚することになっちゃう!!)




「むー、まだ抵抗するのね……それじゃあ」


再びデネブが詠唱を始める。


(次何かされたらもう抵抗出来ない……な、何とかしないと)


「漆黒の蛇よ……理を超え……牢獄に束縛せよ……バイン(ド)ぐぇ!?」


ゴン!!


束縛の詠唱が完了する前にデネブの後頭部を杖が直撃した。

キープが立て掛けてある杖に気づいて、何とか指先を使って倒したのだった……。


デネブの後頭部に入ったのは運が良かったのであろう。



「いった~い!」


デネブが悲鳴を上げた。

その時魔力の乱れかサイレンス(沈黙)が解けた。




「デネブさん!! 何するんですか!」


キープの声に他のメンバーも起きだしてくる。


「チッ! 気づかれたか……」


言うと同時にキープのテントが開かれて他の3人がのぞき込む。


キープに馬乗りのデネブを見るやカペラが静かに怒りを押し殺して、


「デネブ! これは一体どういうことだ!」


キープの状態はほぼ剥かれて下着姿、デネブもいつの間にか下着姿になっていた。


「さては抜け駆けしようとした?」

アルタイルもデネブにお怒りの様だ。


デネブは肩をすくめると、

「いいでしょ……いずれは経験するんだし……。みんなも結構狙ってるでしょ?」


デネブの言葉に全員が口をつぐむ。


(ええ~……僕みんなから狙われていたの!?)

気付いていなかったキープは寝耳に水もいいところである。


「でも、それとこれとは違うんじゃない~? これ合意じゃないよね?」

ベガもいつもの明るさはなく、怒りが籠った声と目線をデネブに向ける。



キープに馬乗りになり、服も剥かれた様な状態……どう見ても無理矢理にしか見えない。


「あー……もう、面倒……キープも素直におねーさんにやられていれば良かったのに……」


そう言うとキープの上から離れつつ、「気持ち良くしてあげたのに」キープに囁き耳に息を吹きかける。


「こら! まだそんな……」

カペラが言うと……、


「はいはい……わかりましたよ……」

完全に立ち上がると手をひらひらさせローブを着つつ自分のテントに戻っていく。


「キープ大丈夫?」

色々な展開に呆けていたキープをベガが心配そうにのぞき込む。


「あ、うん、大丈夫……何もなかったから」

心配してくれるベガに安心させるように告げる。


そして気が付いたように、

「みなさん、心配かけてごめんなさい」

みんなにぺこりと頭を下げるキープ。


「いや!すまない。これはあたしらパーティの責任だ。申し訳ない」

カペラが慌てて頭を下げる。


「カペラさん達の責任じゃないですよ。お気になさらないで下さい」

キープもカペラ達を気遣って続ける。

「被害者の方が気遣ってる……キープ良い人すぎ」

アルタイルが呟く。


カペラが、

「こういうことは今後ない様にする。本当にすまなかった」

そういって場を納めたのだった。




しかし、デネブの行動や、「全員狙っている」との言葉からパーティ内の足踏みが乱れていった……。


キープにアピールする者、それを注意する者、嫉妬する者、デネブが見せた「早い者勝ち」みたいな風潮が更に輪を乱していった。



そんな状況の中、パウス辺境都市に戻って来る1日前にキープはある決心をした。


見てくれている方のためにも、早く上げないとと思っちゃう。

なるべく頑張りますね。


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