悪行
内面描写むずかしい
悪を為す
この状況を打破するために取るべき作戦を遂行する
忍び寄り、拘束し、喉元へ爪をつきつける
「ひっ!?」
人質だ、人族の女が悲鳴をあげる
「ルナ!?なっ、ドラゴン!?」
男も気づいたようだ。
ガブラが驚いた顔をしている、すまないな、約束を破ってしまった。
俺は感情を振り絞るように男に声を発した
「動くな…お前が動いた瞬間この女の首を掻っ捌く」
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スキルの効果か、善とされる人族に対して人質、確かに大した悪行だからな。だが好都合だ。
「待て!卑怯だぞ!正々堂々と戦え!」
いまこいつは何をほざいた?卑怯だと?
「そのふざけた口を閉じろ。本気で殺すぞ、この女」
「っ!」
男が黙り込む。
が、その視線はこちらを油断なく捉えている。隙を伺っているな。
だが、無意味だ
「ガァ!」
ガブラが渾身の気合とともに短剣を男の胸に突き刺した
「あっ?え?」
男は戸惑いの表情のまま崩れ落ちる。
胸から鮮血を吐き出しながら
「いやぁああ!?」
男が死んだか、ならこいつはもう 用済みだな
「カハッ….…ケ…ン」
女の首に爪を突き刺す。
不思議だ、なんの罪悪感もわかない。
むしろ妙な快感さえ感じてしまう。
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まあそうなるよな。人を罠にはめて殺したんだ。
「ダハーグ…すまない、礼を言う」
しかしガブラの顔には困惑がありありと浮かんでいる
「礼を言うのは俺のほうだ。ありがとう、俺を守ろうとしてくれて」
「いや、俺の方こそお前が動いてくれなければあの人間に殺されていた。子竜よ、お前の勇気に敬意を」
目頭が熱くなる。怖かった、けど認めてもらえた、なにより仲間を守れた、その事実がたまらなく嬉しい。
人を殺した罪悪感など微塵も浮かばなかった
俺は人だったのに
種族 子竜
名前 無し
レベル5
――――――
HP 30/45
MP10/16
筋力 G
魔力 G
俊敏性 G
スキル
悪為恩恵
しばらく森を歩くと
小さな村が見えてきた。
「ついたぞ、ここが俺たちの村だ」
ここがゴブリンたちの村か、なんだか騒ついているな?
「ガ、ガブラさん!大変なんですよ村が!ってその竜はなんですかいったい!?」
「何があった、話してみろ。この竜はまあなんだ、拾ったのさ。まだ赤子だ、怖がることもない」
おいおい俺は捨て犬かよ、それにしても大変とは、どうやらゆっくりと羽はのばせないらしいな
「村の子供たちが人間に連れ去られたんです!」
本当におおごとだったようだな
世話になったガブラの村の事件だ、できる限り力にはなろう…
俺はきっと、また人を殺すのだろう
次回 謀略