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初めての旅立ち

初めまして神宮真夜と申します。


初執筆・初投稿です。


誤字・脱字・説明下手・伝わらない 等々あるかもしれませんが、

皆さんの一時を楽しませることが出来れば幸いです。


お目汚しかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

「何してくれんのよ!」


ドン!と少女が少年を突き飛ばした。

背が低く小柄な少年はそのまま後ろに倒れこんでしまった。


倒れこんだまま唖然としている少年……キープ・カッツに対して更に少女は声を荒げる。


「せっかく楽になれたのに!」


怒鳴る少女の首には鉄の首輪が付いている……奴隷に付けられる「従属の首輪」だ。


彼女は奴隷の生活を悲観し自殺を図った……が、

死ぬ寸前で回復師のキープによって回復させられてしまったのだ。


キープはたまたま通りがかった回復師であり、

『血を流して死にかけている少女がいたので助けた』

という人助けのつもりだった。


しかし少女にしてみれば余計なお世話であった。


やっと奴隷商人の隙をついてナイフを胸に突き立てたのに、なかったことにされたのだ。

更に怒鳴ろうとした少女だが、続ける事が出来なかった。


首輪についている鎖を上に引っ張られて宙づりになる……。

のどが締められ声が出せず、足が地面から離れて宙吊りになっていた。


少女の後ろから大柄な男……恐らく奴隷商人だろう……が現れた。鎖で少女を持ち上げている。

下卑た笑いを浮かべつつ、


「若い回復師様、助かったぜ~死なれると売れねぇからな」


そのまま奴隷商人は少女を引きずる様に引っ張って行った。

引きずられる少女は苦しさからか言葉は発せれないものの、キープをずっと睨み続けていた。



少女が見えなくなっても倒れこんだままでいたキープだったが、暫くしてよれよれと立ち上がる。と、そのまま道の側に座り込んだ。


そうして「どうしてこうなるのかな……」

1人呟くと、今までの出来事を思い返してみた……。





元々キープは大陸の端にあるテイル村で農業をしている両親から生まれた。


ストレートで明るい茶色の髪で肩まであるセミロング、身長は低めで152cmとかなり小柄。

目は大きく瞳の色はルビーの様に真紅、整った目鼻立ちや長いまつ毛なのもあり、他人から見ると可愛い少女にしか見えないが、れっきとした少年である。


年齢も16歳と大人に入るのだが、身長の所為か大抵12.3歳の女の子に間違えられた。(本人はもちろん不服なのだが)




キープにはミーシャという4歳離れた妹が一人いた。


瞳の色や目鼻立ちはキープ同様で可愛らしいが、キープと違って髪は金色で長さも腰までのロングヘアであった。

12歳で身長は157cmとキープよりも高く、身体つきも少女らしい体型で、村では皆から美人姉妹(キープには嫌味)と言われていた。



キープが回復師となり冒険に出ているのは、この妹ミーシャが理由であった。




【4年前】

キープが12歳、ミーシャ8歳の時である。

辺境の小さな村という事もあり村人達の仲は非常によく、小さい頃からキープもミーシャや他の幼馴染と共に村や原っぱ、森や丘で駆け回っていた。




そんなのどかなテイル村にも、森の奥に入ってはいけないとされる場所があった。

それは、どこの地域にもあるような『犯してはいけない禁忌』と呼ばれるものであった。



キープ達も大人達からさんざん言われていており、キープとミーシャは言いつけを守っていたが、幼馴染の一人が言いつけをやぶってしまった。



キープやミーシャ達数名が遊んでいる所へ、


「これ、取ってきたぜ~。すごいだろ!」


幼馴染の一人、体も大きな男の子で気が強いガキ大将のカイルが手の中の黒い水晶玉を見せてきた。


「カイル、これって何??」

「なんか小さな社に置いてあった、綺麗だろ? こんなに大きいし宝物にしようと思ってる。」


カイルが胸をそらして「どうだ」とばかりに見せてきた。


「小さな社って?? そんなのあった?」

「へへっ、実は大人達が『禁忌』って言ってる場所に入ったんだ」

「ええっ! 大丈夫なの?怒られちゃうよ」

「ばれなきゃ大丈夫だよ」


カイルは続けて『禁忌』について話し始める。

行っては行けない場所に行ってやったという自慢だろう。


「特に何もなかったし、あったのは小さい社だけだったんだ。せっかくだからあちこち探してみたら見つけた。」

「ええ~駄目だよ! それ泥棒になっちゃうよ」


キープの声にミーシャや他の幼馴染達も、

「怒られちゃうよ」

「いけないことだよ」

など口々に言い始めた。


すごいなどと称えられると思っていたカイルは、責められるような言葉にどんどん機嫌が悪くなり、


「うるせー、分かったよ。 じゃあこんな玉なんかいるか!」

と、地面に投げつけた。



ガッシャーン!!



地面に叩きつけられた水晶玉は粉々に割れてしまった。


「わわっ、ど・どうしよう……」


慌てるキープ達を尻目にカイルは、


「お前らが色々言うからだからな。俺は知らない。お前らも大人に言うなよ!」


威圧的に脅して去って行った。



「どうしよう、お兄ちゃん……」

ミーシャが訊いてきたがキープにも分からなかった。



その時!

割れた水晶の跡から黒い煙が立ち上る……と、それは塊になると意思がある様に周辺を回り始めた。



「?? な、なに? いったい??」


キープ達が怯えて動けずにいると、急にピタッと止まった黒煙はキープに向かって一直線に飛んできた。


「ああ……」

震えて動けないキープに黒煙が当たる寸前、


「お兄ちゃん!!」


ミーシャがキープを突き飛ばした。



突き飛ばされたキープが目にしたものは、ミーシャの体に吸い込まれるように入っていく黒煙だった。



「ミ、ミーシャ!」

キープが飛び起きてミーシャに駆け寄るが、その前にミーシャは崩れるように倒れこんだ。


「ミーシャ! ミーシャってば! ミーシャ!!」

キープが妹の名を何度も呼ぶがミーシャは気を失ったままだった。

震えていた幼馴染達もこの異常事態にようやく動きだし、その内の一人がキープ達の両親を呼んできた。



「ミーシャ! ああ、ミーシャ……何てこと」


父と母は話を聴いて血相を変えると父がミーシャを抱きかかえ、すぐに村唯一の教会に走っていく。

母とキープも追いすがる様に教会に向かった。



テイル村の教会には回復魔法を使用出来る神官が一人おり、牧師と医者の役目を担っていた。

話を聴いた神官は、


「わかりました、ひとまずミーシャさんはこちらへ。 誰か村長さんを呼んできてもらえませんか?」


ミーシャを教会の客間のソファに寝かせるように告げて、村長が来るまで色々ミーシャの具合を診ていた。




暫くして村長が教会にやってきた。

キープの話を聴いた後、神官と色々話をしていたが、


「村長である儂も、言い伝え程度に思っていたのだが……」


と、禁忌についての話をし始めた。




この世界には、色々な生き物がいる。

一般的に生活しているのが「人間・獣人・ドワーフ・エルフ」といった種族だった。


人間はその4種族で一番多く世界の大部分を占めている。ある程度器用で魔法もそれなりに使用出来る、

オールマイティ……悪く言うと器用貧乏な種族である。


獣人は人間に猫や犬やトラの手足があるような感じで、猫耳や尻尾などもある。

ほとんどの獣人が人間と一緒に街や都市に住んでおり、独自の文化を持つものは密林や秘境などに籠っている。

力や素早さは人間より上だが魔法は一切使用できず、その身体つきから(肉球や爪など)細かい作業は苦手としている。


ドワーフは人間より背が低くがっしりしているものがほとんどだ。

基本的に鉱山や山に住み、岩石や宝石を加工して人間などと物々交換をして生計を立てている。

細かい加工が得意で見た目に比べて手先が器用、また魔法も採掘や加工などに特化したものを使用する。


最後にエルフだが、森の守護者として基本的に森から出てこない。

細身ですらっとした高身長な体型がほとんどで、またその美貌も伝承に何度も出てくる程である。

弓や細剣(レイピア)を使用するが、一番得意なのは魔法であり、その実力は森の大部分がいまだエルフの領土として続いていることから分かるだろう。



ただ、4種族は敵対まではいかないが、大部分のエルフは他の種族を拒絶しているし、人間の奴隷制は他の種族から反感を買っている。(奴隷に獣人やドワーフやエルフもいる為だろうが……)




そんな4種族と完全に敵対しているのが魔の生物として区分しているものである。


魔の生物は4種族を食料とするか快楽の為に殺戮する。

頂点にいる魔王を筆頭に「魔人・魔獣・魔物」がおり、魔人は魔王の軍団兵と言われている。


魔獣は普通の獣が魔の影響を受けて変化した生物で、どんなに大人しい獣も牙が伸び、爪が凶悪になり、人を食するようになる。

それは鳥でも魚でも犬猫……獣であるなら全てであり、人間や獣人などの4種族にもありえる。


魔物は魔王や魔人が生み出したとされ、合成魔獣キメラだったり、魔法により植物や自然物・4種族が無理やり改造され作られたものである。




村長の話によると、テイル村があるこの場所は、300年ほど前に強大な魔人が支配しておりそれを勇者一行が倒したそうだ。


しかし魔人は倒れる際に土地に強力な呪いを掛けた。


勇者一行にいた賢者がその呪いを水晶玉に封じ込め、自然による浄化でいずれ呪いが消えるようにして下さったそうだ。



それが今回割れた水晶玉で、出てきた黒煙が呪いではないかとのことであった。




「ミーシャは助かるのですか?大丈夫ですよね?」


話を聴いた母が村長にすがる。

その母に神官が難しい顔で、


「呪いはかなり浄化されており、今すぐにどうかなる訳ではありませんが……。まだ力は強く、呪いの影響で……」


神官がミーシャの靴を脱がすと、足先の色が灰色に変わってきており、固くなっていた。

どうやら石化の呪いらしく足先から徐々に石に変わっていくらしい。


「ああ……なんてこと……」


それを見た母は顔を両手で覆い、父がその母を胸に抱きしめる。

ディスペル(解呪)の魔法で解けるかもしれませんが……と呟いた神官だが


「ディスペル(解呪)の魔法は聖女など一部の方しか使用出来ません。一応私の魔法でどれだけ効果があるか試してはみますが……」


神官はそういうと色々魔法を唱えていった。効果があるか見る為だろう。


「ヒール(小回復)、ハイヒール(中回復)、キュア(解毒)、マジックブレイク(魔力解除)」


最終的にマジックブレイクで進行を遅れさせることはできたが、完全に呪いを解くには『ディスペル』の魔法が必要そうだと分かった。




……その日から数年間、キープはミーシャを助ける為に毎日を生きてきた。

自分を助けた妹を、今度は兄である自分が救うのだと。


キープは力や体力については全くと言っていい程なかった。

農家の息子でありながら、鍬を1回振るっただけで手首を捻ったり鍬に振り回されたりした。

走ると100m程度で倒れこんだ。それでも負けじと体を鍛えたがあまり効果は出なかった。



その代わり神官がキープを調べて回復魔法に適正があることが分かった。黒煙がキープに向かったのも、魔力に惹かれてじゃないかということだった。



その日から回復魔法を身に付ける修行を始めた……。


神官に、

『ヒール(小回復)』

『ハイヒール(中回復)』

『キュア(解毒)』

『マジックブレイク(魔力解除)』


を習うと、教会にある魔導書を読み漁り、神官も覚えてない、


『セイントヒール(大回復)』

『ヒール・リング(小回復・範囲)』

『ハイヒール・リング(中回復・範囲)』

『サンクチュアリ(聖域)』


と覚えていった。



魔法は経験で進化していく……ハイヒールを覚えるにはヒールを何度となく使用する。そうすることでヒールが研ぎ澄まされハイヒールを覚えることが出来る。


キープは自分の体を何度も傷つけてはヒールを唱えた……何度も何度も何度も……。


キズを大きくしていきハイヒールを何度も使う、毒草を食べてキュアを使う、そうやって苦痛をこらえ魔法を覚えていった。



村の教会にある書物から覚えられる魔法は全て覚えた。


キープが覚えていない回復魔法は、

『ディスペル(解呪)』

『メサイヤ(蘇生)』


それと回復魔法で2つだけある攻撃魔法、

『ホーリーチェイン(拘束)』

『ジャッジメント(断罪)』


だけとなった。



ただしこれらの魔法は聖女など一部の特殊な人しか使用できないと神官に聞かされてきた。

つまりキープが覚えられる魔法は覚えきったと言ってもいい。





15歳になり大人の仲間入りをしたキープは、村を出て聖女を探す旅に出ることにしたのだった。




「元気でね。体に気を付けて。……何かあればすぐに戻ってくるのよ」


母がキープに声を掛ける。


「すまない。大人になりたてのキープを旅に出すことになって……俺が聖女を見つけていれば……」


父もすまなそうに告げた。


父も聖女を探す旅に出たが、家の事もあり、畑や生活もある……旅を2年続けたが聖女を見つけられず村に戻ってきていたのだった。


「父さん、大丈夫。  僕が聖女様を絶対連れてくるから!! 母さんも心配しないで!」


心配そうな両親にそう告げる。そして両親と一緒に村の出入り口まで来た。

そこには村長や神官、大きくなった幼馴染達が待っていた。


「気を付けて行けよー」

「魔物や魔獣に気を付けて」

「可愛いから攫われるなよ!」

「体に気を付けてね」


村人達みんなからの声援をうけて涙がにじむ、それを手で拭うと僕は大きく手を挙げて歩き出す。

「行ってくるよ! みんなも元気で!」



そして自分の家の2階を見る……そこにはあの日から目覚めないミーシャがいる。

呪いは少しずつ進行していて、今は足首全部が石となっていた。

(ミーシャ、行ってくるよ……絶対助けるから、それまで待っていてくれ)




村から少し離れたところで声を掛けられる、カインだ。

カインはあの時からかなり変わった。

村の事では率先して動き、責任感が人一倍強い、逞しい青年になっていた。


「キープ……本当にすまなかった」


あの日からカインは何度も謝ってきた。


だがカインに対して怒りはなかった。


ミーシャは僕を助ける為に呪われたのだからと考えると、むしろ怒りは自分自身に向いていた。


(あの時、さっさとミーシャの手を引いて逃げていれば……)


だから、カインには怒りはなかった……それに何度も僕の家に来て謝罪し、家の事や畑を手伝ってくれていた。



「カイン……大丈夫、絶対ミーシャは助けるから。 そんなに責めないで。」

「ッ! 本当にすまない……必ず……聖女様を……」

「分かっているよ、必ず連れてくる。ディスペルをミーシャにかけてもらわないとね」



僕は再び歩き出す、カインは僕が見えなくなるまで頭を下げ続けていた。



初めてでしたが伝わりましたでしょうか?


初心者ですのでアドバイス等ありましたら参考にしたいと思います。

(全部の意見は無理かもしれませんので、その時はご容赦願います)


一応書き溜めはありますが、何度も見返して修正を掛けるので

投稿は少し遅いペースになるかもしれません。

よろしくお願いいたします。


(P.S あらすじってあんな感じで良いのでしょうか?)

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